「シャヘド型ドローン」が現代の戦争を変えている…アメリカ軍も似た形態のドローンを運用(海外)(BUSINESS INSIDER JAPAN)
現代の紛争のあり方を一変させているドローンがある。それが「シャヘド」だ。イランがこのドローンを開発し、ロシアはそのコピー版を用いて甚大な被害をもたらしている。そして今、アメリカもシャヘドをモデルとした独自のバージョンを保有するに至った。これらは極めて致命的かつ破壊的な兵器であり、防空システムにとって大きな脅威となっている。 イランが開発した低コスト設計のドローン「シャヘド」が、現代紛争を象徴する兵器へと予期せぬ変貌を遂げた。ロシアからアメリカに至るまで、各国の軍隊がこのドローンを採用、あるいは模倣しており、戦闘や防衛のあり方を複雑化させている。 【全画像をみる】「シャヘド型ドローン」が現代の戦争を変えている…アメリカ軍も似た形態のドローンを運用 イランは、自軍および支援する武装勢力向けに、低コストで長距離攻撃が可能なシャヘドを開発した。ロシアはこれをウクライナ戦争に投入し、自国版の製造も始めた。 そして今、新たに勃発した大規模紛争において、イラン軍が中東各地の標的にミサイルやシャヘドを投射する一方で、アメリカ軍もこれに似たドローンでイランを攻撃している。 これらのドローンは、多くの従来型ミサイルよりもはるかに安価であるため、大量に投入することが可能だ。一方で、迎え撃つ側の対応は極めて困難になる。特に従来型ミサイル攻撃パッケージに組み込まれた場合、相当な打撃を被ることになる。このような兵器の進展は、戦争におけるコストや防衛のあり方を根底から変えつつある。 ミサイル・防衛技術の専門家、ウジ・ルービン(Uzi Rubin)は、2023年にイギリス王立防衛安全保障研究所(RUSI)に寄せた分析の中で、「徘徊型兵器とも呼ばれる自爆型ドローンは、西側の防衛技術やシステムに挑む、真に革命的な精密兵器だ」と記している。
シャヘドが初めて注目されたのは、2019年にサウジアラビアの石油施設が攻撃されたときのことだった。サウジ当局は、その攻撃をフーシ派武装勢力の仕業だと非難した。以来、イランの支援を受けるこれら武装勢力は、中東各地でシャヘドを使用し、この地域のアメリカ軍を標的とすることもある。 そしてウクライナでシャヘドの重要性が格段に高まった。ロシアがこれを運用したことにより、戦闘のあり方が完全に変わったのだ。 イランはロシアに「シャヘド131」および「シャヘド136」を供給した。ロシアはその後、独自の改良型である「ゲラン」を製造し始め、現在ではそれが精密誘導兵器の戦力を補う主要兵器となっている。 ロシアは多額の資金を投じて国内でのドローン生産を拡大するとともに、航続距離や搭載量、生存性を向上させるため、定期的な改良を行っている。 ロシアによるドローン運用数は急増している。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領は1月、ロシアが1日あたり約500機を製造していると述べた。さらに2月28日には、2022年の全面侵攻開始以来、ロシアが5万7000機以上のドローンを発射したことを明らかにした。 これらのドローンは、住宅や前線の兵器、発電所、列車を攻撃し、死傷者と壊滅的被害をもたらしている。 戦略国際問題研究所(CSIS)の戦争専門家らは昨年、ロシアがウクライナに交渉を強いるための処罰的戦略を展開していると指摘した。この戦略はウクライナの主権を損なうものであり、その実施にあたってシャヘドがますます重要な役割を果たしていると彼らは主張している。 一方、ウジ・ルービンは、シャヘドを精密性と低コストを両立させた画期的な兵器であると評価し、「ウクライナ軍がどれだけ撃墜したとしても、防御を突破したわずかな機体が甚大な損害をもたらす。そして次の攻撃に向けて、常に新たなドローンが飛来してくる」と述べている。