timeleszが醸し出す“男子校の休み時間”を番組に 『タイムレスマン』演出が意識する「いびつな八角形」

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アイドルグループ・timeleszが出演するフジテレビのバラエティ番組『タイムレスマン』(毎週火曜24:15~)初の全国ネットゴールデンスペシャルが、27日に『土曜プレミアム』枠(毎週土曜21:00~)で放送される。4月に番組がスタートしてから半年経たずしての大舞台に8人のメンバーたちとともに挑むのは、演出の当麻晋三氏だ。

東京から300km以上離れた伊勢神宮を目指す“脱落旅”が繰り広げられる今回のスペシャルの舞台裏のほか、メンバーそれぞれの印象、“男子校の休み時間”というグループの特徴を生かした番組作りの意識などを語ってくれた――。

  • 東京タワーに集合したtimeleszのメンバーと佐野瑞樹アナ(右) (C)フジテレビ

ヒントは『アメリカ横断ウルトラクイズ』

今回のゴールデン特番の話が持ち上がったのは、『タイムレスマン』が走り出してまだ2カ月しか経っていない6月のこと。ほぼ月に1回の収録で、実際にメンバーと顔を合わせるのも、3回目の頃だった。

レギュラー番組の2時間スペシャルを作るには、強いヒットコーナーをメインに据えるのが定石だが、まだ手探りの段階。そこで企画したのが、東京から伊勢神宮までの“脱落旅”だ。

「カッコいい8人ですから、旅に出るというのは視聴者の皆さんが見たくなるのではないかと。そこから発想して、この番組は8人が“男子校の休み時間”みたいなへんてこなノリが似合うので、何か一つ装置を作りたいと考えました。そこで、全員が目的地まで行けないというのはどうか、と。会議を重ね、昔あった『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ)のように、“あー、俺はこの先行けないのか!”と嘆いて脱落するんだったら、ありがたいところに行くのがいいとなり、伊勢神宮に決まったんです」

旅の骨格が決まると、企画が一気に動き出す。「ゲームになると本当に盛り上がる8人なんです」ということで、急ピッチで新作ゲームを複数作成。行程の各所に“ふるい落とし”の装置を埋め込んでいった。

不安いっぱいの佐藤勝利「こんな台本見たことないです!」

こうして迎えた本番当日。始まる前に本人たちに伝えていたのは「何となく西のほうに旅に出ます」という情報だけ。ロケ前の楽屋に置いたのは、「朝○時から東京タワーでオープニング撮影」「夜○時解散」とだけ記されたスケジュール表と、「ゴールデンです。おめでとうございます。今日は楽しんで頑張りましょう」というメッセージだけが書かれた台本だった。

「何も知らないほうが、彼ららしいリアクションが出ると思いまして(笑)。事前にいろいろ伝えると、リアクションを考えすぎて鈍っちゃう気もしたので、彼らの“素”っぽさ大事にしました」と、その狙いを明かす。

佐藤勝利は「こんな台本見たことないです!」「大丈夫ですか!?」と不安いっぱいだったそうだが、対照的に猪俣周杜は「OKでーす」とすんなり受け入れたといい、当麻氏は「いろいろキャラクターがあって面白いです(笑)」と実感。それでも、収録が始まって詳細なルールを伝えて仕組みを理解した瞬間、「一気にエンジンが掛かって、面白い方向に持っていってくれるんです」と、信頼通りの効果が出た。

普段はフジテレビのスタジオでもないリハーサル室で収録を行うこともある同番組。今回は、新幹線、クルーザー、リムジンでの移動に、東海テレビの生放送飛び入り、ビッグゲストのサプライズ登場など、豪華な仕掛けにメンバーも「これがゴールデンか!」とテンションが上がったようだ。

分刻みのスケジュールならではのシーンも見どころで、「あるメンバーが寝癖を直す暇もなくロケをした場面もありました(笑)」と明かす。

そうした中で印象に残るのは、脱落メンバーが決まった後の本隊の様子。「最初は“あいつがいなくなったから落ち着くな”、“惜しい人をなくしたな”とか、軽口から入るんですけど、ちょっと時間が経つと“あいつ大丈夫かな?”と、寂しい空気を出し始めるんです(笑)。そこがすごくかわいらしくて、ほほ笑ましく見ていました(笑)。それで戻ってきたらまた盛り上がるので、この8人がそろうことが、みんなの中で完全体なんだなと思いました」と再確認した。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。


