「学校休んでW杯見たい」中学生の息子からお願い、親は認めていいのか?(弁護士ドットコム)|dメニューニュース
中学生の息子が学校を休んで「ワールドカップ」を見ると言い張って困ってます──。
サッカーの祭典、2026FIFAワールドカップ北中米大会が日本時間6月12日に開幕しました。そんな中、冒頭のような親の悩みがSNS(Threads)で話題になっている。
投稿には「本当にサッカーが見たいのであれば、それも社会勉強の一つかと」「俺なら休んでいいよとか言っちゃいそう」「学校休みますは反対派です」などの賛否のコメントが寄せられている。
今回の開催地はアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国。史上初となる48チーム参加の大会として注目を集めている。
史上最強との呼び声もある日本代表への期待は大きく、世界のスター選手たちのプレーにも関心が集まる。
生中継で観戦する場合、日本では深夜や早朝になる試合も多いため、「学校や仕事を休んででも見たい」という声が上がるのも無理はない。
では、法的にはどう考えればいいのだろうか。
●学校を休ませたら違法になる?
まず、子どもが学校を休んだり、遅刻したりすること自体が、違法になるわけではない。
一方で、保護者には、子どもを就学させる義務があり、正当な理由なくこれを怠ることはできない(学校教育法17条1項・2項)。
この義務を履行せず、教育委員会の督促を受けて、それでも履行しない場合、保護者は10万円以下の罰金となる(同144条1項)。
ただし、この罰則が適用されるのは、正当な理由なく長期間欠席させるなど、悪質なケースだとされている。
ワールドカップ観戦のために1日休ませることは「正当な理由」とは認められにくいが、直ちに法的責任は問われないと考えられる。
●法律よりも「家庭」のルールや価値観
親子間の対立として考えると、論点は法律よりも家庭内のルールや価値観に近い。
息子は「試合を見たい」、親は「学校を優先してほしい」。どちらにも一定の理由がある。
だからこそ、「絶対ダメ」「好きにしなさい」と感情的にぶつかるのではなく、「観戦後は必ず登校する」「遅刻は認めるが欠席は認めない」など、家庭内で一定のルールを決めるという考え方もあるだろう。
●「W杯休暇」は認められるのか
ワールドカップ期間中は「仕事を休みたい」という大人たちの本音もSNSにあふれる。
では、観戦のために会社を休むことは問題ないのだろうか。
有給休暇であれば、原則として取得理由を問われない。ワールドカップ観戦を理由に休暇を取得すること自体は、法的に問題となるケースは少ない。
ただし、無断欠勤したり、虚偽の理由を申告したりした場合には、服務規律違反として懲戒処分の対象になるリスクがあると考えられる。
●忘れられない一日か、それとも学校優先か
世界中が熱狂する4年に一度の祭典だ。子どもにとっては、一生忘れられない経験になるかもしれない。
1980年代生まれの筆者も、深夜に眠い目をこすりながら見たアメリカ大会やフランス大会の記憶は昨日のことのように残っている。
一方で、学校生活を優先するという考え方にも十分な理由がある。
大切なのは、「なぜ休みたいのか」「なぜ行ってほしいのか」を親子で共有し、納得できる着地点を探すことだ。
最近では、一部の自治体で「ラーケーション」(学習+休暇)という制度も導入されており、学校外での学びや体験を重視する考え方も広がりつつある。
ワールドカップという特別なイベントだからこそ、教育や制度も踏まえながら判断することが求められそうだ。