NY市場サマリー(22日)ドル下落、利回り急低下 株反発

<為替> ドルが幅広い通貨に対し下落した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がこの日行った講演で、9月の利下げの可能性を示唆したことが材料視された。

主要通貨に対するドル指数は0.96%安の97.66。パウエル議長の発言前は98.7近辺で推移していた。

パウエル議長はこの日、年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演。雇用への「下振れリスクの高まり」に言及し、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに着手する可能性を示唆した。

今月発表された7月の雇用統計が予想外に低調だったほか、消費者物価指数(CPI)から関税措置の消費者への転嫁が足元限定的であることが示唆され、市場では9月の利下げ期待が高まった。ただ、その後発表された7月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)が約3年ぶりの大幅な伸びとなったことなどから、利下げ観測は後退していた。

FRBの金融政策の主な判断材料として、今後の労働市場関連のデータに注目が集まる。

CMEのフェドウオッチによると、市場が織り込む9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は85%。取引序盤の時点では72%だった。また、年内の利下げ幅は計54ベーシスポイント(bp)になると見ている。パウエル議長発言前は48bpだった。

ドルは対円で1.08%下落し、146.77円となった。

ユーロは1.06%高の1.1728ドル。

ポンドは0.86%高の1.3527ドル。

豪ドル/米ドル<AUD=D3>は1.14%高の0.6492米ドルとなった。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは4.10%高の11万7035ドルとなった。

NY外為市場:

<債券> 国債利回りが急低下した。連邦準備理事会(FRB)パウエル議長はこの日の講演で、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの可能性を示唆した。

取引終盤で、2年債利回りは10.2ベーシスポイント(bp)低下の3.69%と、1日としては今月1日以来の低下幅となる見込みとなった。取引序盤で一時、1週間超ぶりの低水準となる3.675%を付けた。

指標となる10年国債利回りは7.2bp低下の4.25%。1日としては3週間ぶりの低下幅となった。

2年債と10年債の利回り格差はパウエル議長の発言を受けて拡大し、取引終盤で56.8bp。一時、58.1bpと7月中盤以来の大きさまで拡大した。

米金融・債券市場:

<株式> 反発して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が利下げを示唆したことを受け、ダウ工業株30種は過去最高値を更新して引けた。

S&P総合500種(.SPX), opens new tabの主要11セクターでは10セクターが上昇した。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)(.SOX), opens new tabは2.7%急騰。ほとんどの大型成長株も上昇した。
米電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O), opens new tabが6.2%高となり、上昇を主導した。

今週は大型ハイテク株の広範な売りが米国株を圧迫していたが、S&P総合500種はこの日は反発した。米国株は、トランプ大統領による追加関税発表で市場が動揺した4月の安値から急反発し、最近は過去最高値を更新しつつある。

一部懸念は残るものの、堅調な業績、貿易協定を巡る楽観論、利下げ期待の高まりなどが株価上昇の主な要因となっている。

その他の主要銘柄では、半導体大手インテル(INTC.O), opens new tabが5.5%高。トランプ米大統領は22日、インテルとのディール(取引)に基づき、政府が同社の株式10%を取得すると明らかにした。 もっと見る
コインベース (COIN.O), opens new tabも6.5%高と急騰。パウエル議長の演説後、仮想通貨関連株に買いが集まった。
一方、税務・会計ソフトウエアを手がける米インテュイット(INTU.O), opens new tabは約5%下落。第1・四半期の業績がアナリストの予想を下回った。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を9.43対1の比率で上回った。

米取引所の合算出来高は179億3000万株。直近20営業日の平均は170億8000万株。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、早期の米利下げ観測の高まりを背景に大幅反発した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比36.90ドル(1.09%)高の1オンス=3418.50ドル。これは8日に付けた史上最高値(3491.30ドル)以来2週間ぶりの高値水準。週間では1.06%上昇した。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ウクライナ和平の交渉に不透明感が強まる中、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ再開の検討が示唆されたことを受けて買いが優勢となり、小幅続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.14ドル (0.22%)高の1バレル=63.66ドル。11月物は0.12ドル高の63.23 ドル。

NYMEXエネルギー:

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