円安に歯止めが掛からず生活は苦しくなるばかり…サナエノミクスの限界で「高市不況」がやってくる(FRIDAY)

視線の先には、どんな未来が見えていたのだろうか――。 12月1日、今年の新語・流行語大賞が発表され、高市早苗首相(64)が自民党総裁に選出された際の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が選ばれた。 【画像】高市早苗首相「バンドのドラマーだった」学生時代の貴重な写真 「毎日2〜4時間ほどの睡眠で、それ以外は働きっぱなし。すぐ起きられるようソファーで寝ることもザラで、年末年始の予定も地元の挨拶回りなどですでに埋まっています。ストレス発散は行きつけの店でのカラオケ熱唱というモーレツぶりです」(自民党ベテラン秘書) 冒頭の場面は初の党首討論に臨んだ際のもの。ふとした瞬間に高市氏は中空を見やったのだが――台湾有事を巡る「存立危機事態」発言後も内閣支持率がさほど落ちなかったことで視界が晴れ、彼女には薔薇色の未来が見えていた……かもしれないが、すでに次なる嵐が迫っている。高市氏が掲げる経済政策、通称「サナエノミクス」の限界が近づいているのだ。 サナエノミクスの中身は積極的な財政出動を行い、経済を活性化させるというもの。それは今年度の補正予算案にも色濃く反映されている。総額は前年の13.9兆円を上回る18.3兆円。コロナ禍を除き、過去最大となる。 だが、そこには大きな落とし穴がある。 「野党4党が提案したガソリン暫定税率の廃止に加え、公明党が掲げた18歳までの子どもへの現金給付2万円、維新が掲げた電気・ガス料金負担軽減の補助金案などを丸呑み。国会運営、野党対策のためのバラマキに忙しいようですが、肝心なのはその財源。11.7兆円もの新規国債発行が盛り込まれているのです。前年の補正予算の国債発行が6.7兆円ですから、実に約2倍の額となります。 野放図に国債を発行すれば、財政運営に対する信認が失われ、結果的に円安が加速します。安定的な恒久財源を確保できる見通しもないまま歳出の膨張が続けば、さらに円安は進行していくことになる」(社会構想大学院大学・北島純教授) ◆サナエノミクスの構造的限界 実際、円安に歯止めが掛からず、消費者物価指数も50ヵ月連続で上昇。住宅ローン金利も昨年から値上がりに転じて右肩上がりに上昇を続けており、生活は苦しくなるばかり。 皮肉なのは、ここまでのリスクを冒して行う財政出動が、国民生活の改善にさほど寄与していないことだ。自民党ベテラン議員は「限界だ」と断じる。 「円安で原材料費や輸入食材が高騰してしまうから、バラマキの効果は減殺される。せっかく減税されたガソリンも仕入れ値が高騰しているから、『12月末以降も減税分満額を下げられない』なんて張り紙がスタンドに貼られる始末。 円安を解消するには日銀が金利を上げ、金融引き締めをするしかない。しかし、金利を上げれば5万円前後で推移している日経平均が大暴落するのは目に見えている。経済活性化を謳っている以上、それは避けたい。板挟みの中で答えを出せないサナエノミクスが、構造的に限界を迎えているのは明らか。それでも、高市さんは耳を貸そうとしない」 手をこまねいている間に円安はどんどん進行していく。消費行動が停滞するたび、高市政権は国債頼みの補正予算を組み、追加の経済対策を打つ。そうなると財政悪化はより深刻化し……という負のスパイラルが、今、まさに発生しようとしている。行き着く先は、未曾有の経済不況だ。 「金利が高止まりする状況で財源なき大規模な財政出動を続ければ、通貨・株・国債が暴落する『トリプル安』を招くリスクが高まる。日本経済は経験したことがないほどの長期不況に陥るかもしれません。’22年にイギリスのリズ・トラス政権が、同じように財源なき財政出動を繰り返した結果、トリプル安が起きました。『トラス・ショック』の日本版が今後起きないという保証はどこにもないのです」(経済アナリストの中原圭介氏) サナエノミクスが高市不況の引き金となる――。 『FRIDAY』2025年12月19・26日合併号より

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