海外版「ゼルダの伝説」が9600万円!? いまなぜ「レトロゲーム」ブームなのか 秋葉原の店舗で人気の「ネオジオ」の値段とは
「Nintendo Switch 2が発売されたから、昔のゲーム機が安くなっているかも!」
【写真】2万円超え!1993年に発売された「メガドライブ2」はコチラ!
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普段あまりゲームをしない筆者(30代男性)だが、そうひらめき、最寄りのリサイクルショップへ足を運んだ。
「型落ちした中古ゲームなら、1万円もあれば本体とソフト数本を買えるだろう」
そう思ったが、いざ店内を見渡すと、2017年発売のNintendo Switch(発売当時のメーカー希望小売価格:3万2978円)は定価から大きく値下がりしていない。目論見が外れたため、06年発売のPlayStation 3(同:4万9980〜5万9000円)に狙いを切り替えたものの、こちらも依然として2万円以上だった。
1993年に発売された「メガドライブ2」も2万円超え。カートリッジという概念を若い読者はわかるだろうか。さらに、このリサイクルショップでは04年発売のニンテンドーDS(同:1万4286円)、01年発売のゲームキューブ(同:2万5000円)、1990年発売のスーパーファミコン(同:2万5000円)など、数十年前のゲーム機までもが想像以上の高値で売られていた。
海外版「スーパーマリオブラザーズ」は約2億2000万円
近年、中古ゲームは「レトロゲーム」と呼ばれ、市場全体がプレミア化している。数十年前のゲームにも、多くの買い手がつく状況が続いているのだ。
海外ではその傾向が顕著で、21年にはNES(海外版ファミコン)用「ゼルダの伝説」(87年発売)がオークションサイトの「eBay」にて87万ドル(約9600万円)、NINTENDO 64用「スーパーマリオ64」(96年発売)がオークションハウス「Heritage Auctions(ヘリテージ・オークションズ)」に出品され156万ドル(約1億7200万円)、NES用「スーパーマリオブラザーズ」(85年発売)はコレクターサイト「Rally」で200万ドル(約2億2000万円)で落札されている。
2万円超えの「ドンキーコング」に目が行きがちだが、隣にある「宇宙家族ジェットソン」のゲームは13万8000円。Page 2
「中古ゲームが2億円!?」と驚くかもしれないが、これは極端な例だ。ただ、全体的にレトロゲームの価格が底上げされているのも事実である。
実際、都内の中古ゲームショップには、多くの訪日外国人観光客が訪れている。「レトロげーむキャンプ」秋葉原店の店長・田中祐博さんはこう語る。
「コロナ禍が明けて以降、外国人のお客様が増えました。コロナ禍前も“インバウンド”という言葉はありましたが、今ほど多くはなかったですね。それが、今では外国人と日本人の比率が7対3ほどです」
筆者が取材に訪れたのは平日の昼間だったが、確かに店内は大勢の外国人客で賑わっていた。
壁一面にかけられたファミコンソフト。カラフルでポップだが、どれもかなりの値段がするため、高額な壁だ。「当店で最も売れているのはゲームボーイ(89年発売)のソフトです。本体も当時、メーカー希望小売価格で8000円でしたが、今ではケースのない状態でも2万円前後で販売しています。カラーのものよりも初代のほうが数千円高いですね」
人気なのは「ポケットモンスター」シリーズ
田中さんは「ゲームボーイアドバンス(01年発売)を買えばゲームボーイのソフトも遊べるのに」とこぼすが、それよりも30年以上前の携帯型ゲーム機が高値で取引されている現実は、やはり衝撃的だ。
「ゲームボーイのソフトがすべて高騰しているのかといえば、必ずしもそうではありません。麻雀やスポーツ系のタイトルは、基本的に値がつきにくいですね。日本人に人気の『ドラゴンクエストI・II』(99年発売)も、外国人のお客様にはあまり売れません。ただ、こうしたソフトも少しでも値段を下げると、外国人のお客様に一気にまとめ買いされてしまいますね」
特に人気なのは「ポケットモンスター」シリーズだ。日本製ソフトはリージョンロックの影響で海外ハードでは遊べない場合がある。しかし、ゲームボーイはリージョンに依存しないため、ハードだけでなくソフトも値上がり傾向にあるという。
「今、ゲームボーイで遊んでいると周りに注目されそうだから買おうかな」と思ったが、2万円近い値段が……。