トランプ氏、最高裁に内部告発者保護機関のトップ解任許可を要請
- デリンジャー連邦特別検察官の解任巡る地裁差し止め命令解除求める
- 連邦高裁、米政権による介入要請を時期尚早として退けた
トランプ米大統領は、政府の内部告発者を保護する米独立機関トップの解任を認めるよう連邦最高裁判所に要請した。トランプ氏の見解を受け入れない連邦政府高官を排除する動きの中で初めて最高裁の介入を求めた形だ。
16日に提出された今回の申し立ては、まだ正式記録になっていないが、首都ワシントンの連邦地裁が下した一時的な差し止め命令の解除を最高裁に求めている。この地裁命令により、ハンプトン・デリンジャー氏は14日間、連邦特別検察官の職を解任されることが免除されている。
これに先立ち、連邦高裁は15日夜、米政権による介入要請を時期尚早として退けた。米訟務長官代行のサラ・ハリス氏は最高裁への提出書類で、「ある機関のトップをどのくらい長く起用し続けなければならないかを大統領の意思に反して命令することによって下級裁判所が行政権を掌握することを連邦高裁は認めるべきではない」と主張した。
連邦高裁の2対1の判決では、政権が地裁の暫定的な命令に対し、より詳細な判決を2週間待たずに控訴するのは通常の裁判手続きからの「大きな逸脱」になるとしている。高裁では民主党が指名した裁判官2人が賛成、共和党指名の裁判官1人が反対した。
最高裁の通常の手続きによると、トランプ氏による申し立てはジョン・ロバーツ最高裁長官に送られ、同長官は独自に判断するか、または最高裁全体に判断を委ねることができる。デリンジャー氏は、申し立てに関するコメントを控えた。
米連邦地裁のエイミー・バーマン・ジャクソン判事は12日に一時差し止め命令を下した際、解任は米国の法律に「明白に」違反していると指摘。連邦法では、その職に就いている人物は職務怠慢や職務上の不正行為を行った場合にのみ解任できると規定されているが、政権側は理由を一切提示しなかったと説明した。
トランプ氏は就任以来、政府の効率性を理由に大幅な人員削減や政府機関の閉鎖、支出の大幅削減などを断行し、連邦政府の変革を目指してきたが、こうしたトランプ氏の措置に対し、違憲かつ違法な行政権の掌握だとして、訴訟が数十件起こされている。
デリンジャー氏は、バイデン前大統領により特別検察官に指名され、2024年2月に米上院によって5年の任期で承認されていた。
原題:Trump Asks Supreme Court to Let Him Fire US Agency Head (1)(抜粋)