「比例復活すら難しい」 弱気の自民72歳を勝たせた「異常な状況」
衆院当選4回の福島伸享氏(55)は、今回の衆院選でも茨城1区で優位に選挙戦を展開しているはずだった。民主党や希望の党などを経て、前々回の2021年から無所属で出馬し2連勝。政党の支援を受けず「党より人物」のキャッチフレーズを掲げ、無党派層への浸透をはかる――。そんな戦略だった。
茨城県での衆院選を振り返る連載「選挙区の舞台裏」。今回は2回目です。 1回目:6区 「地上戦は負けていなかった」 中道見切った無所属候補の英断と誤算 3回目:「5区 風が吹かない現場で起きていたこと」は14日午前8時アップ予定
「私が戦っているのは何とはなしの高市ブーム。どこで誰が相手候補を応援しているのかも分からないまま、高市早苗さんを応援する選挙になってしまっている。それが苦戦している原因だ」
選挙戦最終日の7日、福島氏は小雪がちらつく水戸市の中心部で声をからし、危機感をにじませた。
報道各社の序盤の情勢調査ではリードが伝えられていたが、終盤には前回比例で復活当選した自民党の田所嘉徳氏(72)と「横一線の戦い」と報じられていた。
「高市さんを応援する選挙に」
真冬の選挙となった今回、「寒空の下、お待たせするわけにはいかない」(福島氏)と、公民館など1日6カ所の屋内会場で個人演説会を開催。図表を示しながら30分から1時間かけて自身の政策を丁寧に解説し、有権者にじっくりと人物で判断してもらう戦略だった。
一方、田所氏は屋内の個人演説会を取り入れつつ、業界団体などを動員した街頭演説が中心。福島氏の陣営幹部は「候補者の姿が見えない」と支援者から指摘があったと明かす。
福島氏はこれまで無所属での厳しい選挙戦を草の根で広げてきたボランティアと勝ち上がってきた。選挙戦最後の3日間はつじ立ちや電話による投票依頼などに「もう一段、二段ギアを上げて」(陣営幹部)取り組んだが、田所氏の追い上げをかわすことができなかった。
8日夜、落選が確実になったと報じられると、水戸市の事務所には重苦しい空気が漂った。
福島氏は記者団に野党第1党の失速が高市氏の独走を招いたとの見方を示し、「(中道改革連合への)忌避感が特に無党派層に及んだことによって、高市さんを応援する選挙になった。そこに無所属の私が入っていける実力はなかった」と淡々と話した。
雰囲気変えた小泉進次郎氏
一方、田所氏の陣営は序盤「比例復活すら難しいのでは」と漏らすほどだった。
田所氏は県議を経て12年の衆院選で初当選。福島氏とのつばぜり合いを続けてきたが、2回連続で比例復活に甘んじた。前回…