相場展望11月3日号 米国株: AI・半導体株が牽引する相場も、12月金利低下に不透明感 日本株: 日経平均上昇に少数銘柄が寄与、ただ「勢い」低下傾向が散見
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)10/30、NYダウ▲109ドル安、47,522ドル 2)10/31、NYダウ+40ドル高、47,562ドル
【前回は】相場展望10月30日号 米国株: 米国株上昇の要因は、(1) AI (2) 利下げ期待 日本株: 日経平均寄与度高い少数銘柄で、日経平均を牽引、歪さ拡大
●2.米国株:人工知能(AI)・半導体株が牽引する相場も、12月金利低下に不透明感
1)10月の株価伸長 ・株価指数 9/30 10/31 上げ幅 上昇率 NYダウ 46,397 47,562 +1,165 + 2.51% ナスダック総合 22,660 23,724 +1,064 + 4.69% S&P500種 6,688 6,840 + 152 + 2.27%
半導体株(SOX) 6,369 7,228 + 859 +13.48%
・株価上昇の要因は、人工知能(AI)・半導体が牽引した相場が明白になった。
2)懸念材料 ・追加利下げ期待を、株価に織り込み過ぎた可能性。 ・12月利下げに不透明感。
・米国インフレの高止まり、再加速。
●3.トランプ大統領の不支持率が55%に上昇、最も不満な政策は「インフレ対策」(米NBCテレビ)
1)トランプ大統領の支持率は43%、不支持率は3月51%⇒55%に上がった。
2)2026年11月中間選挙の支持率は、共和党支持が2025年3月の47%⇒42%に低下。野党・民主党は50%に上り、民主党がリード。
3)「米国が間違った方向に向かっている」項目では、2025年3月の54%⇒61%に上昇、「正しい方向に向かっている」の回答37%を大きく上回り、現政権への不満増。
4)「トランプ大統領が期待の応えていない施策」で、最も高かったのは「インフレ」「生活費」の66%、次に高かったのは「中級階層への対応」で65%となり、経済問題を中心にトランプ政権への不満が高まっていることが明らかになった。
●4.バフェット氏は61億ドルの株売却、バークシャーの現金が過去最高3,817億ドル(ブルームバーグ)
1)バークシャーは現金保有額が7~9月期に3,817億ドル(約58兆7,800億円)に急増。投資収益は、短期金利の低下を背景に▲13%減の32億ドルにとどまった。 2)バフェット氏は年末をもってCEOを退任すると5月に発表して以降、株価は約▲12%下落している。
●5.米国連邦政府機関の一部閉鎖長期化で最大2兆1,400億円の損失も(Quck Money)
●6.米国GM、EV車の減速で1,700人削減(Quck Money)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)10/30、上海総合▲29安、3,986 2)10/31、上海総合▲32安、3,954
●2.中国BYD、7~9月期は減収減益、国内EV車市場の競争激化で苦戦(ブルームバーグ)
1)売上高は▲3%減の1949.8億元、市場予想を下回る。販売台数は前年比▲1.8%減。純利益は前年比▲33%減の78.2億元(約1,700億円)。
●3.中国、米国産大豆を今年1,200万トン購入へ=ベッセント財務長官(ブルームバーグ)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)10/30、日経平均+17円高、51,325円 2)10/31、日経平均+1,085円高、52,411円
●2.日本株:日経平均上昇が少数銘柄の寄与が目立つ、ただ「勢い」に低下傾向が散見
1)値上がり・値下がり銘柄数からみると、株高の「勢い」は低下傾向 ・値上がり・値下がり銘柄数 10/24 10/27 10/28 10/29 10/30 10/31 値上がり銘柄数 677 1,418 89 200 1,127 971 値下がり銘柄数 880 166 1,508 1,394 432 580 日経平均 +658 +1,212 ▲293 +1,088 +17 +1,085
