パウエル議長、FRBの結束保つ-トランプ氏の圧力でも反対は1人

17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の決定で最大のサプライズは、主要政策金利の0.25ポイント引き下げに反対票を投じたのが1人だけにとどまった事実だろう。

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は今回、厳しい状況にもかかわらず、ほぼ全員一致の合意取りまとめに成功した。唯一反対票を投じたのは、会合初日の16日午前に就任したばかりのマイランFRB理事で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジの0.5ポイント引き下げを支持した

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  トランプ大統領の最側近の1人であるマイラン氏は他のFOMCメンバーよりも大幅な利下げを主張したもので、それはトランプ氏自身が過去数カ月にわたり米金融当局に注文してきた措置でもある。

  一方、金利据え置きを決めた7月のFOMC会合で、0.25ポイント利下げを支持して反対票を投じたウォラー理事とボウマン副議長(銀行監督担当)は今回、FOMC決定に賛成票を投じた。

  KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏はFOMCの政策決定を受けて、「パウエル議長が見事に意見をまとめ上げたのは明らかだ」とブルームバーグテレビジョンに語った。

  ホワイトハウスは、来年5月に任期満了となるパウエル議長の後任候補としてウォラー、ボウマン両氏を検討している。両氏とも、トランプ政権1期目にFRB理事に起用された。

  これに対しマイラン氏は来年1月末までの理事任期中、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長の職務を無給休職とする。

  マイラン氏を巡るこうした人事は、連邦準備制度の金融政策判断が政治的な影響を受けるとの懸念を強める形となった。他方で、米金融当局はトランプ氏による執拗(しつよう)な利下げ要求をほぼ無視し、今年に入って5会合連続で金利を据え置いていた。これはトランプ氏の関税措置に起因するインフレ高進リスクへの警戒が背景にある。

  パウエル議長は17日の記者会見で、FOMCの構造自体が特定の当局者に過度な影響力を持たせない仕組みになっていると指摘。会合参加者は計19人で、そのうち理事7人、地区連銀総裁5人の計12人が投票を行うことに言及した上で、「いずれかの投票権メンバーが何かを動かそうとするなら、非常に説得力を持たなければならない」と説明した。

原題:Lone Dissent Shows Powell Kept Fed United Amid Trump Pressure(抜粋)

— 取材協力 María Paula Mijares Torres, Margaret Collins and Adrienne Tong

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