早慶MARCHの学生が内定を蹴って"闇のメガベンチャー"に…年商50億円超・違法スカウト集団「ナチュラル」の衝撃(プレジデントオンライン)

全国の性風俗店に女性を斡旋する国内最大の違法スカウトグループ「ナチュラル」は、約2000名の構成員がいるとされる。そこには、有名大学の現役学生や出身者も在籍している。なぜ若者たちはに入るのか。元NHK警視庁キャップで、『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(講談社)を書いた清水將裕さんに編集部が聞いた――。(前編/全2回) 【写真をみる】鹿児島県・奄美大島から移送され、羽田空港に到着した小畑寛昭容疑者=2026年1月27日 ■メンバーが組織を「会社」と呼ぶ理由  年間収益は少なく見積もって50億円。メンバーは約2000人。完全歩合制で、トッププレイヤーの月収は1000万円を超える。出来高ランキング、昇給システム、勤怠管理アプリ、研修動画、部署制。これは急成長中のメガベンチャーの話ではない。「最凶のトクリュウ」と呼ばれ、警察が捜査を進めている違法スカウト集団「ナチュラル」の組織運営だ。  『捕食』の著者、清水將裕さんは、NHKの報道局などで25年間、主に事件取材と調査報道に携わった記者である。警視庁キャップ、社会部副部長を歴任し、NHKスペシャル「職業“詐欺”」「未解決事件」シリーズなどの制作にも関わった。2024年10月に独立し、メディア関連会社を設立。ナチュラルの取材はその直後から本格化した。  現役メンバーへの接触に5カ月を要した。情報管理が極めて厳しい組織で、外部への情報漏洩には数百万円の罰金が科される。それでも複数のルートからアプローチし、メンバーたちの対面取材にこぎつけた。  取材で最初に印象に残ったのは、言葉遣いだったという。  「取材したメンバーがみんな“会社、会社”って呼ぶんですよ。ナチュラルとは呼ばない。組織としても、犯罪組織にいるという認識を薄めるために“会社”という意識づけをしているんだと思います」  実際、ナチュラルの内部は会社のような体裁で運営されている。

■総務課、プロ課、防衛部…  ナチュラルの内部には、約150人が所属する「本社」機能がある。一般企業同様、業務に応じてさまざまな部署が存在する。  例えば「総務課」は外部関連業務の全般、店舗からのスカウトバック(紹介料)の確認、集金、給料などの対応を行う。「プロ課」は警察への対策を専門に担う部署で、情報収集、組織防衛の方針策定、新人の研修や管理を受け持つ。名称自体が警察を「プロ」と呼ぶナチュラル独特の隠語に由来する。  「防衛部」は、捜査情報の収集や警察内部に協力者を仕立てる極秘工作を行っている。さらに「契約課」(新規契約店舗との交渉)、「アプリ課」(独自開発した闇アプリの運営)、「集金課」(全国数百店舗からの現金集金)、「サポート課」(各種トラブル対応)がある。  清水さんによれば、本社には営業畑で実績を積んだ経験者や、企業で社員の管理・研修を担当していた人物がいて、組織運営の中核を担っているという。ITスキルを持つ人材もおり、X(旧Twitter)上で反ナチュラルの発信をするアカウントへの攻撃や、内部の裏切り者の特定にも動く。  こうした「本社」の約150人が、約2000人の現場スカウトを統括している。 ■有名大学の学生たちがハマる経緯  では、その現場のスカウトにはどんな人間がいるのか。清水さんが接触に成功した現役メンバー「佐伯」(偽名)は、誰もが知る有名大学の在学中に、友人を通じて誘われた。  書籍からその様子を一部紹介すると、佐伯は先輩から「おカネ稼げる仕事あるから、ちょっとだけでも顔出しなよ」と言われ、都内のある場所で説明を受けた。飲み屋で相当なご馳走になりながら話を聞いているうちに断りづらい雰囲気になり、「最悪、嫌になったらやめればいいだろう」という軽い気持ちでそのまま入った。同席していた同じ大学の学生3人が、その場でナチュラルに加入している。  佐伯はナンパ経験すらなかったが、歌舞伎町での路上スカウト初日から女性と連絡先の交換に成功する。1カ月後に初めての給料を手渡しで受け取った。約10万円。4カ月後には月収100万円に達していた。  「ひとり女の子を捕まえるだけで、毎月その女性の稼ぎの約15パーセントが入ってくる仕組み」(清水さん)で、若者にとっては「おいしい仕事」となる。  佐伯のケースは特別ではないという。ナチュラルには早慶をはじめとする有名大学の学生や卒業生が多数在籍していることが確認されている。企業から内定を受けながら辞退し、ナチュラルに残る者もいる。しかも最近は「ナチュラル」の名を隠し、「クリア」「ホワイト」といった偽名で勧誘するため、入った時点では自分がどの組織に所属しているのか知らないメンバーも多いそうだ。

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