ビットコイン、10万6000ドルまで急騰した後に10万3000ドルに下落──6億ドルを超える清算が発生(CoinDesk JAPAN)
5月18日の深夜から、ビットコイン(BTC)が10万6000ドルを突破する急騰を見せたものの、その後、方向転換し、10万3000ドル近辺まで急落したことで、6億ドル(約870億円、1ドル=145円換算)を超える暗号資産デリバティブポジションが清算された。この急落は、強気派と弱気派の両方にとって不意打ちとなった。 この動きは18日の協定世界時(UTC)午後9時(日本時間19日午前6時)ごろに始まり、ビットコインは1時間足らずで2500ドル以上急騰した。このパターンは、週末の流動性不足と、テクニカルレベルによるアルゴリズム買いが引き金となった可能性が指摘されている。 このような価格の動きは、教科書通りのショートスクイーズに続いて、積極的な利益確定売りやストップロス注文の連鎖が発生したことによるものだ。ショートスクイーズとは、価格の下落を予想して売りポジションを保有するトレーダー(ショートセラー)が、価格が上昇するにつれて損失を補填するために資産を買い戻さざるを得なくなり、その結果、価格がさらに急騰する現象だ。 この急激な動きにより、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)などの主要暗号資産(仮想通貨)を追跡する先物市場で、ロングポジションが4億6000万ドル(約667億円)以上、ショートポジションが2億2000万ドル(約319億円)以上、消滅した。 この清算の波は、通常であれば閑散としている週末の時間帯に発生したことが特徴的で、主要プレーヤーによる強制的な売買活動を示す異例の出来事だった。 データによると、SOL、DOGE、XRPの価格は過去24時間で4%以上下落しており、より広範な暗号資産市場を追跡するCoinDesk20指数(CD20)も2%以上、下落している。 このボラティリティは、マクロ経済の不確実性が高まった週に発生した。ムーディーズが16日にアメリカの信用格付けを引き下げたほか、経済指標の混在を受けてインフレ懸念が再浮上した。格付け引き下げは、米国債30年物利回りが5%を突破する要因にもなった。 暗号資産は、機関投資家からの資金流入の再開と現物ETF(上場投資信託)の勢いから全体的に恩恵を受けているが、現在の価格水準ではトレーダーは慎重な姿勢を維持していると報じられている。 ビットコインは過去1週間では横ばいだが、重要なセンチメント的かつテクニカル的水準である10万6000ドルを上回れなかったことは、短期的な抵抗を示す可能性があるとの見方を、FxProのチーフ市場アナリストであるアレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏が先週、CoinDeskに述べた。 一方、一部のトレーダーは、今後数日間でボラティリティが上昇すると予想しており、これはレバレッジを効かせた取引を狙う投資家にとっては警告となるだろう。 「投資家は、数兆ドル規模の債務増加や米国債のプレミアム上昇を招く可能性のあるアメリカの歳出法案をめぐる懸念が高まる中、資本をビットコインに移しつつある」と、ハッシュキー・ビジネス・グループ(HashKey Business Group)の共同CEOであるハイヤン・ルー(Haiyang Ru)氏はテレグラムのメッセージで述べた。 「しかし、ビットコインが新高値直前で推移しているものの、トレーダーが新たな貿易協定や財政政策の最終案に備えているため、市場の変動が高まることが予想される」とルー氏は付け加えた。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Bulls and Bears Get Caught off Guard as Bitcoin Jumps to $106K, Then Falls Back to $103K
CoinDesk Japan 編集部