自民党の高市新総裁、金融政策の責任も「政府に」 日銀と足並み強調
[東京 4日 ロイター] - 自民党の高市早苗新総裁は4日の記者会見で、金融政策の責任を持つのは政府だとし、日銀は最善の手段を考えて実行する立場だとの認識を示した。日本経済が「デフレではなくなったと安心するのは早い」と述べ、需要がけん引する形のインフレに移行するまで「しっかり日銀とのコミュニケーションを密に取っていかなければならない」と語った。
高市氏は、経済政策は政府と日銀が足並みを揃え、協力し合ってやっていかなければならないものだと指摘。その上で「財政政策にしても、金融政策にしても、責任を持たなければいけないのは政府だ」と述べた。
国際通貨基金(IMF)の基準では、日本経済がインフレになったと考えていいかもしれないが「コストプッシュ型インフレという状態で放置して、これでデフレではなくなったと安心するのは早い」と主張。賃金上昇が主導して需要が増え、緩やかに物価が上昇していくデマンドプル型のインフレへの移行が重要だとの認識を示した。
2013年に政府と日銀が公表した共同声明(アコード)の内容については「今の状態でベストなものかどうかということをしっかりと考えていきたい」と語った。
<物価高対策に注力>
自民党の総裁に女性が就任するのは初めて。高市氏は党幹事長を含む役員人事について「来週前半の早い時期に固めたい」と述べた。今月中旬に見込まれる臨時国会での首相指名選挙では首相として選出される公算が大きく、「多くの国民が直面している課題に取り組んでいかなければならない。何としても物価高対策に力を注ぎたい」と強調した。
物価高対策の一環としてガソリンと軽油の価格を引き下げたいと説明。暫定税率の廃止が適用されるまでの間は、現在残っている基金を利用して補助金として出していくと語った。財源は、税収の上振れ分や基金の残高などをみつつ、党の政務調査会で検討してもらうとした。
消費税の軽減税率引き下げについては、党内で多数意見とならず、参議院選挙の公約にも入らなかったと指摘。「選択肢としては決して放棄するものではないが、すぐに私たちが対応できることをまず優先したい」と語った。
石破茂政権は衆院が少数与党に陥る中、厳しい国会運営を迫られた。新政権が経済や外交・安全保障政策を力強くスピーディーに進めるには、安定した政治環境の構築が不可欠となる。高市氏は、自公連立に野党を加える形での政権枠組み拡大を想定していると説明。政策合意を含めた連立交渉を急ぐ考えを示した。
<靖国参拝は「適時・適切に判断」>
今月下旬には東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議や、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などの外交日程が控えるほか、訪日する方向で調整しているトランプ米大統領と首脳会談が行われることも想定される。
高市氏は、首相に就任した場合、靖国神社を参拝するかどうか「適時・適切に判断する」と述べた。「外交問題にされるべきものではない」とも強調した。
米国との関税交渉で合意した対米投融資については、運用上で日本の国益に合わない場合は、投資案件に関する日米協議の中でしっかり言及するべきだと述べた。一方、「2国間で合意したことは守る。今は特に日米で合意したことをひっくり返すことはない」と語った。
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