米国債利回り一時急騰巡り憶測が交錯、発注ミスかヘッジ取引か
[ニューヨーク 6日 ロイター] - 6日午前の米国債市場でイールドカーブ全般にわたって利回りが短時間で急上昇し、その原因を巡ってさまざまな憶測が飛び交っている。
10年国債利回りはわずか5分で4.225%から4.282%と約6ベーシスポイント(bp)跳ね上がり、市場のボラティリティーが落ち着いていた環境でかなりの急騰と受け止められた。
あるトレーダーは、取引執行者の注文入力ミスではないかと話す。別の市場関係者からは、社債発行に伴う金利ヘッジに起因するのではないかとの見方が聞かれた。ロイターは今のところ、本当の原因を解明できていない。
ミシュラー・ファイナンシャルの金利トレーディング担当マネジングディレクター、トム・ディガロマ氏は、誰かが10年国債先物を8000枚売るつもりが8万枚売ってしまったとの観測が市場に出回ったと明かした。この取引はその後取り消されたとみられる。
ディガロマ氏は「10年国債先物の8万枚売却は大規模で、通常取引の20倍だ」と語り、平均の売却規模は約5000枚、多くても2万枚前後だと説明した。
同氏の見積もりでは、8万枚は金額に換算すると80億─100億ドルで、27兆ドルの米国債市場での1回当たりの取引としては巨額だ。
一方、ある米金利ストラテジストは、社債発行に先立って金利変動リスクを回避するための「レートロック」と呼ばれる取引が利回りを押し上げたのではないかと考えている。米金融業界のディーラーは通常、そうした取引の一環として現物の国債ないし国債先物を売り、社債発行条件確定前に金利コストを固定する。
6日はこの利回り急騰が起きた後に実施された420億ドルの10年国債入札は低調な結果に終わった。TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、ジャン・ネブルジ氏は、午前中に大規模な先物売りが出たために利回りが大きく上がり、それが入札での買い手控えにつながったのかもしれないとの見方を示した。
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Davide Barbuscia covers macro investment and trading out of New York, with a focus on fixed income markets. Previously based in Dubai, where he was Reuters Chief Economics Correspondent for the Gulf region, he has written on a broad range of topics including Saudi Arabia’s efforts to diversify away from oil, Lebanon’s financial crisis, as well as scoops on corporate and sovereign debt deals and restructuring situations. Before joining Reuters in 2016 he worked as a journalist at Debtwire in London and had a stint in Johannesburg.