米国株の急回復を的中-4月急落でも強気貫いた2人のストラテジスト

米国株式相場が4月に急落する中で、モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏と、当時ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズに所属していたクリストファー・ハービー氏は、強気の姿勢を貫いた。多くの米市場関係者が見通しを引き下げる中、対照的な判断だったが、結果的に正しかった。

  米国株は4月以降、トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争に伴う経済リスクをほぼ無視する形で回復し、人工知能(AI)を巡る期待などを追い風に最高値を更新した。足元ではインフレ指標を受け、米金融当局が来月にも利下げを再開するとの観測が相場を押し上げている。

  S&P500種株価指数は4月の安値から30%上昇している。4月に強気見通しを撤回したセルサイド(証券会社など)のストラテジストらは、大半が想定していなかった猛烈な勢いに追いつくために見通しを引き上げ、再び方向転換を迫られた。

  ラウンドヒル・インベストメンツのデーブ・マッツァ最高経営責任者(CEO)は「悪材料が続く流れになるとひるみたくなるが、そういう時こそ規律が重要だ」と指摘した。

  ウィルソン氏はS&P500の12カ月目標を6500に据え置き、顧客に押し目買いを推奨。一方、ハービー氏は利下げ観測や規制緩和が株価を押し上げるとの見方から、同指数の年末予想について、ウォール街の最高水準である7007に維持していた。

  ウィルソン氏は強気見通しの根拠として、モルガン・スタンレーのセンチメント指標が4月7日に「明確な降伏」を示したことに加え、1株利益(EPS)予想を上方修正したアナリストの割合と下方修正したアナリストの割合の差を示す指標が急回復していた点に言及。13日の電子メールで「これら二つの指標が合わさって、急激な反発が示唆されていた」とコメントした。

  同時に4月の急落については「2025年の当初の予測で織り込んでいた」と説明。「新政権は上半期にあらゆる手を尽くすだろうと予想していた。その通りになったが、われわれの想定よりも迅速かつ激しいものだった」と語った。

  ブルームバーグが追跡している19人のストラテジストが予想するS&P500の今年の上昇率は、昨年12月時点では平均13%だったが、5月には2%へと大幅に引き下げられた。これは20年に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まった当初よりも引き下げペースが速い。6月に入ると多数が再び強気に転じた。

  S&P500の13日終値は6466.58。年初来では約10%上昇している。

  ハービー氏を巡っては今月11日、事情に詳しい関係者の話としてウェルズ・ファーゴを退社したことが明らかになっていた。 

原題:Mike Wilson, Chris Harvey Aced Calls for Big Stock Recovery (1)Wells Fargo’s Top Equity Strategist Chris Harvey Leaves Firm (1)(抜粋)

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