日大中退も…高野愛姫のメンタルを変えた“恐怖の朝練”
◇国内女子◇ヨネックスレディス 最終日(8日)◇ヨネックスCC(新潟)◇6339yd(パー72)◇曇り時々晴れ(観衆2884人)
最終18番(パー5)のパーパットを沈めると控えめに頭を下げた。高野愛姫が9バーディ、1ボギーでプレーした。自己ベスト「64」をたたき出して、後続に4打差をつける通算15アンダーでツアー初優勝を挙げた。
最終組から2組前、4打差6位から出た。「朝から緊張していました。パッティングで手が動かなかったけれど、なんとか動かした。スタートの時は優勝を目指していなかった。なんとかトップ10に入りたかった」
前半3番(パー3)は5UTで1.5mにつけてバーディ。4番も右3mを沈め、5番は134ydから7Iで左2mにつけて3連続バーディを奪った。右7mを決めた8番からは4連続バーディと面白いようにパットが決まった。「構えたところに打ち出すこと、とにかくそれができた」。直近2試合は予選落ちしていたが、グリーン上でさえた。
埼玉栄高では米ツアーに参戦中の岩井明愛、岩井千怜の2年後輩。練習でもいっしょに汗を流した仲だが、「レベルが違うし、目標にもできない感じだった。実力の差を感じた」と雲の上の存在だった。
高校卒業時のプロテストは失敗した。在学中のプロテスト受験の許可をもらえた日大進学を選んだが、結果的にこれが合格につながった。ゴルフ部の平日は朝練として1時間20分の走り込みを行っていた。
「わたしにとってはすごくきつくて。毎晩8時ぐらいになると朝が怖くて眠れなかった。ほかの子たちも『きつい』と言っているが、やっていた。私はみんなと同じ距離を走っても周回遅れになった」。大学進学まで5kmを走った経験もなかっただけに、メンタル面が鍛えられた。
「これだけ頑張ったしプロテストは大丈夫」。自信にもつながり、2023年のプロテストに合格した。2年時だった昨年8月に競技に専念するために日大を中退した。
「トップ10に入る回数を増やしたい。たくさん優勝したい。1シーズンで常に3勝、4勝とか、そうなりたい」。高校の先輩でもある岩井ツインズの背中はまだまだ遠いが、一歩ずつ自分の道を進む。(新潟県長岡市/玉木充)