鷹・モイネロが突然現れたワケ 母国に"サプライズ"…支援に寄付、善行で広がる絆

 ソフトバンクとキューバの間に絆が広がっている。「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18野球ワールドカップ」が11日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われ、キューバ代表がオーストラリア代表に2-1で勝利した。キューバ出身のソフトバンクのリバン・モイネロ投手が、母国の応援に駆け付けたが、実は大会前にも“違う形”での支援を行っていた。

 試合開始45分前、キューバ代表のベンチがざわついた。颯爽と現れたのはWBCキューバ代表としても活躍し、ソフトバンクでも球界屈指の左腕として君臨するモイネロだった。「日本でキューバの若い選手がプレーしているのを観られるチャンスはなかなかないし、素直に応援したい」と訪れたのだった。

 突如と現れた母国の“スター”に選手たちは大興奮。モイネロはグラウンドまで出てきて1人1人と握手やハグを交わすと、選手やスタッフたちから2ショットを頼まれる人気ぶりだった。さらにグラウンド整備などを手伝う沖縄県内の野球部員もまさかの来場に、終始目を輝かせていた。

 応援だけではない。大会前にバットなど大量の野球用具をソフトバンクのチームメートから集め、キューバ代表に送っていた。「山川穂高」や「SHUTO 23」など、バットには名前が刻まれている。国の経済的な状況で野球道具に限らず物資不足が続く祖国を思っての行動だった。

「キューバは国の状況が良くなく野球用具だけでなく物がないので、少しでも力になりたいという思いからチームメートに協力してもらって用具を集めて送りました。用具をくれたチームメートにも感謝しています」

キューバ代表監督、ソフトバンクへ感謝「セカンドホームのよう」

 この行動にはパントハ・ディアス・アベイシー監督も脱帽。「彼の人間性の表れ。昔から知っていますが素晴らしい人間です。チームの勝利のために寄付をしていただいたことはありがたいことです」と内面を称賛し、「キューバの野球人にとっては、象徴のような存在。最高の目指すべき選手です」と手本となる選手だと語った。

 さらにソフトバンクの選手たちが、寄付に協力してくれた事実に「それを知って、とても感動しました。ソフトバンクの選手たちに対して、とてもありがたい気持ちで、感謝の気持ちを申し上げたいと思います」と語れば、多くの選手がソフトバンクに入団していることについても言及した。

「ソフトバンクはキューバ人選手にとってのセカンドホームのようになってくださり、ありがたいと思っています」。モイネロの善行をきっかけに、さらに深まったソフトバンクとキューバの絆。国を越えた助け合いがあった。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

関連記事: