マツダ、関税影響で2026年3月期第3四半期累計は減収減益も第3四半期3か月は黒字反転

決算説明会で解説を行なったマツダ株式会社 代表取締役社長兼CEO 毛籠勝弘氏

 マツダは2月10日、2026年3月期 第3四半期(2025年4月1日~12月31日)の決算内容を発表した。

 2026年3月期 第3四半期累計(2025年4月1日~12月31日)の売上高は3兆5014億9900万円で前年同期(3兆6894億1900万円)から5.1%減、営業利益は231億2000万円の赤字(前年同期は1482億5400万円)、営業利益率は-0.7%、経常利益は374億1900万円で前年同期(1567億6900万円)から76.1%減、当期純利益は147億1000万円の赤字(前年同期は1905億7900万円)となった。

 また、連結出荷台数は83万4000台で前年同期(90万2000台)から6万9000台減、グローバル販売台数は92万台で前年同期(96万6000台)から4万6000台減。

2026年3月期 第3四半期の財務指標
2026年3月期 第3四半期の生産台数とグローバル販売台数
マツダ株式会社 代表取締役 専務執行役員兼CFO ジェフリー・H・ガイトン氏

 同日に行なわれた説明会では、マツダ 代表取締役 専務執行役員兼CFO ジェフリー・H・ガイトン氏が2026年3月期 第3四半期の決算内容について説明。

 ガイトン氏は冒頭で決算の総括について説明。9か月連結の決算内容については上記の通りとなっているが、2025年10月~12月の3か月としては、営業利益、当期純利益、フリーキャッシュフローなどの項目でいずれも黒字反転を実現しているとアピール。通期見通しについてもこれまでに発表している営業利益500億円、当期純利益200億円を変更せず維持することを説明した。

2026年3月期 第3四半期決算の総括

 2026年3月期 第3四半期累計の営業損失が231億円となった要因としては、「コスト改善」で188億円、「固定費等」で353億円の増益要因を生み出した一方、北米市場で行なわれている「関税影響」により1192億円を減益要因として計上。さらに「台数・構成」でも780億円が主な減益要因となっている。

営業利益の変動要因

 グローバル販売台数が対前年比で5%減の92万台となった主な原因は米国と欧州での販売減で、米国では「CX-50」などの販売が増加したものの、依然として関税負担が大きいメキシコ工場で生産される「CX-30」の生産を抑えたことで販売台数が減少。

 欧州での販売減は、「MAZDA 2」のハイブリッドモデルと「MAZDA 6」が販売終了したことに加え、新型モデルの発売を控えて「CX-5」の販売が減少していたことを主な要因としている。一方で継続販売モデルの台数は大幅に増加しており、新型「MAZDA 6e」は想定どおりの7000台を販売しているという。

 中国では9月に発売した新電動車「EZ-6」が好調で、第3四半期累計の販売台数を押し上げて対前年でプラスに転じている。また、オーストラリアでは販売競争が激化しており、特に小型車や低価格帯セグメントで販売が弱含みとなって「CX-3」と「MAZDA 2」の販売が減少している。

市場別の重点取り組みと第3四半期までの累計実績:日本市場
市場別の重点取り組みと第3四半期までの累計実績:北米市場
市場別の重点取り組みと第3四半期までの累計実績:欧州市場
市場別の重点取り組みと第3四半期までの累計実績:中国市場
市場別の重点取り組みと第3四半期までの累計実績:その他市場
2026年3月期 通期の業績見通し

 通期の業績見通しでは、グローバル販売台数見通しに直近の販売状況を反映し、地域別の台数をアップデート。11月の上期決算説明で公表した見通しから台数見通しを2万台下方修正した。これを受けて売上高についても800億円下方修正する一方、為替で対米ドルなど主要通貨で円安になることを想定し、経常利益は100億円上方修正。営業利益と当期純利益については前出のとおり据え置きとしている。

2026年3月期 通期の台数見通し
通期見通しにおける営業利益の変動要因(対11月公表値)
通期見通しにおける営業利益の変動要因(対前年度比)
マツダ株式会社 代表取締役社長兼CEO 毛籠勝弘氏

 ガイトンCFOの説明に続き、マツダ 代表取締役社長兼CEO 毛籠勝弘氏が今季の振り返りと今後の展望についてプレゼンテーションを行なった。

 毛籠社長は冒頭で、関税影響による赤字化から短期間で黒字化するべく尽力したグループ従業員、取引先のスタッフ、販売店、金融機関、行政など各方面の関係者に感謝の言葉を述べたあと、今期は年間で約2300億円を超える関税コストが発生する想定となり、極めて厳しい経営判断を迫られたと説明。

 自分たちでコントロールできる部分に踏み込んで、地域の雇用とサプライチェーンを守り抜くという危機管理方針に正面から向き合いつつ、優先順位を明確化。パートナーと連携しながらやるべきことを積み上げて四半期ごとに着実に回復の歩みを進めてきたと振り返った。

 市場別では、関税影響を直接受けた主力市場である北米で、短期的な台数よりも収益性と事業の継続性を最優先する取り組みを実施。関税によって収益が厳しくなった「MAZDA 3」と「CX-30」について、メキシコ工場から米国に対する出荷を抑制し、約5万台程度の販売減となった一方で、米国・アラバマ工場製の「CX-50」と収益力の高い「CX-5」、さらにラージ商品群の販売を着実に積み上げ、この結果として米国市場では2025年暦年で40万台以上を販売。対前年比では販売減となったものの、想定どおりの運営を続けているという。

 また、カナダとメキシコでは、アラバマ工場で生産する「CX-50」の全量を米国向けに振り向けた穴を、「CX-30」「CX-3」「MAZDA 2」といったモデルの展開によって販売拡大を図り、北米市場全体では60万台/年と前年同等の水準を確保。北米では当第3四半期において収益でも黒字転換を果たし、「よく踏ん張ってくれた」との考えを示した。

関税影響を直接受けた北米市場でも販売台数を維持

 また、この第3四半期に地域別で最も大きく収益に貢献したのは欧州市場となっており、ラージ商品群の出荷が伸びたほか、出荷が本格化したMAZDA 6eや新型CX-5の事前受注も好調に推移しているという。

欧州市場では「MAZDA 6e」と新型「CX-5」が市場投入

 2022年からスタートした「2030経営方針」のフェーズ2については、「トランジション期間」に位置付けたフェーズ2は米国の関税影響や調達リスクなどによって不透明さが増していると説明。それでも「マルチソリューション戦略」「ライトアセット戦略」に加え、BEV(バッテリ電気自動車)はイニシャルフォロワーとする基本方針をキープして、主要なイニシアチブを着実に進捗をさせているとした。

 継続して取り組んでいる「構造的原価低減」と「固定費効率化」については現場で確かな手応えが出はじめており、2年半前から着手した風土改革「BLUEPRINT」活動により、社員が自律的に考え、動く意識が全社に浸透し、今回の厳しい局面を支える大きな力になっていると評価した。こうしたフェーズ2の取り組みが、2026年以降の収益力改善に確実に効いてくると述べた。

「2030経営方針」のフェーズ2について

 今後に向けたアウトルックでは、マツダのマルチソリューション、ライトアセットを軸とする電動化へのトランジションは、短期的な環境変動に左右されにくい健全な成長に向けた大きなアドバンテージになっていると強調。

 2026年は新型「CX-5」のグローバル展開が業績の土台を支え、これまでに仕込んできた原価低減活動、固定費の効率化、共創の取り組みなどの成果が段階的に収益改善として現れてくると語り、この下半期の反転基調を土台に、関税コストを跳ね返して次の成長に向けて力強く前進していきたいと力強く意気込みを述べた。

新型CX-5のグローバル展開や原価低減の取り組みなどで収益力を高めていく
決算説明会資料の表紙には、4月から日本市場向けの生産を開始する「CX-5」が登場

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