更迭されたウクライナ前国防相、復帰を要求 ほかの役職は受け入れないと

画像提供, Reuters

画像説明, ウクライナのフェドロフ前国防相(左)とゼレンスキー大統領はいまのところ、どちらも主張を後退させる素振りを見せていない。画像は6月に撮影したもの

Published

この記事は約 5 分で読めます

ポール・アダムス外交担当編集委員(キーウ)、ヤロスラフ・ルキフ

今月中旬に更迭されたウクライナのミハイロ・フェドロフ前国防相は23日、ウォロディミル・ゼレンスキー政権内で別の役職に就くつもりはないと表明し、国防相への復帰を強く求めた。

フェドロフ前国防相はゼレンスキー大統領に謝意を示しつつ、「戦場の兵士以外に、戦争の行方を決定づける役職はこの国に三つしかない。大統領、国防相、そして軍総司令官だ」と述べた。

ゼレンスキー氏によると、フェドロフ氏に対してはこれまでに、副首相を含む複数の役職を打診したという。

ウクライナ軍の変革を進めた人物として評価されているフェドロフ氏が先週、更迭されると、各地で大規模な抗議行動が起きた。これを受けてゼレンスキー氏は、フェドロフ氏と対立関係にあったオレクサンドル・シルスキー軍総司令官を解任せざるを得なくなった。

一部の抗議者は、シルスキー氏の解任だけでは不十分で、フェドロフ氏が国防相に復帰するまで街頭での抗議を続けると訴えている。

現在35歳のフェドロフ氏は、データを活用して前線でのウクライナ軍の戦闘能力を大幅に向上させたことや、ドローン軍と呼ばれる資金調達キャンペーンの成功など革新的な取り組みで評価されている。汚職対策を主導したことでも称賛されてきた。

一方、60歳のシルスキー氏は、2022年2月に始まったロシアによる全面侵攻の初期に、首都キーウの防衛作戦で重要な役割を果たし、作戦を成功に導いた。しかし現在は、シルスキー氏はウクライナ国内で、軍に切実に求められている抜本的改革の実行に消極的な、旧ソ連時代を引きずる指揮官と見なされている。

「ウクライナの勝利を近づける」ために

フェドロフ氏は23日、記者団に送った声明の中で、1月に国防相に任命された際、自分が率いるチームには「戦争を終結させるための具体的な計画」があったと述べた。

同氏によると、計画の主要な要素は、空域の防衛、前線の安定化、そしてロシア経済に打撃を加えることだった。

「6カ月間、我々はまさにこの計画を一貫して実行してきた。そして近年で初めて、ウクライナは(戦場で)主導権を握り始めた」とフェドロフ氏は述べた。

「我々の共同の成果は、前例のないもの、すなわち、力によってロシアに和平を迫る好機を生み出した。我々はそれを逃すわけにはいかない」

フェドロフ氏は、自分が「役職や地位」を求めたことは一度もなく、望んでいるのは「結果に真の影響を与え、ウクライナの勝利を近づける機会」を得ることだけだと強調した。

国防相は現在、ウクライナ保安庁(SBU)の元高官イェウヘニー・フマラ氏が代行を務めている。

ほかの役職の打診を拒否

今週初めにフェドロフ氏と面会したというゼレンスキー氏は、同氏に軍事革新担当の副首相職を打診したことを明らかにした。

ゼレンスキー氏は23日、「これは非常に重要な役割だ。革新は、国防省の指導部、総司令官(中略)そして大統領と連携して進められなければならないからだ」と述べた。

しかし、フェドロフ氏はこの提案を拒否した。今回のフェドロフ氏の声明が、同氏の今後をめぐる交渉の終了を意味するのかは定かではない。

ドミトロ・リトヴィン大統領顧問は、話し合いは続いており、「現段階で詳細を明らかにするのは適切ではない」と述べた。

画像提供, EPA

画像説明, フェドロフ氏の解任を受け、ウクライナ各地で抗議行動が起きた。画像は7月のキーウでの抗議集会

ゼレンスキー氏は、新たな総司令官にミハイロ・ドラパティ統合軍司令官を任命したことで、問題が解決したと考えていたかもしれない。しかし、フェドロフ氏の最新の発言は、両者の意地の張り合いが依然として決着していないことを明確に示している。

フェドロフ氏は、ほかのどの役職に就いても、自分が望むようなかたちで革新と改革を推進し続けることはできないと考えているようだ。自分が思うままに動かせる省庁がないという点でいえば、フェドロフ氏の考えはおそらく正しいだろう。

フェドロフ氏自身も、そして同氏を声高に支持する人たちも、最近のウクライナ側の成功の多くはフェドロフ氏の働きによるものだと信じている。ただし、フェドロフ氏は声明で、「我々の共同の成果」だと慎重に言及している。

一部の観測筋は、こうした見方に反論している。ウクライナが現在成功させている、ロシア領内への中・長距離ドローン攻撃は、シルスキー氏が総司令官だった1年以上前に策定された計画によるものだと指摘している。

多くのウクライナ国民は、ゼレンスキー氏が国内で不人気だったシルスキー総司令官を、はるかに若く、より評価の高いドラパティ氏に交代させたことを歓迎している。しかし一方で、フェドロフ氏は不可欠な存在だという見方は変わっておらず、フェドロフ氏を切り捨てるという判断に至ったゼレンスキー氏に怒りを募らせているのは明らかだ。

関連記事: