ロシア軍がウクライナを549発の長距離ドローン・ミサイル攻撃、西部リヴィウの物流拠点が炎上(JSF)
2025年10月5日のウクライナに対するロシア軍の長距離ドローン・ミサイル攻撃は合計549飛来(ドローン496機+ミサイル53発)でした。10月3日に大規模攻撃があったばかりで、攻撃間隔が短くなっています。
※飛来数は2025年9月7日の823飛来が過去最大、突破された数は2025年10月3日の96突破が過去最大(突破数の打撃力換算でも10月3日が過去最大)。ただしミサイル飛来数は過去と比べて最近はかなり減少している。
2025年10月5日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部
- キンジャール空中発射弾道ミサイル×2飛来1撃墜
- Kh-101巡航ミサイル×42飛来32撃墜
- カリブル巡航ミサイル×9飛来6撃墜
(さらに加えてミサイル6発が未到達)
(飛来数のうちシャヘド型の推定数約250)
※合計549飛来484排除、65突破 ※阻止率88%
ウクライナ空軍より2025年10月5日迎撃戦闘の集計報告※ウクライナ空軍司令部は先月の9月8日からドローン飛来数のうちシャヘド型自爆無人機の推定数を記載するようになっていたが(関連記事)、9月20日と9月28日は記載が無く、更に10月に入ってからは4日連続で記載が無かった。しかし10月5日にシャヘド推定数の記載が復活。ただしあまり正確な推定とは言い難いので、無視してもよい。
※БпЛА : 宇語で無人航空機の略。Безпілотний літальний апарат
※АБР : 宇語で空中発射弾道ミサイルの略。Аеробалістична ракета
攻撃は西部リヴィウに集中
※ППО радар と monitorwar による共同作業の可視化地図。Licensed unded BY CC 4.0攻撃経路の可視化地図の出典 : https://t.me/mon1tor_ua/55695
- 赤色:巡航ミサイル(Kh-101:空中発射)
- 緑色:巡航ミサイル(カリブル:艦船発射)
- 白色:巡航ミサイル(カリブル?)
- 青色:弾道ミサイル(キンジャール:空中発射)
- 黄色:各種ドローン(シャヘド自爆無人機/ガーベラ囮無人機:地上発射)
弾道ミサイル×2飛来1撃墜、1突破 ※阻止率50%
ロシア軍のキンジャール空中発射弾道ミサイル2発が西部リヴィウに飛来し1発を撃墜したとあります。この場所での弾道ミサイル撃墜例は珍しく、パトリオット防空システムが展開していたのでしょうか? 迎撃し難い高速目標である弾道ミサイルの特性として、パトリオット以外では交戦すら困難なのです。
巡航ミサイル×51飛来38撃墜 6未到達、7突破 ※阻止率86%
- Kh-101巡航ミサイル×42飛来32撃墜
- カリブル巡航ミサイル×9飛来6撃墜
※さらに加えてミサイル6発が未到達。ただしウクライナ空軍司令部の説明の書き方ではミサイル全てが対象なので弾道ミサイルが含まれる可能性もあるが、集計の簡略化の為にここでは未到達6発は全て巡航ミサイルだったとして扱う。
巡航ミサイル攻撃はウクライナ西部のリヴィウに集中しています。低速目標である亜音速で飛行する巡航ミサイルを相手に阻止率86%ならば、平均的な範囲の数字です。前回の10月3日(記事)の巡航ミサイル攻撃では珍しくイスカンデルKが数上の主力でしたが、今回の攻撃は従来通りKh-101が攻撃の主力です。
最近の巡航ミサイルの発射記録(8月15日米露アラスカ会談以降)
- 2025年10月5日:巡航ミサイル×51飛来38撃墜6未到達、7突破 ※阻止率86%
- 2025年10月3日:巡航ミサイル×28飛来17撃墜 、11突破 ※阻止率60%
- 2025年9月28日:巡航ミサイル×46飛来43撃墜 、3突破 ※阻止率93%
- 2025年9月20日:巡航ミサイル×32飛来29撃墜 、3突破 ※阻止率91%
- 2025年9月10日:巡航ミサイル×42飛来27撃墜、16突破 ※阻止率64%
- 2025年9月07日:巡航ミサイル×9飛来4撃墜、5突破 ※阻止率44%
- 2025年9月03日:巡航ミサイル×24飛来21撃墜、3突破 ※阻止率88%
- 2025年8月30日:巡航ミサイル×37飛来32撃墜、5突破 ※阻止率86%
- 2025年8月28日:巡航ミサイル×20飛来18撃墜、2突破 ※阻止率90%
- 2025年8月21日:巡航ミサイル×33飛来30撃墜、3突破 ※阻止率91%
- 2025年8月19日:巡航ミサイル×5飛来4撃墜、1突破 ※阻止率80%
各種ドローン×496飛来439排除 、57突破 ※阻止率89%
ロシア軍の長距離ドローン(シャヘド自爆機無人機やガーベラ囮無人機など)は巡航ミサイルと同様に主に西部リヴィウを狙ってきたのとは他に、前線付近の都市も狙ってきています。阻止率89%は平均的な範囲ですが、しかし飛来数があまりにも多いので、57突破を出してしまっています。なお囮無人機が大量に含まれている筈で、囮無人機が燃料切れで勝手に墜落したものまで「阻止」に含まれているので、阻止率ではなく「迎撃率」の場合はもう少し低い数字になるでしょう。
突破数の打撃力換算:ミサイル1点、ドローン0.1点
- 2025年10月5日:合計13.7点(ドローン5.7点+ミサイル8点)
- 2025年10月3日:合計25.8点(ドローン7.8点+ミサイル18点)
- 2025年9月28日:合計7.7点(ドローン2.7点+ミサイル5点)
- 2025年9月20日:合計11.7点(ドローン2.7点+ミサイル9点)
- 2025年9月10日:合計18.9点(ドローン2.9点+ミサイル16点)
- 2025年9月07日:合計15.3点(ドローン6.3点+ミサイル9点)
- 2025年9月03日:合計10.2点(ドローン7.2点+ミサイル3点)
- 2025年8月30日:合計9.7点(ドローン2.7点+ミサイル7点)
- 2025年8月28日:合計8.5点(ドローン3.5点+ミサイル5点)
- 2025年8月21日:合計11.8点(ドローン2.8点+ミサイル9点)
- 2025年7月12日:合計3.0点(ドローン2.0点+ミサイル1点)
- 2025年7月09日:合計7.7点(ドローン1.7点+ミサイル6点)
- 2025年7月04日:合計15.3点(ドローン6.3点+ミサイル9点)
- 2025年6月29日:合計25.1点(ドローン4.1点+ミサイル21点)
※打撃力換算はミサイルとドローンの弾頭重量の差を10倍とした簡易なもの。
※リヴィウ市街の路上にロシア軍のミサイルらしき残骸が転がっている。円筒形のセクションであり、ステルス性を意識した「おむすび型」断面のKh-101巡航ミサイルではない。丸形断面の円筒形の構造を持つカリブル巡航ミサイルである可能性。
※ロシア軍の攻撃でリヴィウの工業団地「スパロウパーク」が炎上。リヴィウ市長アンドリー・サドヴィー氏は「軍事目標ではなく民間施設だった」と証言、一方ロシア側はこれを「NATOが支援するウクライナ軍への兵站物流拠点だった」と主張。
弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。