トランプのおかげで史上最高値をどんどん更新「有事の金」に今からでも投資すべきなのか…73歳現役FPの回答 株価暴落でも「金」は4月に最高値、14年前の約3倍に

トランプ米大統領の関税政策の影響で株価は乱高下。対して「有事のゴールド」が最高値を更新している。今からでも買うべきなのか。73歳現役FPの浦上登さんは「今後の市場の不透明さを考えると、値動きリスクのヘッジ手段として投資額の10~20%を金にすることを検討すべき。金の価格は今は高いが、毎月少しずつ積み立て投資する方法もある」という――。

写真=iStock.com/Pla2na

※写真はイメージです

アメリカのトランプ大統領が世界全体を相手に関税をかけると言い出し、株価が暴落した「トランプショック」。4月9日には報復関税を課さない国には相互関税は90日猶予するという声明を出したので、一転して株価は急騰したが、中国には125%の関税をかける(4月11日には145%に訂正)と宣言したこともあり、今後どんな形で事態が収拾されるのかは見えていない。

アメリカのAEI(The American Enterprise Institute)というシンクタンクは、トランプ政権の計算が間違っていて、彼らが提示した相互関税は本来の数字の倍になっていると指摘した。これが本当なら、始めから間違った認識によって世界を混乱に陥れたことになる。

基軸通貨を持ち、世界のGDPの4分の1を占める国といえども、腕力で歴史の針を巻き戻すことはできない。これで世界を恐慌に巻き込んだらトランプ大統領は永遠に悪名を歴史に残すことになるだろう。

ここで、方針を修正したとしても、バブル崩壊の兆しが見えていた米国の株式市場がどうなるかは予測不可能だ。

図表1を見ていただきたい。アメリカのS&P500の価格推移を直近の4つの株価後退、すなわち、リーマンショック、コロナショック、ウクライナ戦争、トランプショックで比較したものだ。

直近の高値からの下落率で比較すると次の通り。

リーマンショック △57% コロナショック △44% ウクライナ戦争  △25%

トランプショック △19%

(2025-4-12現在)

この比較でいうと、今のところ従来の3つの株価後退と比べれば、ショックは一番軽いが、今後株価は調整局面に入る可能性が高そうである。


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コロナショックや今回のようなトランプショックが起きると、株価は大幅に値下がりする。「長期的にみれば、上昇軌道に戻る。売却しなければ損は確定しない」といっても、暴落時における株価の下落は株式投資における大きな精神的負担である。人によっては暴落時に狼狽売りをして大損をしてしまうことがある。

2024年8月5日に日経平均が史上第2位の下落幅(4451円安)を記録したとき、わずか1日で回復したにもかかわらず、日経平均やオルカン、S&P500などのインデックス・ファンドを投げ売りした人がいたそうだ。

今回のトランプショックでも同じような人がいるのではないか?

株価の急落に人はそう簡単に耐えられるものではない。そんな時に、投資資産のうち、10%でも20%でも、相場の流れに逆らって上昇してくれるものがあると、何よりも精神的に楽で、冷静な判断ができるようになる。

その意味では、株式、投資信託と併せて、投資資金の10%でも20%でも金投資に回すことは大きな意味がある。

金価格の値動き、23年間で価値は11倍にも膨らんだ

図表5を見ていただきたい。これは2002年から2025年4月までの金の値動きを米ドル建てで示したものである。2002年から一貫して上昇していることがわかる。特に2023年以降の上昇率はかなり大きい。

これを表にしたのが、図表4である。

2002年1月2日から2025年4月10日までの上昇率を比較すると、S&P500が4.56倍であるのに対し、金は何と11.51倍である。

値動きのヘッジだけでなく、キャピタルゲイン狙いの投資商品としてもS&P500をはるかにしのぐ優秀な商品だということがわかる。

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