VRヘッドセットが売れてないけどまぁOK。“あれ”が爆売れですから(ギズモード・ジャパン)

Meta(メタ)は、低価格でVR体験を実現する「Quest 3S」を売り出し中。これはApple(アップル)が発売した、高性能な「Apple Vision Pro」と比較すると、10分の1以下の価格で手に入れられる、非常にコストパフォーマンスの高いVRヘッドセットです。とにかく手ごろにVRの世界を味わいたいという人に向けて、Quest 3Sは最善の選択肢ともなり得たはず。 ところが、Metaの決算報告で、Quest 3Sのつまずきが明らかになっています。たとえば、Meta Reality Labsの2025年第1四半期の売上高は、4億1200万ドル(約600億円)にとどまりました。2024年第1四半期に記録した4億4000万ドル(約650億円)と比べるなら、大幅にダウン。ちなみに、ここまで売上高が落ち込んだ原因は、QuestシリーズのVRヘッドセットの販売減が大きいとされていますね。

メタバース関連の製品を扱うMeta Reality Labsは、このまま振るわない業績が続くのか? そう思いきや、意外にもMetaのSusan Li CFOは楽観的です。Questシリーズは販売が急落したことを認めつつも、代わりにスマートグラスの「Ray-Ban Meta」の販売が大幅に伸びたことを要因に挙げました。なんといっても、予想外の売れ行きとまで伝えられていますから! スマートグラスでできることって、実は非常に限られています。音楽再生や写真撮影、ハンズフリー通話、いろんなAI機能は使えれど、Ray-Ban Metaには、ディスプレイさえ搭載されていません。基本が音声に頼るスマートグラスに対して、VRヘッドセットは、迫力の映像で没入感までもたらしてくれる~。それなのに、時代の流れは、性能と機能で劣るはずのスマートグラスのほうに傾いてしまっているとの分析のようなのです。 Ray-Ban Metaが革新的とされるのは、オシャレに外出先へ装着していけること。何時間でもストレスフリーで使い続けられます。一方、とにかくゴツいものが顔面に覆いかぶさるようなVRヘッドセットは、当然ながら、使えるシーンが限られますよね。あと重くて首などにかかる負担がハンパない。それなら、できることが限定されるスマートグラスでも、実用性や快適性の面から選ばれる存在になっているのでは? まさかのスマートグラスにシェアを奪われた形のVRヘッドセット。さらにスマートグラスが進化を遂げていけば、このままVRヘッドセットは浮上の機会を失ってしまうやもしれません。それはそれで寂しい気もしますけど。

湯木進悟

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