・日経平均の上昇に比べ、値上がり銘柄数が減少傾向、値下がりが増加していることに注目した。
・新高値・新安値銘柄数 10/24 10/27 10/28 10/29 10/30 10/31 新高値 123 285 78 51 65 94
新安値 0 2 16 37 36 22
・日経平均の上昇と比べ、新高値銘柄数が減少、新安値が増加傾向にある。
・個別銘柄の動向をみると、株価は「勢い」が低下している。 これが示唆するものに着目し、定点観測を続けていきたい。
2)日経平均の上昇寄与上位5位の状況 (1)10/30、日経平均上昇+17円高に占める寄与はレーザーテク1銘柄でカバー。 ・日経平均・上昇寄与度上位5位 寄与度 上昇幅 レーザーテク +67円高 +5,000円高 東京エレクトロン +51 +500 アドバンテスト +40 +150 フジクラ +23 +695 NEC +11 +671 合計 +192円高 ・10/30、日経平均・下落寄与上位5銘柄 ソフトバンクG ▲205円安 ▲1,015円安 ファーストリテイ ▲78 ▲970 ディスコ ▲31 ▲4,630 ソニー ▲14 ▲83 日東電工 ▲11 ▲66
合計 ▲339円安
(2)10/31、日経平均+1,085円高、寄与上位5銘柄で+808円高・+74.47%を占めた ・日経平均寄与上位5銘柄 寄与度 上昇幅 アドバンテスト +233円高 +865円高 ファーストリテイ +175 +2,160 ソフトバンクG +155 +765 コナミ +125 +3,705 東京エレクトロン +120 +1,190
合計 +808円高
3)日経平均10月の月間上昇は+7,479円高・上昇率は+16.64%高 ・株価指数 9/30 10/31 上げ幅 上昇率 日経平均 44,932 52,411 +7,479 +16.64% NYダウ 46,397 47,562 +1,165 + 2.51% ・米国株式の代表指数であるNYダウと比べ、日経平均の上昇率が圧倒した。米国・半導体株指数(SOX)の上昇率+13.48%高をも凌いだ。
・日経平均の上昇要因は、米国の人工知能(AI)・半導体株の上昇が波及した。
・日経平均10月度の特徴 ・上昇幅は史上最大の7,479円高。 ・月間上昇率は2位となる+16.64%高。 ・7カ月連続の上昇。 ・月間の勝敗日数は、14勝・8敗と勝率は+63.6%。 ・粗い値動き。 ・株高 ・2,000円台高が1日間 : 10/6 2,175円高 ・1,000円台高が4日間 : 10/20 1,603円高、10/24 1,212円高、 10/29 1,088円高、10/31 1,085円高 ・800円台高が3日間 : 10/3 832円高、10/9 845円高、 10/15 825円高 ・株安 ・1,000円台安が1日間 : 10/14 ▲1,241円安 ・600円台安が2日間 : 10/17 ▲696円安、10/23 ▲666円安
・400円台安が1日間 : 10/10 ▲491円安
4)日経平均の今後は、テクニカル分析からは予想不能 ・好材料 ・好決算の発表 ・高市政権の発足で、 ・財政拡張や緩和的な金融政策の継続 ・防衛、半導体を重視した政策 ・日銀の金融政策決定会合で10/30に金利据え置きを決定 ・年末ラリーを意識した買い
・米国の高決算による波及効果
5)懸念材料 ・日経平均の日々の値動きが荒くなっている。
・日経平均上昇のなか、値上がり・値下がり、新高値・新安値銘柄数に変質傾向がみられるため、引き続き留意したい。株式相場の地合いとしては、悪化傾向がみられる。
・当面は米国株の好決算による上昇基調が続くと思われるが、米国決算発表のシーズン終了後の流れに留意したい。
・米国株、特に人工知能(AI)・半導体関連株の上昇の波及の行く末に注目。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・7741 HOYA 業績堅調 ・9843 ニトリ 業績堅調