ずっと欲しかったのはこんなPC。「Surface Laptop Ultra」に感じた可能性
NVIDIAのRTX Sparkを搭載したMicrosoftの新型ノートPC「Surface Laptop Ultra」がいよいよ登場します。
米GIZMODO編集部は、短時間ながらSurface Laptop Ultraを体験しました。性能をじっくり検証する時間はなかったものの、実機の印象やデモの様子をレポートしています。
マイクロソフトのSurfaceシリーズのファンにとって、なかなか悩ましい状況が続いているといえるでしょう。
なにしろここしばらくは、このWindowsノートPCはかつてないほど高価になり、カラーバリエーションこそ増えはしてもデザインは従来モデルとあまり変わらず、といった感じ。
さらに、ARMベースのプロセッサーも、従来のPCユーザーにとっては必ずしも歓迎できるものではありません。
そんななか登場したSurface Laptop Ultraは、グレーの板のようなノートPCが再びクールになれることを証明しようとしています。
そして、どうやらマイクロソフトは、これまでで最も説得力のある答えを用意してきたようです。
マイクロソフト初のRTX Spark搭載ノートPCに触れられたのは、ほんの短い時間でした。
このノートPCには、NVIDIAがMediaTekと共同開発したARMベースのSoC「RTX Spark N1X」が搭載されています。ARMベースのWindows環境に、NVIDIAがあらゆる問題への答えとして推し進めるCUDAコアを備えたGPUを組み合わせたチップです。
Surface Laptop Ultraは、ずばりMacBook Proのライバルとして位置づけられています。
それは、筐体やサイズが似ているからだけではありません。マイクロソフトは「バッテリー駆動時間もGPU性能も犠牲にすることなく、あらゆる用途をこなせるノートPCになる」とアピールしているのです。
エミュレーションでもゲームは快適
Photo: KYLE BARR / GIZMODO USただし、マイクロソフトが主張する「なんでもできる性能」を本当に実現できるのかは、現時点ではまだわかりません。Surface Laptop Ultraは、さまざまな要素が絡み合う複雑な製品だからです。
搭載されているGPUの性能を生かせば、『Gears of War: E-Day』のような最新TPSゲームもプレイできます。マイクロソフトが用意したデモでは、グラフィック設定を「中」にし、DLSSによるアップスケーリングを有効にした状態で、滑らかな60fpsを実現していました。
さらに、フレーム生成を利用すれば120fpsに達する様子も披露されました。これは、Surface Laptop Ultraの明るい15インチのmini LEDディスプレイが対応する最大リフレッシュレートと同じ数値です。
ただし重要なのは、このゲームがARMネイティブではなく、マイクロソフトの「Prismエミュレーター」を介して動作していたということ。一応補足をしておくと、Prismは従来のx86向けWindowsアプリをARMベースのPCでも実行できるようにするエミュレーション技術です。
私はこれまでにも、同じRTX Spark搭載PCで複数のゲームがネイティブ動作、あるいはエミュレーションによって動作する様子を見てきましたが、そのパフォーマンスの高さには今でも驚かされます。
x86向けのゲームをARM環境でエミュレーションする場合、どうしてもある程度の性能低下は避けられません。それでも、ゲームのグラフィックは実に美しいものでした。
140W対応のマグネット式USB-Cがすばらしい
Photo: KYLE BARR / GIZMODO US筐体の完成度は特に印象に残りましたね。正直かなり魅力的です。
頑丈な金属製ボディは厚さわずか17.99mm。重量も16インチMacBook Proの約2.13kgをわずかに下回る2kgとなっています。フルサイズのSDカードリーダーをはじめ、ポート類も充実しています。
しかし、何よりすばらしいのは、マイクロソフトが従来のSurface Connectポートを大幅に進化させたことです。このマグネット式USB-Cポートは最大140Wの充電に対応しています。専用コネクターを約2.5cm以内に近づけるだけで、瞬きする間もないほどの速さで吸い付くように接続されるのです。
しかも、このポートはマグネット式ではない通常のUSB-Cケーブルにも対応しています。専用コネクターの利便性を手に入れても、従来のUSB-C接続を諦める必要はありません。
モジュール式の140W電源アダプターもそれほど大きくなく、子どもの握りこぶし程度のサイズです。もっとも、この電源アダプターを常に持ち歩く必要はないかもしれません。
バッテリー駆動でもGPU性能99%?
マイクロソフトによると、Surface Laptop Ultraは「電源コンセントに接続していない状態でもGPU性能の99%を維持できる」といいます。
もしこれが本当なら、非常に大きなメリットです。ディスクリートGPUを搭載する多くのゲーミングノートPCは、本来のピーク性能を発揮するために、大型の電源アダプターを必要とするからです。
一方、購入者を悩ませそうなのが、さまざまな構成と価格です。
Surface Laptop Ultraの最も安価なモデルは、512GBのSSDと24GBのユニファイドメモリを搭載し、価格は2,600ドル(日本では51万3480円)。1TB SSDと32GBのユニファイドメモリにすると3,300ドル(日本では63万6680円)になります。
さらに、N1Xには18コアのGrace CPUと5,120基のCUDAコアを備えたBlackwell GPUを組み合わせた下位構成のほか、20コアのCPUと6,144基のCUDAコアのGPUを組み合わせた上位構成も用意されています。
上位構成では64GB、さらには128GBのユニファイドメモリを選択でき、最上位にすると価格は6,000ドル(日本では109万4280円)近くになります。
AI開発にも対応。でも、まだわからないことも多い
Photo: KYLE BARR / GIZMODO USこうした高価な上位構成を求めるのは、おそらくAI開発者でしょう。
今回はAIを活用したデモも行なわれました。3DモデラーがAIを活用して、オリジナルの宇宙船デザインに使う背景モデルを制作するというものです。さらに、制作したものをPhotoshopに書き出し、アニメーション動画に仕上げるまでの流れも説明してくれました。
このデモを実行していたノートPCのメモリは64GBしか搭載されておらず、マイクロソフトによれば、AI処理はすべてデバイス上で実行されていたとのことです。しかし、NVIDIAもマイクロソフトも、一部の作業では依然としてクラウドベースのAIモデルが必要になることを示唆しています。
個人的には、新しいCopilotアプリの機能を利用するために、クラウドサービスのサブスクリプション契約を検討しなければならないような状況は避けたいところです。
ずっとこんなPCがほしかった
AIに関心があるかどうかにかかわらず、このノートPCがうたう性能は、私が長年PCに求めてきたものそのものといえます。薄型のボディ、長いバッテリー駆動時間、そして高いパフォーマンス。
まさに、こんなPCがずっとほしかったのです。
とはいえ、Surface Laptop Ultraはさまざまな要素が絡み合う、複雑なノートPCになりそうです。実機をもっと長い時間使ってみなければ、実際にどれほどの制約や注意点があるのかはわかりません。
Surface Laptop Ultraは、ほかのRTX Spark搭載PCとともに10月16日に発売されます。