Windows10サポート終了するけどゴリ押しで使い続けたらどうなる? 専門家に聞いた回答「闇バイトに利用される」
PCの買い替えって面倒くさいよなあ。私(中澤)はフォトショップとか動画制作ソフトとか音楽制作ソフトとかを設定し直す億劫さからPC環境を変えることには消極的だ。もう一生Windows10でいい。でも、そんな私のような人間に一斉にリミットが迫っている。
2025年10月13日にマイクロソフト社によるWindows10のサポートが終了するのだ。嘘だろ!? まだまだ使う気だったのに! っていうか、買い替えるの面倒くさすぎる!! どうしてもPCを買い替えなきゃダメなのか? そこで専門家に話を聞いてみよう。
・実は家電量販店じゃない
訪れたのはPCデポ。ネットで検索すると「家電量販店」とも記載されているPCデポだが、実はヤマダ電機とかヨドバシカメラとは少し毛色が違う。モノの販売というより、専門家によるパソコンやネットなどの問題解決やサポートをメインとしているのだ。
しかも、相談だけなら無料でできる。そんなわけで入店してみたところ、店内も量販店というよりオフィスみが強い。商品コーナーよりも目立つのはラウンジ。来客ラウンジ、プレミアム会員ラウンジ、eスポーツコーナー、コワーキングスペースなどなど、各種ラウンジがスペースの大半を占めている。
まず、その店内のスペース配分に腰を据える意志を感じた。PCデポの内部がこんなことになっていようとは。
・無料相談してみた
話を伺ったのは、そんな平和台店の責任者である沼田真平さんである。お客さんから持ち込まれる悩みを解決して20年くらいになるという沼田さん。PCデポには担当がつく月額会員制があり、これは月額で1人1人に合わせた対応をしていく担当医のようなサービスとなっているが、彼と長い付き合いのお客さんは多い。
機材のアドバイスや工事だけでなく、詐欺電話の対応まで幅広く行っているそうなので、まさしくPCやネットに付随する問題全般の対策家と言える。沼田さんが今の仕事を担当されてからWindowsのサポート終了って何回目ですか?
沼田真平さん「XP、Vista、7、8、8.1と来て今回の10なので、回数で言うと6回目ですね。ただ、今回はXPの時に近いと思います。XPは使ってる人が多かったので、買い替えの規模感がひと際大きかったんです。一方で、7、8は10に無償アップデートできました。
つまり、7、8からのアップデート分も含め、世の中にWindows10の稼働台数は多いということです。そして、そのアップデートの際に不具合が頻発したこともあり、今回はほとんどのPCが切り捨てられる形になりました」
──私のPCは最初からWindows10ですけど、やっぱり買い替えないとダメなんでしょうか?
沼田真平「一応、11にアップデートできる場合があるので、まずはそれを調べてみましょうか。マイクロソフトのツール『PC正常性チェック』で調べることができるので、ご自宅のPCでやってみてください。
Windowsのタスクバーの検索で『PC正常性チェック』と検索したら出てくると思うんですが、インストールされてない場合はマイクロソフトからアプリをダウンロードしてください。現在、アプリを起ち上げて1番上に11へのアップデートのチェックボタンが表示されているので『今すぐチェック』をクリックすることで確認できます」
──「このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません」と表示されました。
沼田真平さん「買い替えるのがオススメですかね。ウチで買わなくても良いので」
──このチェックをクリアしたら買い替えなくていいんですか?
沼田真平さん「アップデートはできるということですね。ただ、さっきも言った通り、マシンによってはOSアップデートで不具合が出るケースもあります。なので私としてはPC正常性チェックをクリアした上で、メモリは8GB以上、Windowsやデータを入れる内臓ストレージはHDDではなく、SSDをオススメしてます」
・どうしても買い替えなきゃダメか?
──別にサポートが更新されなくても良いんですけど。どうしても使い続けちゃダメなんですか?
