阿部慎之助監督「野球を知りませんというのとアグレッシブ、紙一重かもしれないけど」キャベッジ走塁死にうなだれる
◆JERA セ・リーグ 阪神2―1巨人(1日・甲子園)
巨人が阪神との接戦を落とし、連勝は3で止まった。天敵・才木から決定打が出ず5回5安打無失点と粘られ、対才木は6連敗で31イニング連続無得点となった。先発の西舘勇陽投手(23)は6回2失点と試合はつくったが、2敗目を喫した。首位・阪神とのカード初戦は今季5戦全敗で、ゲーム差は4・5に拡大。相手を上回る10安打を放ちながら競り負けた3つの要因を探る。
必死に食らいついた。現在のチームのキーワード「しがみつく」を全員で体現したが、1点届かなかった。10安打9残塁で1得点。あと一本が出ず、阿部監督は「永遠のテーマなのでね」と淡々と振り返った。紙一重の差。痛い敗戦には、流れをつかみきれなかった3つのポイントがあった。
〈1〉対才木 相手先発は昨年途中から巨人戦26イニング連続無失点中、5連勝中だった天敵。橋上作戦戦略コーチ兼スコアラーが「球威、角度、モーションに捉えにくい特徴がある。まずは力のある真っすぐを打ち返したい」と掲げたように、序盤から粘ってしがみついた。3回の攻撃前には、ベンチ前で野手陣が円陣を組み対策を再確認した。
2点を追う4回1死満塁では坂本が三振、岸田が遊飛。5回1死二塁も生かせなかった。4回で71球、5回で91球と球数を投げさせて5回で降板させたが、才木から得点は奪えなかった。得点は6回の1点のみ。阿部監督は「データ通りになっちゃいましたね」と受け止めた。
〈2〉キャベッジの走塁 1点を追う7回、代打・キャベッジが桐敷から詰まりながら右前安打。一塁を回って二塁にヘッドスライディングも、右翼・森下のチャージと好返球でタッチアウトになった。指揮官は「信号機を守る暴走族になろう」と積極走塁を掲げるが、無死一塁で1番・丸を迎えるはずが1死走者なしに。状況を考えれば無理する場面ではなかった。
「『アグレッシブ』であれを済ませて良いのかっていうね。野球を知りませんというのとアグレッシブ、紙一重かもしれないけど、そうでは済ませてほしくない。アグレッシブにいってセーフになったためしがないから。状況判断できてません、ってなっちゃうしね」と阿部監督はベンチで思わず顔を伏せた。キャベッジも「いけると思ったのですが、もう少し考えるべきでした」と猛省した。
〈3〉2回の守備 2死から小幡の遊ゴロを泉口がはじいて失策。9番の才木まで回ったことで3回が1番からの攻撃になり、先頭・近本の二塁打をきっかけに西舘が2点目を許した。攻守両面で貢献度が高い泉口だが、3回を才木からの攻撃にできただけに結果的に痛いプレーだった。
対阪神は4勝9敗。今季の伝統の一戦は5カード目でカード初戦は全敗だ。連勝は3で止まり、ゲーム差は4・5に広がった。「何とかうまくかみ合って、タイガースに一つでも勝てれば流れが来ると思うので。それを目指して明日頑張ります」。終盤は大勢、マルティネスが控えるだけに理想は先行逃げ切り。しがみつく。これ以上、離されたくない。(片岡 優帆)