「ごめんなさい」繰り返す10歳 泣きじゃくる長男を母は殴り続けた
「ごめんなさい。ごめんなさい」
体重が自身の1・5倍もある母親(31)に両足で踏みつけられた10歳の長男は横たわりながら、涙声で謝罪を繰り返した。
暴力はやまず、次第に言葉にならない叫び声を上げた。
幼い弟と妹は遠巻きに様子を見ることしかできず、父親は居合わせながら無関心を決め込んだ。
北海道・道央地方(札幌市など)にある住宅街で事件が起こったのは、2025年1月24日午後10時ごろ。
長男は自宅リビングで10分間暴行を受け続けた。
部屋の隅に追いやられ、上からにらみつける母親は何度も叱責した。
「言われたことをやれって言ったよな」
バチン、ゴンという音が響く。
頭や顔を殴られ、「ぎゃー」と泣きじゃくる長男に、母親は「言うことは何だ。あん?」と詰め寄った。
「もうやらない」。暴力が止まることを願い、長男は叫んだ。
激しい暴力の末、逮捕
北海道警は両親を6月に逮捕。母親は傷害罪で起訴された。
長男の左目のアザに気がついた小学校の教員が尋ね、「帰るのが遅れて殴られた」と説明したことが捜査のきっかけだった。
捜査関係者によると、逮捕に時間を要したのは妊娠中の母親が出産や育児を控えていたことも影響した。
札幌地裁で8月に行われた公判で長男について問われた母親は話した。
「面倒を見てと頼んだら、下の子たちを見てくれる。買い物に行くか聞いたら『何か買ってくれるかな』と思いながら喜んで来てくれる、とてもいい子」
愛しているはずの我が子に暴行を加えた。
理由について、母親は「思い通りにいかなかった」と明かした。
「ルール」が虐待の要因に
暴行の様子は8月6日の札幌地裁の初公判で明らかになった。
夫婦が自宅内に設置した見守りカメラが映像をとらえていた。
カメラは子供が無断で外出などしていないかチェックするために設置していたとみられ、捜査が始まるや夫婦は映像を消去したが、データは復元された。
母親は起訴内容を認めた。
事件のあった1月24日は長男が無断で外出し、門限を守らなかったため、暴行した。
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