沼田真平さん「インターネットは見ますか?」
──バリバリ見ます。むしろネットしか見てません。
沼田真平さん「Windowsってサポートのアップデートで新しいウイルスなどの脅威から守られているんですね。サポート終了ということは、その防御に開いた穴が放置されるということなので、危険に対し無防備になります。実際、PCが乗っ取られてお金を払っちゃったんだけどどうしようという相談は今時点ですら多いですし」
──盗られたらヤバイ情報が無ければいいんでしょうか?
沼田真平さん「情報が盗まれるというのも危険の1つなんですが、PCに入り込まれると犯罪に巻き込まれる可能性もあります。ハッカーが入り込めるPCを経由して攻撃したりするんですね」
──具体的に犯罪に使われたという相談ってあったりするんですか?
沼田真平さん「ありますね。最近、闇バイトが本当に流行っているようで、例えばウチの相談事であったのは、自分のアドレスから闇バイトのDMが大量に配信されているのを知り合いに言われて知ったとかです。あとは、PCを攻撃に使われていてプロバイダから通信制限が入ったという相談も受けたことがあります」
──なんにも知らないうちに闇バイトに加担してるのは怖すぎますね。
・逆に買い替えないという選択はないのか
沼田真平さん「あとは、ちょっと時間が経ったらシンプルにネットが見れなくなります。ウェブサービスは新しい環境に対応していくので、例えばYahooの表示が崩れてクリックできなくなったりしますね」
──ちょっとは見れるんですね。じゃあ、10月13日からちょっとくらいオーバーしても大丈夫ですね。半年くらいなら粘れますかね。
沼田真平さん「うーん……危険度の話をするとやはり先延ばしはオススメできません。もし私が悪いハッカーだったら今は何もせず、対応してない人が一番多いストップした翌日とかを狙うと思うからです」
──逆になんとかPCを買い替えずにネットを続ける方法ってないんですか?
沼田真平さん「そうですねえ……。PCデポではやってないですけど、インターネットを見るだけなら、OSでLinux(リナックス)を入れるという方法は1つあるかもしれません。ただ、リナックスはWindowsやmacOSのような大手企業とは違い、対応していないドライバやソフトも多いので自分で色々イジって設定できる人向けですね」
──なるほど、今のPCにこだわってネットをするならそういう自己責任の手段もあると。でも、確かにこの相談に来てる時点で私にはハードルが高そうです。っていうか、今使ってる動画制作ソフトとか音楽制作ソフトが使えない可能性も高いという意味では新しいPCを買ったほうがマシかもしれません。
沼田真平さん「お客様の条件ですと、ご近所の電気屋さんでもいいのでPCは買い替えることをオススメします。
もちろん、PCデポを利用していただけるのであれば、利用されてるソフトのデータ移行などのサービスもありますので、環境設定などもそのまま使えるように対応させていただきます。パソコンはWindows、Surface、Macと取り扱ってますし、他店購入持ち込みも対応していますので」
──ワードとかエクセルとかアドレス帳じゃなくて、音楽制作ソフトとか動画制作ソフトとか専門的なものが多いんですが、それも対応できたりするんですか?
沼田真平さん「そうですね。私は元ミュージシャンでDTMのことも分かりますし、それぞれのソフトに専門的な知識を持ったスタッフもいますので、何かに特化した内容であっても頼っていただいて問題ありません」
・ここまで無料で聞ける
頼っちゃおうかな。ちなみに、ここまでは無料の範囲でお金がかかるのは実際にアップグレードしたり移行作業をお任せしたところかららしい。沼田さんによると、見積書を出してからお願いするか考えるという形でOKなのだそうな。
PCの問題って発生しちゃうと後戻りできず、現状維持すらできなくなることも多い。今回のアップデートとか、まさにそれが発生しそうな件だけに、専門家に先のことを聞けたりフォローしてくれるサービスは意味があると思う。
というわけで、私は自分のPCを整理することから始めることにした。繰り返すが、Windows10のサポート終了は2025年10月13日。まだ何もやってない人はそろそろ引っ越しの準備を始めた方がいいぞー!
参考リンク:PCデポ、マイクロソフト「PC 正常性チェック アプリ」 執筆:中澤星児 Photo:Rocketnews24.