赤沢大臣の関税交渉とは一体なんだったのか?|倉本圭造
ずっと問題になり続けていたアメリカとの関税の問題が今週とりあえず決着し新しい関税率が発効しました。
米国時間9月15日、同4日に発出された大統領令に基づき関税率表を改正する通知が、米国の連邦官報のウェブサイトに掲載されました。この通知が同16日付けで公表されることにより同日、改正された関税率表が発効しました。
— 赤沢りょうせい (@ryosei_akazawa) September 16, 2025
ただなんか、ほんと最近のSNSは冷静さを失ってるというか、もともとヤバかった人たちだけじゃなくて、それ以前は結構信頼していたような人までものすごい極端な評価をして石破政権や赤沢氏をサゲまくったり(逆に実態以上に過剰にアゲまくったりするのも問題がありますよね)しているのを見ます。
例えば、トランプ本人とか、閣僚がアメリカメディアで自慢げにフカシまくる内容とかは、彼らはアメリカ人向けに「すごいタフな交渉で日本をやりこめてやったぜ」アピールをしなくちゃいけないから言ってるのは明らかですよね。
それ自体が「ものすごく政治的な」発言なんで、それをそのまま文字通り受け止めて「どういうことなんだ」と批判するのは、中国共産党の大本営発表を真に受けて中国アゲをするみたいなレベルのリテラシーなはずですよね。
(アメリカがそういう国になっちゃってていいのかという大問題はあるけど実際そうなんだから仕方ないじゃないかという話で)
また、「覚書の文書」ですら、ある程度「どうとでも読めるように」書かれてる面があるわけですよね。
アメリカのメディアや有権者から見て「日本を凹ましてやったぜ!トランプ最高!」という印象になるようにするために書きつつ、「日米同盟」が根底的には壊れてしまわないような配慮がそこに込められている側面がある両義的な文章になっている。
だからこそ、(もちろんこれは合意文書として扱われるから適当に読んでいいわけではないにせよ)字面をそのまま読んで取引の内容の全容が理解できると思うのも少しナイーブな問題があると思います。
もちろん合意文書は大事だけど、それと実際に交渉に関わった赤沢氏とかが話している内容を突き合わせながら、「実際にどういう交渉があったのか」というのを想定していく事が必要なはず。
でも今の日本はこの点が結構やばい状況で、メディアでもSNSでもそういう試みがなさすぎるので、簡単にですけどこの関税交渉の内容の実際がどういうものなのか、そしてそれが何を意味するのか?について考察する記事を書きます。
ソースは、「覚書の文章」と、あとはYouTubeのリハックで赤沢氏自身が結構詳細に内容を話していたので、その発言から読み解いていきます。
以下動画の28分(以下動画再生するとそこからになります)〜1時間10分ぐらいを見ると結構細かい話まで想像できる内容でした。
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1●「こんなん説明されんとわからんだろ」ポイントたち
リハックの動画はなかなか質問が良くて詳細に突っ込んで聞かれていたために、そこから色んなことがわかる感じの良い動画でした。
世間でよく言われてる疑問(覚書を読んでもわからん部分)に対するアンサーの部分だけをだいたい要約すると、こんな感じですかね↓
①・対米投資80兆円のうち、出資・融資・融資保証があるが、出資は”2%”程度(←まじで?JBICの過去の実績値らしい)で他は融資・融資保証になる見込み。融資は普通の国際的金利水準(LIBOR改めSOFR+アルファ)ぐらいは当然取れる一般的なビジネス行為として行われる。②・為替への影響はほぼないと試算されている。外為特会関連から半分の調達、他はドル建て債権を政府保証で調達するなど。円資産をドルに変えるようなプロセスはほぼないはず。(←つまりかなりの金額は”融資保証”で行われ、現金を即振り込むような部分は限定的ということ?)③・「トランプに上げる案件を最終的にまとめる投資委員会」に出す前に「日本が参加する協議委員会」で議論して案件をスクリーニングする。経済的に無茶な案件はすべて排除できる。ちゃんと経済的に儲かる案件にだけ出す。ここはちゃんとやれる見込み。④・よく批判される「利益配分が1:9」というのは、普通の融資回収部分はイーブンでやった上で、その上でも利益が出た場合の話であり、その分をアメリカは「規制緩和や土地や水の提供」や場合によっては「製品の全量買い取り」などの形でコミットする事になるディールになっている。
⑤・5500億ドルは「最大額」であり、必ずその額まで積み上げるという話ではない。(←そうなの!??)
