糖尿病患者のBMI、腎機能に影響するのは平均値より変動幅 ~日本人の患者6,700人を対象に検討~

 年末年始など特定のシーズンに体重が増えることはよくある話だが、体重の変動は心血管疾患の発症リスクとなりうる。しかし、体重の変動が2型糖尿病患者の腎機能にどのような影響を及ぼすかについては明らかでない。慶應義塾大学の研究グループは今回、「腎機能低下に関わっているのは体重増加そのものではなく、その変動の大きさ、すなわち変動幅である」との仮説を立て、大規模な日本人コホートのデータを用いて検証。その結果、2型糖尿病患者では、BMIの季節変動幅が大きいほど腎機能が低下することが示され、仮説が立証されたとDiabetes Care 2026(49:990-998)に報告した。

 研究グループは、大規模な日本人コホートである糖尿病データマネジメント研究会(JDDM、2014~2020年)のデータベースを用いて、日本人2型糖尿病患者6,700人のデータを解析した。BMIの季節変動幅は、年間のピーク(最高)値とトラフ(最低)値の差と定義した。

 主要評価項目は推算糸球体濾過量(eGFR)40%以上の低下とし、副次的評価項目はeGFR30%以上の低下、クレアチニン値の倍増、慢性腎臓病(CKD)ステージ3以上への進行、腎不全とした。解析には、多変量Cox回帰モデルを用いた。

779/6,700人が主要評価項目に到達

 その結果、中央値6.8年の追跡期間中に、対象患者6,700人のうち779人が主要評価項目に到達した。BMIの季節変動幅が1標準偏差増加するごとに、eGFRが40%以上低下するリスクは23%上昇〔ハザード比(HR)1.23、95%CI 1.16~1.31〕。BMIの変動幅で3グループに分けたところ、最も小さい群と比べ最も大きい群でリスクが72%高かった(HR 1.72、95%CI 1.42~2.09)。

 eGFR30%以上の低下(HR 1.18、95% CI 1.13~1.23)、クレアチニン値の倍増(HR 1.30、95% CI 1.17~1.45)、CKDステージ3以上への進行(HR 1.11、95%CI 1.07~1.16)の各リスクについても同様の結果が得られた。

 長期的な影響を評価した縦断的解析では、BMIの変動幅が大きいほどeGFRの低下がより急峻であることが示された。この結果は、薬剤使用の影響を考慮した感度分析においても一貫していた。

 研究グループは、「2型糖尿病患者では、BMIの季節変動幅が大きいほど腎機能の低下が大きかった。BMIの季節変動幅は、腎機能低下の高リスク集団を拾い上げる指標となりうる」と結論。その上で「BMIの季節変動幅を抑えることが腎機能の予後改善につながるかどうかは、今後前向き研究で評価していく必要がある」との考えを示した。

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