対米交渉託された赤沢亮正氏 外交経験乏しくも首相の地元側近 「茂木さん使えば」の声も

赤沢亮正経済再生担当相=25日午前、首相官邸(春名中撮影

石破茂首相が「国難」と位置付けるトランプ米政権の関税措置を巡り、ベセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表との交渉役を任されたのが赤沢亮正経済再生担当相だ。首相と同じ鳥取県選出で首相の信頼は厚く、旧石破派(水月会、解散)では政策委員長を務めた。一方、閣僚経験に乏しく交渉手腕は未知数だ。起用を不安視する声もくすぶっている。

「欧米流の交渉術学んだ」

「コーネル大学留学中にかなり欧米流の交渉術について学んだことはある。米国には米国の、わが国にはわが国の国益があり、両方にとって良い結果をどう実現していくかだ」

赤沢氏は8日、記者団に運輸官僚時代の米国留学を引き合いに、こう強調した。

関税政策は品目が多岐にわたり、複数の省庁を担当する経済再生担当相は司令塔機能を発揮しやすいというメリットがある。

甘利明元幹事長や茂木敏充前幹事長も、経済再生担当相時代に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉や第一次トランプ政権での日米通商交渉をそれぞれ担っている。

ただ、赤沢氏は当選7回ながら今回が初入閣。運輸省時代は国際航空課補佐官として、入省11年目の平成6年に日米航空交渉を担当したというが、政界転身以降、政府の一員として通商交渉に当たった経験は乏しいとされる。

「冷や飯を食わされた」

赤沢氏の武器は首相との近さだ。「趣味は石破茂といえるほどの『石破マニア』」を自任し、平成17年の衆院選で初当選して以降、首相の総裁選出馬に当たって政策集を作成するなど首相と政治行動をともにし続けた。

首相官邸内に閣僚として異例の自室も一時用意され、政権運営全般に目配せしていたという。一閣僚に過ぎない赤沢氏について「今の立ち振る舞いを見ていると絶対に(内政・外交全般を担当する)官房副長官をやるべきだった」(閣僚)との声も漏れる。

官房副長官は省庁や与党との調整を任される重要なポストだが、赤沢氏は入閣にこだわっていたという。赤沢氏は、自身に「閣僚として官邸業務に口出しするのは良くない。官房副長官をやるべきだった」と苦言を呈する党ベテランに対し、こう不遇をこぼした。

「私は本当に冷や飯を食わされていたんです。だから、閣僚に…」

首相はトランプ政権の関税措置への対応を巡り、れいわ新選組や共産党を含めた各党の協力を仰ぐなどオールジャパン体制で乗り切る構えだ。一方、党内外で茂木氏や甘利氏の協力を仰ぐべきとの指摘も根強い。

自民の中堅議員も「茂木さんを使えばいいのに…。友達が少ない(内)閣だと露呈した」と語っている。

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