なんかこの時点で、SNSで溢れてる批判の8割ぐらいが「はい解散!」って感じになる気がするんですが・・・
赤沢氏のいうことをなんでも鵜呑みにしていいわけではないけど、「こういう狙いでこういう交渉をして、一方でアメリカメディアやトランプ向けにはこういう発表になるように工夫した」みたいな全体のストーリーとして整合性が取れていれば、まあまあ信憑性が高いと見ていいんじゃないかと思います。
「80兆円の現ナマを、トランプが言った通りに即時調達して振り込まなくてはいけないし、投資先の選定に日本側は関与できない」
・・・みたいな「SNSでよく聞くイメージ」とは全然違いますね。
80兆円のうち「出資」は2%!程度で残りは融資か融資保証、その部分も、普通に「国際商取引上まあ普通な利率」は取れる通常のビジネス取引として行われるし、その「案件のスクリーニング」は日本側にとっても利益があるものでないとハネる仕組みがちゃんとある。
そこでちゃんと選んだ上でトランプにあげて、「俺様が好きに選んで日本が振り込んできたぜぇ」って思わせる演出になってるってことですね。
その他、「ボーイング100機買います」はもともと買う予定だったものばかりだとか、あと半導体関連の関税の最恵国待遇(これが取れたのはEUと日本だけ)みたいな条項もあるという話もありました。
もちろん、こういう「実はこうなっていて」の部分がちゃんと機能するかどうかは今後検証し続ける必要はありますが、それをやるためにも「80兆円の現金をトランプが望む通りに巻き上げられる国辱計画だ!」とか騒いでたらノイズが大きくなって余計にちゃんとチェックできなくなるのは大問題ですよね。
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2●全体としてどういう意味を持った”ディール”なのか?
で、個別の話はきりがないのでおいておいて、全体としてこれはどういう「ディール」なのか・・・を大枠で捉えてみると・・・
この交渉で関税が年間5兆円から3兆円に下がっているんで、
ただ2兆円を毎年何の意味もなく取られ続け、日本の外貨収入の大きな部分を占める自動車産業に大打撃
…となるよりは、
「めっちゃ儲かりはしないがまあ全損するような話ではないらしい商行為」に、余ってる資金ベースで調達した資金を投入しておくお付き合いをしておく
…というのはまあ、うん、やっぱ赤沢大臣頑張ったよという感じでいいのかなと個人的には思います。(そもそも”こんなことをするアメリカ”でいいのか、という問題は後述します)
この交渉の妥結後は世界中の外交担当者から「どうやったんだ」と日本に問い合わせがあったそうですし、結局この日本のディールが雛形となって、EUや韓国といった国々の交渉はまとまった面がある。
出来上がった関税も、他の国々と比べてかなりマシな方ではあり、巨大な対米黒字を抱えている国としては大変良い条件だと言っていいように思います。
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3●安倍政権ならどうしていたか?
赤沢氏の交渉に対してかなり厳しい目が集まっているのは、安倍政権に対する郷愁というか、「安倍さんならもっとうまくやってくれたはずなのでは?」という思いがある人が多いんだと思います。
それについて考えてみたいんですが・・・
ただ、安倍時代も、茂木敏充さんとライトハイザー氏の交渉とかはかなりバチバチの交渉をしていたので、「トップ同士仲良かったから通商交渉は甘かった」という感じではなかったんじゃないかと思います。
特に自動車は、対米で赤字(米国から見て貿易黒字)である英国が10%の関税で妥結しているので、日本みたいに巨額の対米黒字を出してる国が10%以下になることは考えづらい。
それを考えると自動車もすべて含めて15%(台数制限などもなし)というのは、安倍政権でもかなり頑張らないと実現できなかった数字だと言えるはず。(赤沢氏が何度も言ってるように、交渉の最初はそんなこと無理だと色んな評論家に言われていたそうなので、かなり頑張ったと言っていいはず。それによってかなり大きな規模の日本の国内産業が守られた面はある)
一方で、個人的な印象論ですが、多分安倍政権なら、農産物とかの面で日本側の関税を下げてみせる交渉をした可能性は高く、結果として「投資額」の部分がここまで大きくならない決着になった可能性はあるなと思います。
そういうところで、「アメ公の都合で日本の国内業界をいくつか差し出すようなことはしないぞ!」・・・という意地の張り方が石破政権らしさだったと言えるかもしれません。
(とはいえ実際、日本の農産物関税は目立つ部分以外はもともとそれほど高くなく、”下げて見せるパフォーマンス”と言っても限界があるために、どちらにしろ”むしろ投資する方向”の決着にはどうせなったとは思いますが)
ただこの「石破政権らしさ」みたいなのは明らかにある点もあって、
こっちでこれだけ関税下げてみせますんでひとつよろしくお願いしますよぉ〜トランプさぁ〜ん
…みたいなネバネバしたテイストをやるにはプライドが高すぎるので、むしろ真っ向から
対中国で覇権を守るんでしょう?経済安全保障を実現するっていうんでしょう?じゃあ日本を尊重しなさい。その方向で一緒にやるプロジェクトというなら我が国は投資資金を用意する準備はある!(ドヤァ)
…みたいな真正面からのぶつかっていきかたをした面があって、それゆえに投資資金の額が多少つりあがり、日本側の関税は一切下げずに妥結した・・・という部分に特徴があるように感じました。
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4●「石破らしさ」を裏切る意外な決着であることが見逃されがち
結果として、「石破政権のイメージ」とは全然違う意外な結果になってる面があるなと感じる点はあります。
僕は今回初めて赤沢さんが自分の言葉で長く話しているのを聞いて非常に意外に思ったんですが、この「赤沢&トランプディール」は
ものすごく強力に「日米同盟を強化」する内容
…なんですよね。
安倍&岸田と連続で米国議会で演説してきたああいう精神のまっすぐそのままの継承者みたいな感じ。
その点、
・「親米&反中主義」的な保守派はむしろ大賛成するべき内容・「対米自立・親中派」の左派はむしろ大反対するべき内容
みたいなところがあるんですが、SNSの反応が全然真逆な感じだったりして興味深いですね。(最近のxは本当に理性が吹き飛んでしまってると思います)
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5●”米国の覇権が今後も続く方向”に全ベットしたディール
よく指摘されているように、第二期トランプ政権の強権姿勢は、第一期の時みたいにトランプ個人の思いつきでやってるんじゃなくて、アメリカの保守派が長年一貫して積み重ねてきた政策ビジョンに依拠しているので、ちょっとやそっとでは揺るがない感じなんですよね。
もし次回選挙で民主党政権になったとしても、既に巨額の税収を得ている関税を元に戻すなんてことは政治的に難しいのではないか・・と赤沢氏は言っていてかなりそれは納得感がありました。
そういう意味では、もともと2.5%だった対米自動車関税を15%に上げられたことについて「石破の交渉がダメだったから」と考えるような理解はさすがに現状をわかってなさすぎる。
少なくとも米中が関わる部分においては「ヒト・モノ・カネの移動をできるかぎり自由にする」というグローバリズム時代の大原則は通用しない時代になっていくということだと思います。
さらに踏み込んで言えば、昨今のアメリカにおける、いざ「対中で戦争」ということになれば国内製造業がグダグダな状況ではどうしようもないじゃないか・・・という危機感はホンモノで、鉄から造船から半導体からとにかく「国内製造業の復活」に向けて相当に真剣なチャレンジをしようとしている。
特に、「1対9」の利益配分って騒がれている部分の背後にある条件が相当に覚悟が満ちていて、
「米国内で調達した場合、多少高くなっても”全量”買う」ことを保証する
…という、過去20年のグローバリズム的世界観を根底から覆すような条件を明示している(本当にこんだけやるっていうなら通常の利息分のイーブンな配分が終わったら1:9でも文句は言えないところはあると思います)
例えば半導体を国内製造したら、それを優先的に多少高かろうと国内ビッグテックに買わせる法律(同盟国の日本製もぜひねじ込んでほしいが)を作るとかそういうことですね。
これについては色々な見方がありえますよね。
・そんなことができるのか?・いや、こと覇権の維持に関してはやるといったら絶対やるのがアメリカだ・・・なのか?
・それとも、これはもう覇権が失われる老大国の断末魔的なあがきに過ぎないのか?
あなたの意見はどれですか?↑
赤沢&トランプのディールが「屈辱的」なのかどうか、「不平等的」なのかはここの未来像の判断にかかっているんですね。
もし、この「米中対立の国難」を乗り越えてアメリカが再度世界のリーダーとして立ち直れるという未来を描くなら、赤沢氏のディールはその「世界線」における特等席的なものをかなり早い段階で確保するような「良いディール」になるでしょう。「最安値」状態になってる伝統的巨大企業の株を買っておいてその再生に賭ける投資みたいな感じですね。
一方で、もうアメリカはダメだ、世界は中国が支配する時代になるのだ・・・という未来を描いているなら、このディールは滅びゆく老大国と道連れになるありえない賭けということになる。
「中国が支配する世界」とまでは行かずとも、多極化無極化の混乱時代となり、アメリカの製造業復活など無理なのだ・・・という未来であるなら、今回の対米投資のかなりの部分は焦げ付く事になって、日本側が少なからぬ損失を被る可能性はまあまあある未来となるでしょう。
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6●米中のガチンコ競争の行方
米中のガチンコ競争について現状を分析すると、中国はいくつかの点において、対米競争で優位に立ってる面はあります。
以前この記事で書いたような、「中国にしかできない経済のあり方」というのは確かにある。
まず、民主主義国ではないので「福祉」にはカネをほとんど使わずに、「先端技術開発」に利益度外視でありえない額の投資をしていくつかの分野で世界を突き放しかけている。
一方で、そうやって「国が経済を支配」して世界中にダンピング攻勢をしかけているので、アメリカや欧州の市場から締め出されかけているし、技術開発での連携も途絶してしまっているし、そもそも「ニーズがないのに国の高圧姿勢で投資先を選定」しているためにあまり儲からず、中国国内の不況が大変なことになっているらしい。
それに比べると、なんだかんだ「経済のダイナミズム」的なものは維持されているアメリカは、フラフラフラフラしつつもまあまあ景気が良い状態が続いている。
「統制」と「自由」の間の最終戦争みたいな競争が目の前で起きているわけですね。
日本国内でアメリカが嫌いなタイプの人は、案外この競争で中国が勝ってくれたら痛快なのに・・・って思ってるフシがある人が結構いるんですが、もしそうなったら普通に今まで日本が大事にしてきた民主主義とか人権とか個人の自由とかそういう観念は吹き飛んじゃう世界になるってことには注意が必要だと思います。
個人的な意見としては、先の戦争以後の色々な経緯もあって、特に米中対立の現状などを考えると、今回のディールのような事は不可避だったとは思います。
そしてそのうえで、だいたい以下のような方針で行くしかないのが今の日本ということですね。
・「アメリカが必死に頑張るという分野ではちゃんと協力し、そこから最大限の利益が得られるように努力する(中国などの”反米国家”には得られない利益ソースをちゃんと確保する)」・米中対立による経済のデカップリングを利用して、過去20年のグローバリズム全盛期には抑制されがちだった国内投資を引き寄せる政策もやっていく(先端半導体におけるチャレンジなど)・一方で、日本経済の対米依存度を下げるような仕向け先の多様化といった方向のリスクヘッジは着々とやっていく
・かといって、中国との経済関係を律儀に完全切断するような、アメリカ企業すらやらないような事を無理にはやらない曖昧さを残していく
ひとつ気をつけなくてはいけないのは、「米中が孤立主義でなんとかなる」と”思えている”のは(本当になんとかなるかは別なんですが)、巨大な人口を抱える超大国だからで、人口が減り続ける日本が同じことができるわけではない、という点を間違えないことですね。
なんだかんだアメリカは人口が増え続けている国なので、孤立主義でもなんとかなる可能性はゼロではない。中国もあの大きさで、かつ強権的な政府があるからできる道はある程度ある。
一方で日本は膨大な移民を入れるとかでなければ今後減り続ける人口と格闘せねばならず、孤立主義=死です。
そういう意味では、TPPやEU・英国との連携といった側面でなんとか「過去の叡智が失われないような」良識の確保を目指しておくことも大事なことでしょう。
そのうえで、「雨が降ったら傘をさせばいいんですなby松下幸之助」の精神で、世界がどんだけ分断化してもどの勢力ともちゃんと繋がり続け、ただただ水が器に沿うような対処をし続けていけるか?が大事ですね。
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7●党派争いばっかしてるとバカになるよ
さっきも書きましたけど、赤沢&トランプディールはそれぐらい「米国との一蓮托生の日米同盟的世界観」をめちゃくちゃ強化する内容なのだ、という事に注意が必要だと思います。
にもかかわらず、日本のSNSでは「真逆」な反応が溢れていて、いやいや、あんたら「SNSの眼の前の敵党派」に対して強く何か吠えることで一瞬スッキリできればそれでいいのか?みたいな感じがヤバいです。
「坊主憎けりゃ袈裟まで悪い」的に石破政権のやってることを全否定してる保守派もヤバいですけど、「石破を嫌いな保守派が嫌い」だからといって、左派でこのディールにかなり好意的な層がいるのも「あなたそれでいいんですか」と思わないでもない。
もちろん、「超巨大な人数が参加してる」ことのメリットはあって、取捨選択をすれば「良い情報」が得られるツールではあると思います。僕も「見る」方は今でもまあまあ使ってます。
一方で、個人的に最近、xにはほとんど投稿しなくなってしまっているのは、「さすがにみんなもうちょっと冷静になってくれよ」という気持ちがあるからなんですよね。
そのかわりに何やってるかというと、「敵とも話せるクローズドなSNS」というのを自分で主催して、そこに入ってくれた人たちと日々コミュニケーションしています。
こういう「政治」の議論だけじゃなく、色々な経済問題とか、エネルギー資源問題とか、男女論とか表現の自由関連とか、その他アレコレの問題について、「xだったら絶対出会い頭に百%敵同士になってるな」という層が同じ場所を共有して、多面的に色んな現象を深堀りできる場になっていて、日々すごい新鮮な感じなんですよね。
自分はx(Twitter)をちゃんと自分の冴えた頭で「取捨選択」して悪い影響を受けずに使えてる人間だぜ!と思ってたけど全然そんなことなかった事に気づいたw
例えば「表現規制に反対派の女性」が、「表現の自由問題でなにか発言しようとしても、本当の敵であるアメリカの宗教保守派的外圧には全然弱いくせに謎に女叩きばかりしている人が多すぎて自分の居場所がない」とか言ってるのを聞くと、「今のxが不可視化している議論」がどういうところにあるのかわかってきますよね。
僕自身も「xで何かをバズらせるスキル」を得たことによって体内に抱え込んでしまっていた「毒」を解毒するのに大変良い体験になっています。
この記事で書いてきた課題についても、そのSNS内で安全保障にある程度詳しい人が、
「こんなことで本当に有事になったらどうするつもりなんだ」
…と嘆いていて、それは確かにそうだなと思いました。
中国は徹底的に言論統制をして国内異論を封殺して仕掛けてくるわけですが、日本国内では「安全保障」とかに前向きなはずの保守派が時の政権が気に食わないからといって中国が密かに流すデマにノリまくって混乱させる危機が目に見えるようですね。
この記事を書こうと思ったきっかけも、そのSNS内で金融関連の人が「覚書」をちゃんと中立的に詳細に読んでみるという記事をアップしてくれていたので、一度冷静に皆で読み直してみよう・・・という動きになった事がきっかけでした。
私自身が「公式まとめ」を作ったりしてかなり積極的に発信していますし、それを読むだけでご自身でなにか発言しないいわゆるROM専としても、十分に価値を感じていただけるものになっていると思います。
「どんどん治安が悪くなるオープンSNS」で知らず知らずに「本来敵ではないはずの人たちへの憎悪」でいっぱいになっちゃっている状況をデトックスし、冷静さと世界と日本社会に対する信頼を取り戻す効果は確実にあると思いますので、ピンと来た方は以下リンク先からご参加ください。
上記SNSについてのより詳細な説明はこちらからどうぞ。
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長い記事をここまで読んでいただいてありがとうございました。
ここからは、「トランプ型暴走」に対する日韓の対処の違いについて考察します。
こないだ韓国企業のアメリカの投資先の工事現場で韓国人労働者が違法就労で摘発された事件があって、投資しろっていうからしてんだろーが!それ実行するのに韓国人送り込まないと仕事できんだろーが!という非常にごもっともな怒りを韓国人が表明してるんだけど・・・
これについては、普通に考えたら「韓国人の言い分が正しすぎるほど正しい」感じで、トランプ大統領のコメントですらちょっと「気を使ってる」感じの文面になってたんですがw
韓国国内ではこの問題についてかなり感情的な反発が強まっているらしく、どう考えても今のアメリカのビザ制度が「投資しろっていうのにどうせえっちゅうねん」状態であることは明らかなので、韓国が強めに出ることの正当性もまたあるとは思います。
こういうときに日本は韓国ほど強く出れない立ち位置にずっといることは明らかで、日本から見ると結構眩しいぐらいの気持ちはありますねw
それが今後の国際社会にどういう影響を与えていくのか、そこでもあえて日本が日本の位置にいる意味とは何なのかについて考察します。
これは同時に、中国で今「731部隊」を批判する映画がヒットしている現状などとも深いところで繋がっていて、人類社会における「アメリカ」をどう考えるべきか・・・という課題そのものでもあるんですね。
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2022年7月から、記事単位の有料部分の「バラ売り」はできなくなりましたが、一方で入会していただくと、既に二百個以上ある過去記事の有料部分をすべて読めるようになりました。これを機会に購読を考えていただければと思います。(これはまだ確定ではありませんが、月3回の記事以外でも、もう少し別の企画を増やす計画もあります。)普段なかなか掘り起こす機会はありませんが、数年前のものも含めて今でも面白い記事は多いので、ぜひ遡って読んでいってみていただければと。
ここまでの無料部分だけでも、感想などいただければと思います。私のツイッターに話しかけるか、こちらのメールフォームからどうぞ。不定期に色んな媒体に書いている私の文章の更新情報はツイッターをフォローいただければと思います。
「色んな個人と文通しながら人生について考える」サービスもやってます。あんまり数が増えても困るサービスなんで宣伝してなかったんですが、最近やっぱり今の時代を共有して生きている老若男女色んな人との「あたらしい出会い」が凄い楽しいなと思うようになったので、もうちょっと増やせればと思っています。私の文章にピンと来たあなた、友達になりましょう(笑)こちらからどうぞ。
また、この連載の趣旨に興味を持たれた方は、コロナ以前に書いた本ではありますが、単なる極論同士の罵り合いに陥らず、「みんなで豊かになる」という大目標に向かって適切な社会運営・経済運営を行っていくにはどういうことを考える必要があるのか?という視点から書いた、「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」をお読みいただければと思います(Kindleアンリミテッド登録者は無料で読めます)。「経営コンサルタント」的な視点と、「思想家」的な大きな捉え返しを往復することで、無内容な「日本ダメ」VS「日本スゴイ」論的な罵り合いを超えるあたらしい視点を提示する本となっています。
また、上記著書に加えて「幻の新刊」も公開されました。こっちは結構「ハウツー」的にリアルな話が多い構成になっています。まずは概要的説明のページだけでも読んでいってください。