「同じ土俵で負けた」神戸首位陥落もエース大迫が待望復帰、巻き返しへ「ここ2年間、負けた後に強くなってきた」

[8.10 J1第25節 町田 2-0 神戸 Gスタ]

 前節で首位に立っていたヴィッセル神戸は今節、クラブ史上初のJ1リーグ戦5連勝で勢いに乗るFC町田ゼルビアに0-2で敗れ、一気に3位転落となった。試合後、キャプテンのDF山川哲史は「強度とか球際で戦える両チームというなか、シュートを打たれたシーンでボールホルダーに寄せ切れていなくて、逆に相手はゴール前でしっかり寄せ切ってシュートを打たせないところができていた。そういったところの差が出たと思う」と敗因を見つめた。

 2失点は前半6分に決まったMF中山雄太の豪快なボレーシュートに、同36分に決まったMF相馬勇紀の鮮やかなカットインシュート。いずれも個人のクオリティーが際立ったスーパーゴールで、結果的には日本代表経験を持つタレントに屈した形となった。

 それでも山川は相手に矢印を向けることなく、自チームの教訓と向き合っていた。「(1失点目の起点になった)ロングスローの時の人の配置はもう少し見直さないといけないし、2失点目もカウンター気味に逆に振られた時にカットインの対応ができていなかった」。スーパーゴールであっても、そこにつながるシュートを許したことに問題意識を見出した。 「今日は同じ土俵で負けた。個人としてもそうだし、チームとしても質で負けた。そこは改善が必要だし、後半戦に勝ち残っていくためにはこういうゲームがあると優勝できないと思う。しっかり見直して、全員で振り返って反省したい」(山川)

 個人の質という点で言えば、神戸は負傷離脱が続くFW武藤嘉紀や、「アクシデント」(吉田孝行監督)で欠場したDF酒井高徳ら元日本代表選手たちの不在が痛手となっている。もっともその一方、この日はFW大迫勇也が後半13分から出場し、約2か月半ぶりの復帰。シーズン終盤を控えて前向きなニュースもあった。

 大迫が入ってからの約40分間は激しい雨の影響でピッチコンディションが悪くなり、思うようにボールを動かせずに攻めあぐねる時間帯が続いたが、劣勢が続いた前半に比べれば、チーム全体の攻撃の目線は揃っていた。  山川は大迫の復帰について「練習に復帰してからもゴール前のクオリティーは少しレベルが違うので、サコくんが戻ってきてくれたのはチームとして大きい」と太鼓判。「そこに頼りすぎないようにはしたい」とは述べつつも、「(大迫は)前で存在感があるし、欲しい時に大きい身振り手振りで要求してくれるのでターゲットとして出しやすい。攻撃の道標になってくれる感覚がある」とあらためて信頼を口にした。  この日の敗戦で首位と勝ち点1差の3位に転落した神戸だが、首位から7位までが勝ち点6差でひしめくJ1優勝争いはここからが本番。山川は「ヴィッセルはここ2年間、負けた後にしっかり修正して強くなってきたチーム。シーズン終わって振り返った時、この負けがあって良かったと思えるくらいにしっかり修正して、自分たちが成長できるように向かっていきたい」と巻き返しを誓った。 (取材・文 竹内達也)●2025シーズンJリーグ特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中

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