推進から規制へ「メガソーラ」政策 政府舵を切る 一方でジレンマ”どう太陽光の割合増やすのか” 日本発の技術「ペロブスカイト太陽電池」は切り札となるのか?【サンデーモーニング】

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■拡大するメガソーラーと日本国土が抱える課題 岡山県美作市にある日本最大の「メガソーラー」。その面積は410haで、東京ドーム87個分。出力は一般家庭の年間電力消費量の少なくとも6万軒分以上になります。 【画像で見る】窓に設置して発電できる「フィルム状」の太陽電池 こうした太陽光発電は、2011年の原発事故をきっかけに普及が進み、“発電能力”は事故時の15倍まで増加。 現在、日本の発電量の約10%を占めるまでになりました。 しかし、日本は国土の7割が山地なので建設に適した場所が減っていきます。その結果、山林を伐採して斜面などへの設置が進みました。 すると土砂崩れの危険や景観破壊、生態系への影響が深刻化しました。地元住民との摩擦も相次いでいます。こうした状況を受け、政府は「推進」から「規制」へと舵を切りました。 ■山を切り開かない「街に溶け込む太陽光発電」へ これまでメガソーラーには、私たちの電気代を原資とした「支援」が行われてきましたが、2027年度以降の新規計画では、「廃止」も含め検討するとしています。 さらに「森林法」などの法改正で無秩序な開発を取り締まり、第三者機関による設備の安全審査を行う方針です。 ただ、ここで大きなジレンマが生じます。 国は2040年度に太陽光発電の割合を「23%〜29%」、今の約3倍に引き上げる目標を掲げています。山を切り開かず、自然を破壊せずに、どうやって増やすのでしょうか。 「山に大きなものを作る」のではなく「街に溶け込む小さな電気を積み重ねる」という考え方への転換です。 切り札は、日本発の技術「ペロブスカイト太陽電池」です。 従来の「硬くて重い板」ではなく、「薄くて軽いフィルム状」のため、丸いビルや古い木造住宅の壁や窓など、これまで設置できなかった場所で発電することができます。 ■「街で作り街で使う」太陽光発電の未来 太陽光発電の将来性について、自然エネルギー財団の石田雅也 研究局長は、「従来の太陽電池でも、住宅や工場の屋根など、取り付けられる面積の3割に設置すれば、国の目標を達成できる。 『ペロブスカイト太陽電池』によって、壁や窓にも設置できるようになると、太陽光のポテンシャルはさらに増える」と言います。

また、駐車場のスペースを生かし屋根を活用する「ソーラーカーポート」というものもあります。駐車場の利用者は、夏の猛暑で車が高温になることを防ぐことができるメリットもあります。 さらに、農地の上に幅40センチほどのパネルを間隔を空けて設置し、発電しながら農業もできる「ソーラーシェアリング」もあります。 収入が大きく変動する農業ですが、安定した売電利益が得られれば、安心して農業を続けられるといいます。 石田研究局長は、「森林を伐採してメガソーラーを作るのではなく、“消費する場所や街で電気を作り、その場で使う”。地域との共存が問題解決のカギだ」と言います。

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