米司法省、NY州司法長官を調査-トランプ氏が敗れた民事訴訟巡り
- 司法省は大陪審を招集し、ジェームズ長官側に召喚状送付-関係者
- トランプ氏の法的権利が民事訴訟で侵害されたかどうかが焦点
米司法省は、トランプ大統領の不正行為を巡る民事裁判で勝訴したニューヨーク州のジェームズ司法長官の調査に乗り出した。
事情に詳しい2人の関係者によると、司法省は大陪審を招集し、ジェームズ氏側に召喚状を送付したという。このうち1人によれば、召喚状には、ジェームズ氏が全米ライフル協会(NRA)に対して起こした訴訟に関する情報も含まれている。関係者は非公開の調査だとして匿名を条件に語った。
問題の訴訟はトランプ氏が昨年の大統領選で再び当選する前のもの。民主党のジェームズ氏は、トランプ氏に対する厳しい批判で知られている。
トランプ・オーガニゼーションによる資産の過大評価が絡む銀行詐欺疑惑に関し、ジェームズ氏が3年間にわたる調査の末に勝ち取った法廷での勝利は、同氏にとって大きな成果となった。トランプ氏は控訴している。
ジェームズ氏に対する調査は初期段階で、トランプ氏の法的権利が民事訴訟で侵害されたかどうかに焦点だという。ニューヨーク州オールバニで行われている調査は、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が先に報じていた。
ジェームズ氏のアベイ・ローウェル弁護士は、「ジェームズ司法長官がトランプ大統領およびその事業体に対して勝訴した訴訟を調べるというのは、この政権が大統領の政治的報復を実行に移している最も露骨で無謀な例だ」と指摘した。
一方、ボンディ司法長官は、保守系活動家で、かつて首都ワシントンの連邦検事代行を短期間務めたものの、上院の承認を得られなかったエド・マーティン氏を起用し、ジェームズ氏とカリフォルニア州選出のアダム・シフ上院議員に対する調査を担当させた。
連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長が、ジェームズ、シフ両氏が住宅ローン申請時に申告した居住地に関して詐欺を働いた可能性があるとして、司法省に調べるよう要請していた。
シフ氏とジェームズ氏はいずれも住宅ローン詐欺の疑惑を否定している。シフ氏はトランプ氏にとって最大の政敵の一人とされ、昨年の上院選で圧勝した。
司法省の報道官はコメントを控えた。ジェームズ氏の報道官は「当局の訴訟の成果を強く支持する」と述べ、「司法制度を私物化するような行為は、全ての米国民にとって看過できない事態だ」とコメントした。
原題:DOJ Opens Investigation Into NY AG James Over Trump Suit (2) (抜粋)