“田久保派”伊東市議候補の演説に市長ご登場も… 聴衆“わずか5人” 「不信任を阻止できる可能性はゼロに近い」
告示日の12日、田久保氏の姿は伊東駅前にあった。 「市議会にも新しい風が必要だと思って議会を解散した。新しい伊東をつくっていきたい」 新人候補・片桐基至(もとゆき)氏(45)の応援に駆け付け、こう訴えたものの、聴衆はわずか4〜5人程度。周囲にできた人だかりの大半は集まった報道陣だった。 地元紙記者が言う。 「市議選は定数20に対し、前職18人、新人12人の計30人で争われます。しかし告示が毎年恒例の秋祭りの開催日と重なり、候補者の多くが街頭演説を取りやめるなどしたため、盛り上がりに欠けるスタートとなりました」 田久保氏が隣に立ってエールを送った片桐氏は、新潟県出身の元航空自衛隊員。2016年に同県阿賀野市議選に幸福実現党公認で出馬し、初当選した。 「その後、伊東市に移住して参政党に鞍替えしますが、23年の市議選出馬前に離党し、落選。現在は造園業を営み、地元報道機関などが候補者に実施したアンケート調査で唯一、市長への不信任案再提出に『反対』と回答しました」(同) “田久保派”を公言する異色候補の片桐氏に話を聞くと、 「(出馬は)田久保さんに頼まれたわけではありません。ただ彼女のことは応援しており、学歴詐称の件もできる範囲内で説明していると思います。田久保さんが生み出した市政変革の熱を私も継続させ、伊東を変えていきたい」
前出のアンケート調査では、26人が不信任案提出に賛成と答えた一方で、「無回答」とした候補者も3人いた。 その一人、「コンテンポラリー風水師」を名乗る新人・梅田和江氏(66)は理由をこう話す。 「今回は不信任案を出すか出さないかを問う選挙ではないはずです。田久保さんを支持していますが、もっとふさわしい市長が出てくれば、それはそれでいいとも思っています」 ドイツ人の夫と共に昨年夏に伊東に移住した、東京大学大学院修了の文学博士で、イスラム研究者でもあるシュタインマン信子氏(50)も無回答と書いた一人だ。 「私は正確には『未定』と回答しました。単に田久保さんを降ろせばいいという問題ではありません。もちろん、説明責任を果たしていない点は弁護のしようもないですが、分断をあおるだけでは何の解決にもならない。伊東の衰退を止め、市民参加型の市政をいかにつくるかが問題の本質だと思っています」(シュタインマン氏)