《生理だから2500円で…》「娘の尊厳と引き換えの賠償金はいらない」スーツケースに裸で詰め込まれた少女の父親の慟哭と、涙ながらに明かした“娘の不幸な人生”【タイ・パタヤ】

NEWSポストセブン

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 6月27日、タイのビーチリゾート・パタヤで、行方不明になっていた17歳のタンチャノック・ドンホームラさんの遺体が発見された。線路沿いの草地に放置された巨大なスーツケース──その中に、彼女は裸のまま丸め込まれ、所持品とともに押し込まれていた。

【写真を見る】遺体が押し込まれ、草の中で発見されたスーツケース、46歳の容疑者と手を繋いで歩く17歳の被害者

 若い女性を狙ったこの残酷な事件は、タイ国内にとどまらず各国のメディアやSNSで大きく報じられ、注目を集めている。【前後編の前編】

「この事件で逮捕されたのは、オーストラリア人のサイモン・カーマン容疑者(46)です」

 パタヤに詳しい日本人男性はそう語る。

警察当局や現地報道などによると、容疑者は昨年12月に観光ビザでタイへ入国。ビザを更新しつつ、ジョムティエンビーチのコンドミニアムを借りて長期滞在していました。歓楽街として有名なウォーキングストリートからは車で10分ほどの距離。数日滞在する短期の観光客よりも、欧米やロシアからの長期滞在者が好む、比較的閑静なエリアです」

 カーマン容疑者は殺人の容疑を否認しているが、タイメディアなどは、2人の間に売買春をめぐる金銭トラブルがあったことを報じている。

「容疑者とドンホームラさんに面識はなく、自宅近くで初めて会ったといいます。1000バーツ(約5000円)を支払うことで合意し、彼女を部屋へ連れて行った。しかし部屋に入ると、女性から生理中であると告げられたため、『それなら500バーツ(約2500円)しか支払わない』と伝えたことで口論に発展したそうです」

 さらに容疑者は、こう供述している。

「女性がナイフを取り出して自分を脅し、金を要求してきた。身を守るために女性の首を手で掴んだところ、死亡してしまった」

 その後、翌日の夜にドンホームラさんの遺体をスーツケースに詰め込み、バイクで運んで遺棄したと見られている。

 このセンセーショナルな事件はアメリカやイギリスのメディアでも報じられ、とくに容疑者の母国・オーストラリアで詳報されている。大手紙国際部記者が解説する。

「英紙ガーディアンによれば、過去2年間で性風俗で働いていた女性2人が殺害され、同じようにスーツケースの中から発見される未解決事件が2件起きています。これがカーマン容疑者のタイ滞在時期と重なるということで、余罪捜査の行方が注目されています」

 オーストラリアの公共放送ABCは、ドンホームラさんの家族にも取材。インタビュー映像には、地べたに敷いた布の上に座りながら話す父親の姿があった。「彼女がまだ赤ちゃんの時に離婚した」「父親をとても愛してくれる娘だった」と振り返り、「人々は、娘が性労働のためにパタヤへ行ったと考えている。だが、私はそれを信じない」と語った。

 父親は、娘の"不幸な人生"について涙ながらに明かしたが、確かにドンホームラさんの人生は苦難に満ちていたようだ。

「彼女の地元はパタヤから500キロほど離れた田舎町でした。通っていた学校を辞め、貧困層向けに用意されたオンラインプログラムに切り替えていたといいます。まだ17歳ですが、家計を助ける目的もあったのでしょう、街のレストランでアルバイトをする姿も目撃されていました。祭り家族が花を売っていたという証言もあり、裕福な家庭ではなかった。またシングルファザーである父親は、過去に刑務所に服役していた時期もあったようです」(前出・大手紙国際部記者)

 ドンホームラさんの身の上も相まってのことだろう。彼女を性的に搾取しようとした挙句、手にかけた疑いがかかる容疑者への批判の声はいまだ収まる気配はない。

「タイの刑事司法は加害者の反省の態度を重視しています。たとえば交通事故の加害者や殺人犯が遺族に賠償金を払うことで、大幅に減刑されたこともあった。しかし、ドンホームラさんの父親は賠償金を受け取らない意志を明確に示しています。『たとえ私が貧しくとも、娘の尊厳と引き換えにされた金銭はいりません』と、死刑を求めています」(同前)

 地方の貧しい家庭に育った17歳の少女。彼女の命を奪った疑いを持たれるカーマン容疑者とは、一体いかなる人物なのか。

(後編につづく)

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