圧巻の50mドリブル陣地回復…0-4大敗も爪痕残した横浜FCルーキー遠藤貴成「もう一つ行ける手応えが大きい」“大学No.1”との対峙も刺激に

[6.22 J1第21節 横浜FC 0-4 広島 ニッパツ]

 サンフレッチェ広島に0-4の大敗を喫した横浜FCだったが、後半21分から右ウイングバックで投入されたMF遠藤貴成が確かな爪痕を残した。

 新潟県出身の遠藤は新潟U-15から東福岡高を経て、桐蔭横浜大から今季加入した大卒ルーキー。3月20日のルヴァン杯1回戦・岐阜戦(◯2-0)でプロデビュー、4月16日の同2回戦・北九州戦(◯2-1)でプロ初先発を果たすと、5月21日の同3回戦・町田戦(◯1-1、PK3-1)での延長戦での奮闘や、大逆転での8強入りを決めたプレーオフステージ・C大阪戦でのパフォーマンスが評価され、J1リーグ戦のメンバー争いに食い込んできた。

 その結果、今月14日の前節・川崎F戦(●0-1)で待望のJ1デビュー。プロ入り後にコンバートされたウイングバックのポジションで後半28分からの途中出場し、一定の存在感を放つと、18日の天皇杯・岩手戦(◯2-1)でも連戦起用され、この日の広島戦は自慢の突破力を活かした積極的な姿勢で、右サイド攻撃を活性化させていた。

 広島戦で圧巻だったのは後半42分のプレーだ。自陣ペナルティエリア内でクリアボールを受けた遠藤は対面の広島DF佐々木翔をワンフェイクでかわし、そのまま右サイドに向かって単独突破を敢行。カバーに入ったMF中島洋太朗も並走状態から抜き去ると、さらに背後で待っていたMF中村草太もターンでかわし、最後は中島のスライディングタックルを受けてFKを獲得した。

 それぞれ対人に強みを持つ3人の相手選手に対峙しながら、50m以上を駆け上がった圧巻の“陣地回復”。試合後、関東大学リーグで対戦経験のあった明治大出身ルーキーの中村も「あれはしんどかった。大学でかなりキレキレだったイメージがあったので、あの時間帯にはやりたくなかったですね」と苦笑いを浮かべていた。  遠藤にとっても、中村との対峙はプロでの進歩を実感できるものとなった。「面識はあまりないけど、大学ナンバーワンの選手だったのでマッチアップできたのは良かったです」。中村は明治大3年時、4年時に関東大学リーグ得点王・アシスト王を独占し、今季のJ1でも2ゴール6アシストという結果を残している同期屈指の存在。遠藤は「自分はまだまだ。彼はここまでも結果を残しているし、もっと追い越せるように頑張っていきたい」と大きな刺激を受けていた。  もっともそんな遠藤だが、この日のパフォーマンスに満足はなかったようだ。「ルヴァンも含めてJ1相手にやれる回数が増えてきて手応えは少しはあるけど、もう一つ行ける手応えが最近は大きい。今のプレーに“プラス”してもう一つ行けると思うので、練習から頑張っていきたい」。ルヴァン杯も含めればJ1相手の対戦はもう5試合目。「通用する」という段階はすでに過ぎているという考えだ。  次に見据える“プラス”は得点に関わる貢献。「いまは最低限というか、CKを取ったり、FKを取ったりはできているけど、試合に出ている以上は自分のクロスやシュートで貢献できないとダメ。そこがまだまだなので質は上げていきたい」。明確な目標を持ってトレーニングに取り組んでいるようだ。  さらに、より長い出場時間を獲得するため、そして先発のポジションを奪うための努力も欠かさない。 「自分はウイングバックを今年からやり始めて課題も多い中、まずは推進力、仕掛けをアピールして出場機会を得つつ、いろんなものを積み上げていかないといけない」  その一つがアタッカー出身のウイングバックが向き合うべき守備の課題となる。「そこはヨモさん(四方田修平監督)にも練習試合から求められているので学びながら、自分の特徴をなくさないようにやっていきたい」。厳しい残留争いを繰り広げるなか、守備の局面を耐え抜く仕事も不可欠。華やかなドリブル突破の強みを持つルーキーは、プレーの幅を広げながらより頼れる存在になるつもりだ。 (取材・文 竹内達也)●2025シーズンJリーグ特集▶お笑いコンビ・ヤーレンズのサッカー番組がスタート!

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