ブラックストーンは増益-金利低下観測でクレジット事業に懸念も

オルタナティブ資産運用で最大手のブラックストーンは、借り入れコストが低下する中、プライベートエクイティー(PE、未公開株)のディールメーキングが勢いを取り戻しつつあることをこれまでで最も強く示唆した。

  一方、金利の低下見通しはブラックストーンにとって諸刃の剣でもある。運用資産ベースで最大の部門であるクレジット・保険部門の利益を圧迫する恐れがあるためだ。

  23日の米市場でブラックストーン株は下落し、一時5.9%安となった。

  同日発表の7-9月(第3四半期)決算によると、分配可能利益は48%増加。PE部門による投資売却の急増が利益を押し上げた。

  ジョン・グレイ社長はインタビューで、「資金調達のコストが下がり、資本がより利用しやすくなったことで、資本市場全体の動きが一段と速まっている」と述べた。

  運用資産1兆2000億ドル(約183兆2000億円)のブラックストーンはノンバンクの貸し手としても巨大な存在だ。7-9月にはクレジット事業に特に多くの資金が流入した。

  ブラックストーンはプライベート・クレジット市場で大きな存在感を持つ一方、この分野では投資家心理の変化や規制当局の監視を受けやすい立場にもある。今後の利下げ局面では、変動金利ローンで借り手に課す金利を引き上げる余地が縮小する見通しだ。

  グレイ氏はブルームバーグテレビジョンの別のインタビューで、「基準金利が下がりスプレッドが縮小すれば、プライベート・クレジット市場におけるシニアレンダーとして得られていた非常に高いリターンを維持するのは難しくなる」と述べた。

  23日の電話による決算説明会では、利回りの低下が個人投資家からの資金流入にどう影響するかについて、ウォール街のアナリストから質問が出た。

  グレイ氏は「定義上、金利が下がれば利回りに影響する」とした上で、それでもプライベート・クレジット投資家は、公開市場に対して「有意なプレミアム」を得られると、最終的には理解するだろうと述べた。

  7-9月の分配可能利益は18億9000万ドル(1株当たり1.52ドル)。1株利益は、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均は1.22ドルだった。同四半期の投資売却による利益は前年同期比で2倍余りとなった。

  グレイ氏はこのほか、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)の最近の発言に反論した。ダイモン氏は、サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスに関連して銀行が損失を出したことが、より広範な問題の前兆になり得ると示唆していた。

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  グレイ氏は、銀行によるいくつかの問題ある融資をプライベートクレジット業者と結びつけるのは無理があるように思われると指摘。「その関連性は理解できない」とし、「かなり個別的な事例のように感じる」と述べた。

原題:Blackstone Profits Soar But Lower Rates Bring Scrutiny to Credit(抜粋)

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