またも「プーチンの策略」か...? トランプの「新たな外交ゲーム」に広がる困惑、米ロ「再接近」の理由とは

ウクライナ戦争終結に向けた外交努力が実を結ばないなか、トランプ米大統領は一時的に戦略を転換したように見えた。 【動画】プーチン「パーキンソン病説」が再浮上 9月下旬、トランプは欧州からの財政支援があれば、ウクライナは領土を奪還できると主張。10月12日には、モスクワにも届く巡航ミサイルのトマホークをウクライナに供与する可能性に言及した。 さらに、ウクライナのゼレンスキー大統領の訪米が迫るなか、ヘグセス国防長官を含む米高官も強硬な発言を繰り返した。戦争終結を拒み続けるロシアのプーチン大統領へのいら立ちが募るなかでの一連の発言は、米政府の方針転換のサインとみられていた。 だが10月16日にトランプがプーチンと電話会談を行うと、全てがひっくり返った。長時間の電話会談を終えたトランプは、2週間以内にハンガリーの首都ブダペストでプーチンと直接会うと発表した。 2人は8月にもアラスカで会談しているが、突破口は開けなかった。それだけに、今回の発表には驚きと疑問の声が多数上がっている。 「アラスカの首脳会談で何の成果も出なかったのに、トランプは同じ過ちを繰り返そうとしている」と、ウクライナの国会議員オレクサンドル・メレシュコは本誌に語った。「何か巧妙な外交ゲームを仕掛けているのかもしれないが、控えめに言って意味不明だ」

プーチンとの電話会談は、自身の直感と首脳同士の個人的関係に頼りがちなトランプの手法を浮き彫りにしていると、アナリストは指摘する。 「トランプは地道な外交努力によってロシアに圧力をかけると語ってきたが、実際にはそうした行動をたびたび避けてきた」と、米シンクタンク、アトランティック・カウンシルのアンドルー・ダニエリは言う。「代わりに首脳会談やハイレベル協議を好むが、それでも何の進展もない」 一方、今回の電話会談は、米政府によるウクライナへの軍事支援強化にプーチンが懸念を募らせていることの表れだという見方もある。 2度目の首脳会談という場当たり的な決断が下されたのは、トランプがガザ戦争の停戦を仲介し、2年に及ぶ戦闘を(少なくとも当面は)終結させた直後のタイミングだった。 トランプはガザの合意がウクライナでの同様の合意を実現する素地をつくったと語る。 ゼレンスキーも16日、その考えに賛同し、ガザの停戦がウクライナ戦争終結への「勢い」を生んだと主張した。「欧州の戦争も終わらせられる。そのためには、アメリカとその他のパートナー諸国の指導力が極めて重要だ」

ニューズウィーク日本版
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