NPB初の"魚雷バット"使用に反応様々 「やってきた野球は何だったのか」複雑な思いも

■西武 2ー1 ソフトバンク(18日・ベルーナドーム)

毎週金曜は無料で「DAZN」で野球観戦 「FRYDAY Baseball」今週のピックアップカードはこちら!毎週金曜は無料で「DAZN」で野球観戦 「FRYDAY Baseball」今週のピックアップカードはこちら!

 日本でも“一大ブーム”を巻き起こすのか――。西武・源田壮亮内野手は18日、本拠地ベルーナドームで行われたソフトバンク戦に出場し、“魚雷バット”のNPB実戦使用第1号となった。

「2番・遊撃」で出場した源田は初回、1死走者なしでの第1打席で魚雷バットを使用。有原航平投手が投じた外角低めのツーシームを打つも、三ゴロに倒れた。3回2死三塁のチャンスで迎えた第2打席は、普段のバットに戻して臨み、インハイのカットボールに二ゴロを打たされたが、二塁手の適時失策を誘い、西武に先制点がもたらされた。源田はその後、右太もも前面の張りを訴え、5回の守備から交代した。

“魚雷バット”は、元マサチューセッツ工科大(MTI)の物理学者で、昨季までヤンキースのアナリストを務めたアーロン・リーンハート氏(現マーリンズフィールドコーディネーター)が開発。バットの先端が細く、魚雷もしくはボウリングのピンのような形状で、ヤンキースの複数の主力打者が使用して本塁打を量産して一躍話題になった。標準的なバットに比べて重心がグリップ側にあり、「詰まったと思った打球が意外に飛ぶ」という声も上がっている。

 NPBでは11日、プロ野球規則委員会で使用が容認され、同日からNPB公認のシールが貼られたバットは使用可能になった。源田は「練習中に振ってみたら感触がよかったので、試合で使ってみましたが、今日が初めてだったので、まずは1打席だけと決めていました。いつも使っているバットと比べて大きな差は感じなかったです」とコメント。帰途につく際には「ヘッドが細い分、うまく振り抜ける気もします」とも語った。

投手出身の西口監督「ボウリングのピンにしか見えなかった」

 NPB実戦使用第1号となったことについては、「たまたま、契約メーカーからNPB公認シールが貼られた(魚雷)バットが一番早く届いたのが僕だったということです。周りの選手からも『試合で使ってみて』と言われたので……」と苦笑した。

 投手出身の西口文也監督は「使ったの? 試合中はバットを見ていないから、分からない。練習中に握ってみたけれど、ボウリングのピンにしか見えなかった」と首を捻るばかりだった。

 仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチは「ウチでは(炭谷)銀仁朗(捕手)が日本ハムの万波(中正外野手)から1本もらって、練習で使い始めたのが最初でした。ただし、それは外国のメーカー製でNPB公認マークがなく、試合では使えなかった。ここにきて選手個々へ、契約メーカーから徐々に届いているようです」と明かす。

 ただ、“魚雷バット”の効果を語るには、まだ使用例が少なすぎる。仁志コーチは「良いという選手もいれば、よく分からないという選手もいます。そもそも、形状は違いますが、重心が手元側にあるバット自体は昔からあります」とした上で、「選手たちとは『(魚雷バットで)噂されているほど劇的に変わるなら、今まで俺たちがやってきた野球は何だったのか、という話にならないか』という話もしています」と複雑な表情も浮かべていた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

関連記事: