日本企業、アフリカ成長にらみビジネスアピール TICADエキスポ開幕
[横浜市 20日 ロイター] - 第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の関連イベントとして、企業などが出展するビジネスエキスポが20日、横浜市で開幕した。人口減で縮小する国内市場を尻目に、アフリカの経済成長と人口増が今後も続くとにらんで事業拡大を図る企業が構想を披露する場となる。
TICADはアフリカの開発をテーマとする日本政府主導の国際会議で、1993年が初回。最近は3年おきに開催されている。石破茂首相は19日、記者団に「(アフリカの)人的資源や物的資源を活力として生かしながら日本の成長、世界の繁栄にどうやってつなげていくかということ(が重要)だ」と指摘。「国際社会で存在感が高まっているアフリカとの連携はさらに密にしていく必要がある」と語った。
アフリカ54カ国の人口は現時点で約15億人だが、2050年には約25億人に迫り、世界人口の4分の1を占めると予測され「最後のフロンティア」と呼ばれる。日本からの直接投資残高は昨年末時点で1兆4232億円。米国向けの約120兆円とは比較にならないが、前年から24.7%拡大しており、金融・保険分野への投資も増えている。
一方、日本よりもアフリカに近いインドに拠点を持つ企業が、その地理的長所を生かしアフリカに事業展開を進める動きもある。
石破首相は20日、横浜市内で開かれたフォーラムのあいさつで「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」構想を提唱、地域圏の連結性を強化し「自由で公正な経済圏の構築を図る」と述べた。ダイキンとスズキを挙げ「アフリカの若者に技術やノウハウを提供し、地域社会の自律に貢献している」とし、今後、インドのモディ首相とも議論して同構想を地域全体の取り組みにしていきたいとの意向を示した。
エキスポを主催した日本貿易振興機構(ジェトロ)の石黒憲彦理事長は最近のロイターのインタビューで、このところ中国の投資先としての人気が陰り、米国の人気が上がってきていたものの、トランプ政権の関税政策を踏まえ「米国一辺倒もダメだな、と改めて(投資や進出先を)多角化することの重要性を日本企業は痛感したと思う」と指摘。「そういう意味ではニューフロンティアを求めて、またいろんなところに多角的にやってかなければいけないというのがレッスン(教訓)になる」と話している。
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