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  • (C)フジテレビ

番組がスタートして5カ月。“男子校の休み時間”の雰囲気を持つグループだが、メンバーそれぞれに対しては、どのような印象を抱いているのか。

「一番ビックリした」というのは、橋本将生。最初はバラエティに対して消極的にも斜に構えているようにも見え、つかみきれなかったというが、回を重ねて大きく変化した。どこか迷いのあった彼が、お笑い芸人の永野と“瓜二つ”かを検証する企画では、「♪ラッセンが好き~!」を全力披露しており、当麻氏は「最初の彼とは似ても似つかないところまで行き着きました。ここからどこまで行けるんだろう?という人ですね」と期待を隠せない。

その橋本と同じくらい驚いたというのが、篠塚大輝。「最初は編集の時じゃないと気づかないボリュームでボソボソツッコんでいたんですけど、ものすごく的確なんです。それに気づいたディレクター陣で、“シノってすごく面白いよ”という話になって、テロップでフォローしていきました。今や自信を持ってビシッとツッコむようになって、(菊池)風磨さんに次いで面白コメントを言う人ですね。めちゃくちゃやる気があって、貪欲ですし、MCも落ち着いていて上手いので、末恐ろしい23歳です」と感心する。

原嘉孝は、「タイムレスマンのザキヤマさん」と形容するほど、明るいムードメーカー的な存在だが、裏ではスタッフに「あそこはこうしたほうが良かったですかね?」と聞いてくるなど、実はセンシティブな一面も。それでも、「火が点いたら一番勢いづく人なので、どうするのが正解なのか、まだ手探りな部分もありますが、そういう意味では新メンバーの象徴なのかなと思います」と位置づける。

「ちょっと次元を超えてる天才」と評するのは、猪俣周杜。「僕らが“こうしてください”と、取るスタンスをお願いするより、彼は彼のままが一番面白いです。何を考えているのか全く分からないのですが、どんな球が来てもホームランをバカスカ打つ天才なので、もう彼と2人きりで打ち合わせはしないことにしています(笑)」と、放任することに決めたそうだ。

そして、“男前”との振れ幅が際立つというのが、寺西拓人。小学生のように赤白帽をかぶるポスタービジュアルの撮影を「“もっとカッコいいやつがいい”と言って、唯一、嫌がられたんです(笑)」という一方で、料理企画でデミグラスソースにマヨネーズを投入して分離させ、放送を見ていた母親に怒られるという天然ぶりを発揮した。「どうしたって男前の寺西さんはミスると振り幅があって笑えるので、とにかくカッコいい方面の企画の時、輝きますよね。そこを狙いたいです」と手ぐすねを引く。

そんな新メンバー5人に対し、「皆さんすごく考えながら、“もっと面白くしたい”とすごく貪欲なので、一緒にやっていてうれしいですね」と受け止めていた。

番組のギアを上げた菊池風磨の腹筋141回

一方、先輩の3人はどうか。佐藤勝利については、「普段はお兄ちゃんのように見守って、引きの位置から見守ったり、チャチャを入れていますが、お笑い好きなので、自分にボールが回った瞬間の反射神経はさすがのひと言です」と称賛。「しょんぼりしたり、ブチギレ返したり、いろんな方法でその場の正解を出すのがすごいなと思いつつ、2時間SPのスケジュールを見て不安になってる姿は、愛くるしいです(笑)」と、様々な顔に魅力を感じている。

松島聡については、「周杜さん寄りの天才肌だと思っています」と表現。「爆発力がすごくて、初回のMCがクジで松島さんに決まったんですけど、何事も松島さんから始まると、勢いがつくイメージがあります。英語でロケをする時も、グイグイ引っ張ってくれて面白くなっていったので、欠かせないキーマンですね」と大きな存在になっている。

そして菊池風磨については、「気持ち、魂、覚悟が、最初に会った時から別格でした」と回想。1回目の打ち合わせで、「何でも言ってください。ほかの7人はもちろんそうだし、僕にも教えてください」と、バラエティ経験が豊富ながら謙虚な姿勢で接してきたことに、驚かされたという。

ボケもツッコミもこなせるオールラウンダーとして活躍するが、忘れられないのが第2回放送。8人で合計450回の腹筋運動に挑戦するという企画で、最後の1人で残り141回をやり抜くという“意地”を見せつけた。「ちょっと度肝を抜かれました。メンバーの7人もそうだし、僕ももちろん、あの現場にいた人は、“この番組はいつもよりもギアを入れないと、風磨さんに置いていかれる”という空気が漂ったんです。僕より15くらい年下ですが、ものすごく学ばせてもらっています」と気が引き締まったそうだ。

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