苦節22年、TEAM MACHがついにスーパーGT初優勝。“古代兵器”の活躍は来季以降も見られそう? 玉中代表「このクルマ、大好きだから」
モビリティリゾートもてぎで行なわれた2025年のスーパーGT最終戦。GT300クラスは実に9台のマシンがタイトル争いを繰り広げる中、それらを蹴散らして勝利を飾ったのが5号車マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号だった。玉中哲二代表率いるTEAM MACHにとっても、創設以来初の優勝となった。
自らフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)にも参戦するレーシングドライバーだった玉中代表は、2003年より自チームで全日本GT選手権(現スーパーGT)への参戦を開始した。“マッハ号”のカラーリングはこの当時からで、2015年からはマザーシャシーのMC86に車両をスイッチすると、この頃から玉中代表自らドライブする機会は減っていき、若手主体のチームとなっていった。
ただ、時折表彰台を手にすることはあったものの、勝利には手が届かずいたTEAM MACH。近年は入賞もままならず、ランキング下位に沈んでしまっていた。
しかし今シーズンはスーパーフォーミュラやGT500の参戦経験がある木村偉織を新たに迎え入れると、スクール時代の同期である塩津佑介とのコンビは躍動。第5戦鈴鹿で繰り上がりながら3位表彰台を獲得すると、最終戦は2番手スタートからタイヤ無交換作戦を成功させて見事勝利を手にした。
「長い道のりでしたね。ラスト10周は『止まらないでくれ』と心配してたし、タイヤも心配でした」
そうしみじみと振り返るのは玉中代表だ。
「タイヤ無交換作戦をやるぞとドライバーたちに伝え、『こういう運転をしてくれ』とリクエストしたのですが、ドライバーふたりがそれをきっちりと守ってくれたおかげでタイヤが持ちました。作戦も決まって、セッティングも決まって……何かひとつ欠けたら優勝できないのがスーパーGTですからね。本当にみんなに感謝です」
写真: Masahide Kamio
MC86は、2015年からスーパーGTに本格投入された車両。TEAM MACHの現在の車両は、2022年最終戦の大クラッシュによる全損を受けて、当時アルナージュがレンタルしていたINGING所有の個体を譲り受けたものとなっている。10年以上同じ車体で走っているわけではないが、そもそも車種自体が古く、チームも限られたパーツの中でやりくりしているのが現状だ。
「やっぱり部品も少なくなってきていますからね。新しくワンオフで作ったりしています。メカニックも部品の調達をしたり、長く持たせるようにと頑張ってくれています」と玉中代表。
「持たせるのにも意外にお金がかかります。でも本当に良いクルマだし、思い入れがあるので、なんとかこのクルマで勝ってやろうと思っていました」
巷では“古代兵器”などと親しみを込めて呼ばれるMC86。来季以降も継続して使用できそうかと玉中代表に尋ねると、こう答えた。
「新しいエンジンがまだ2基残っています。他の部品も若干はあるので。もうちょっと走らせたい。もうこのクルマ大好きだから」
「やっぱりフォーミュラカーに近いクルマなので、動きとかを見ていてもかっこいいですよね。それに軽いしね。スバルさんも同じような見た目のマシンですが、うちのマッハ号の方がかっこいいな、なんて(笑)」
「だから、これからも出来る限り走らせたいなと思っています」
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