トランプ氏とFRBの対立深まる、クック氏解任で 米株価小動き・長短金利差拡大
トランプ米大統領は25日、住宅ローン契約を巡る不正疑惑を理由に、米連邦準備理事会(FRB)のクック理事を解任した。ワシントンの連邦議会議事堂で2023年6月撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)
[ニューヨーク/ワシントン 26日 ロイター] - トランプ米大統領は25日、住宅ローン契約を巡る不正疑惑を理由に、米連邦準備理事会(FRB)のクック理事を解任した。大統領によるFRB理事解任は極めて異例で、大統領とFRBの対立が前例にない水準に高まっている。FRBの独立性と大統領の金融政策への関与を巡り長年確立されてきた規範を脅かすような長期法廷闘争にもつれ込む可能性も出てきた。
ただ、クック理事解任発表から一夜明けた26日、米株式市場の反応は控えめ。主要株価3指数は小動きにとどまり、明らかなパニックの兆候はほぼ見られない。
米債市場では、FRBの独立性や金融政策担当者の構成がよりハト派的になる可能性への懸念から、金利見通しに敏感な2年債利回りが低下し、イールドカーブがスティープ化した。2・10年債利回り格差は一時59.8ベーシスポイント(bp)と、7月16日以来の高水準に達した。
トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に投稿したクック氏宛ての書簡で、同理事が2021年に住宅ローン申請で有利な融資条件を得るために虚偽の申告をしたことに言及し、「解任に足る十分な理由があると判断した」と説明。合衆国憲法第2条および1913年連邦準備法に基づき、同氏を解任する権限があると主張した。 もっと見る
クック理事は数時間後、法律事務所を通じ記者団にメールで声明を送付。自身を解任する「法的根拠はなく、権限はない」とし、「米経済を支援するために職務を継続する」と表明した。
同法律事務所も、トランプ氏の「要求には適切な手続きや根拠、法的権限に欠ける。われわれはこの行為を阻止するために必要なあらゆる措置を講じる」とした。
連邦準備法は現職理事を「正当な理由」で解任することを認めている。ただ、特に1970年代以降、米国大統領は金融政策への信頼を確保するためFRBの問題に不干渉の姿勢を取ってきたことから、この権限がこれまで試された事例はない。
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