セブン&アイHD、30年度の営業収益11.3兆円目指す 新規出店も
同社は、スーパーマーケット事業を行うヨーク・ホールディングスの株式売却を決めたほか、セブン銀行の非連結化を終え、9月からコンビニ事業に集中する体制を整えた。
2025―30年度に流入する資金約7.5兆円のうち、設備投資や既存事業との相乗効果を重視した「ボルトオン型」のM&A(合併・買収)などの成長投資に約3.2兆円、自社株買い2兆円を含む株主還元に約2.8兆円を振り分ける。
国内コンビニエンスストア事業のセブン―イレブン・ジャパン(SEJ)は30年度までに約1000店舗の純増を図る。また、既存店舗5000店舗以上に食品提供力強化のための投資を実施する。
北米は新規形態・高い商品日販の店舗を約1300店増加させるほか、レストランを併設した店舗を新たに1100店設置、フレッシュフードでの競争優位性を高めていく。
デリバリー事業「7NOW」は日米で強化する。北米では30年度に約8500店舗(25年度は約7500店舗)に拡大し、人口カバー率50%超を達成する計画。国内では30年度で売上高約1200億円と24年度比10倍超に拡大させる。
デイカス社長は、2026年度下期までに計画している北米セブンイレブンのIPO(新規株式公開)について、価値を顕在化させること、得た資金により株主還元や追加的な成長投資を行うことができるとメリットを説明。「IPO準備のプロセスは変えることなく進めていきたい。経営をアグレッシブに進めていきたいという意思の表れ」と述べた。
デイカス社長は「かつてほど顧客からの信頼を獲得できていない。創業者がしたように、積極的に変化を受け止めることができていない。現状に甘んじている部分がある。ブランドイメージは低下している」と反省の言葉を並べ「創業の精神を取り戻すことがとても重要で、この計画はその第一歩」と位置付けた。
今回の計画は、デイカス氏が社長に就任して初めて取りまとめた計画となる。デイカス社長は「短期間で詳細にわたるしっかりと確信を持ったプランを作り上げることができた。いつまでに何をしなければならないかというところが非常にクリアになっている」とし、これまでとの差を強調。事業だけでなく、マネージメントプロセスの強化やホールディングスの役割も明確化した。
クシュタールが買収提案を取り下げたことで、セブンは単独での企業価値向上が強く求められている。
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