ココイチも参入した「夜パフェ専門店」 壱番屋はなぜ“甘い夜”に乗り出したのか
「カレーハウス CoCo 壱番屋」などを展開する壱番屋が、スイーツ事業に参入した。2030年に向け、「食のエンターテインメント企業」の実現を掲げる同社では、2020年からM&Aを通じた事業領域の拡大を進めている。これまでは、ジンギスカンやラーメン、モツ鍋といった食事領域だったが、2025年12月に夜パフェ専門店を運営するGAKU(ガク、札幌市)を完全子会社化した。 【画像】まるでアート作品! ココイチが参入した「夜パフェ」じっくり見る(12枚) 札幌発祥の夜パフェは「シメパフェ」とも呼ばれ、お酒を飲んだ後にパフェを食べる文化を指す。札幌発の観光Webマガジンによると、2014年頃に「シメパフェ」という言葉が誕生し、2015年9月には市内の7つの飲食店が集まり「札幌パフェ推進委員会」を設立。「札幌シメパフェ」の文化を広めていったという。 ガクは2015年8月、「夜パフェ専門店 Parfaiteria PaL」(パフェテリア パル)を札幌に開業しており、夜パフェ発祥の店とも言われる。2017年には「Parfaiteria beL(パフェテリア ベル)」として東京にも進出。アート作品のようなパフェがSNS映えの文化ともマッチして、行列ができる人気店となった。現在は、全国に9つの夜パフェ専門店を展開する。 壱番屋にとってスイーツは未開拓の領域だが、どのように両社のシナジーを生み、事業成長につなげていくのか。執行役員の平尾康能氏に「スイーツ事業参入の狙いと勝ち筋」を聞いた。
収益のほとんどをカレー事業が占める壱番屋だが、2019年に浜島俊哉前社長から葛原守社長へ交代したことを機に、M&Aを通じて事業領域の拡大に取り組んでいる。 ジンギスカンの「成吉思汗 大黒屋」を運営する大黒商事を2020年12月に子会社化したことを皮切りに、2023年3月に「麺屋たけ井」を運営する竹井、同年12月に「博多もつ鍋 前田屋」を運営するLFD JAPAN、2025年1月に「極濃豚骨 らーめん小僧」などを運営するKOZOU(コゾウ)、そして同年12月にガクを買収して事業ポートフォリオを広げてきた。 「当社のM&Aの方針として、テークアウト専門店ではなく、店内飲食サービスを伴うこと、お酒メインの居酒屋やバーではなく、『これを食べたい』として来店する食事メニューが中心であることを重視しています。それが『食のエンターテインメント企業』に欠かせない要素であり、当社の強みを生かせると考えるためです」 この方針に加え、これまでの買収企業は、全国で10数店舗ほどとそれほど規模が大きくない企業が多い。こうした企業は、さらなる拡大に向けた次の一手として大手との提携を視野に入れていることがあり、互いの狙いが一致しやすい。全国に9店舗を展開するガクにも、まさに同様の狙いがあった。 とはいえ、食事領域に強みを持つ同社が、なぜスイーツ事業に参入したのか。 「当社では、国内の魅力ある飲食事業であれば、どんどんグループインしていただきたいと思っています。当初からスイーツ事業に参入したい意図があったわけではなく、ガクとのご縁があり子会社化に至りました」 ガクの創業者である橋本学氏のInstagramには、M&Aの経緯や思いがつづられている。抜粋すると、「年商が10億円を超えて数年が経過し、次のステップとして国内での店舗拡大や海外展開に向けて土台作りを進めてきた。しかし、独力での限界を感じ、大手との資本提携を模索していたところ、仲介会社を通じて壱番屋から声がかかった。そこで互いの思いが一致して、新たなチャレンジをする運びになった」という。 実は、橋本氏は飲食業界の恩師を通じて壱番屋の経営哲学を模範にしており、「運命的な出会い」とも書かれていた。