米50%関税、インド製造業発展を阻害も 経済にリスク=ムーディーズ

 8月8日、格付け会社ムーディーズ・レーティングスは、トランプ米大統領がインドからの輸入品に課した50%の関税により、インドの製造業発展への取り組みが著しく損なわれる可能性があるとの見方を示した。写真は4月、グジャラート州ディーンダヤル港近くで撮影(2025年 ロイター/Amit Dave)

[8日 ロイター] - 格付け会社ムーディーズ・レーティングスは8日、トランプ米大統領がインドからの輸入品に課した50%の関税により、インドの製造業発展への取り組みが著しく損なわれ、経済成長が鈍化する可能性があるとの見方を示した。

トランプ氏は6日、インドがロシア産原油の購入を継続しているとして、インドからの輸入品に25%の追加関税を課す大統領令に署名。これまでに発表済みの25%の相互関税に上乗せされ、税率は最大50%と、他のアジア太平洋諸国が課された関税よりもはるかに高い水準となる。 もっと見る

ムーディーズは、2025/26年度(26年3月までの1年間)のインドの実質国内総生産(GDP)伸び率が同社の現在の予測(6.3%)から0.3%ポイント程度鈍化する可能性があると指摘した。

「25年以降、他のアジア太平洋諸国と比較して関税格差が大幅に拡大することで、インドの製造業、特に電子機器などの高付加価値セクターを発展させる意欲が著しく損なわれ、関連投資の誘致で近年得られた利益の一部が帳消しになる可能性もある」としている。

また、インドが関税を回避するためにロシア産原油の輸入を抑制すれば、十分な量の代替原油を速やかに確保することがより難しくなる可能性があると指摘した。

特に関税競争力の低下により投資資金の流入が抑制される可能性がある中で、輸入コストが増加すれば、経常赤字が拡大することになる。

ムーディーズは「上記の2つのシナリオの間で交渉による解決策が見込まれる」と述べた。

また、関税障壁が成長を抑制する程度は政府の財政政策対応に関する決定に影響を与えるものの、政府は段階的な財政・債務健全化に引き続き重点を置くと予想するとした。

米国の関税政策を巡る世界貿易の不確実性も、外国人投資家の懸念につながっている。

外国人ポートフォリオ投資家のインド株売り越し額は7月に20億ドルに達し、8月もすでに9億ドル相当となっている。

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