息絶えた炭鉱都市 ウクライナ侵攻の原点「ドネツク」からの手紙
ロシアの全面侵攻を受けるウクライナで、露側が大部分を占領し、割譲を求める東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)は12年以上も戦禍にさらされている。2014年春、親露派武装勢力の出現で紛争が始まったからだ。露側支配下にあるドネツク州の州都ドネツクでは、住民たちが悩みを抱えながら暮らす。苦境を伝える地元女性の手記を紹介する。
<手記の主な内容> ・「なぜ守ってくれないのか」 ・3日に1度の「水」 ・奪われる家と土地
・ロシア軍からの甘い誘い
さらにみじめになった暮らし
ドネツクでの生活は14年以降と(全面侵攻が始まった)22年以降とではまるで別物で、もはや完全に壊れてしまったかのようだ。
ロシアによる全面侵攻はドンバス地方に平和をもたらさなかった。それこそが、露政府が宣言した「特別軍事作戦」の目標の一つだったのだけれど。
ドネツク市民にとって、すでに14年から「明るく楽しい」とは言えなくなっていた暮らしは、22年以降さらにみじめなものとなった。(ロシア、ウクライナの)相互の砲撃は激化し、無人航空機(ドローン)が戦闘を支配している。市内に静かで安全な場所はどこにも残っていない。
「露軍がウクライナに公然と侵攻したとき、ドネツクに平和は訪れないだろうと私たちは悟りました。市内に(ロシアの)兵士たちが増え、彼らに関連する不快な出来事が増えたのです。兵士にアパートの部屋を貸すと、数カ月後には荒らされた状態で返ってきます」
ドネツク在住の女性(48)は語る。
「交通事故の9回のうち8回は、猛スピードで運転したり、交通ルールを知らなかったりする兵士のせいです。数多く開店した酒店の常連客はほとんどが兵士です。酒屋、迷彩服店、(軍人の)さまざまな特典や特権――。これらが至る所にあります」
息絶えた炭鉱都市
ドネツク市民は兵士が近隣にいることを容認している。彼らは結局のところ防衛…