くら寿司“しょうゆボトルなめ女”問題 「損害賠償請求しないほうがいい」と考える3つの理由
「ペロペロ少年から何にも学んでいないなんて、こいつ愚かすぎるだろ」 「完全に人生終わったな、家族と一緒に一生かけて償っていけ」 【画像】スシローとは違う道を選ぶ? また出てきた“しょうゆボトルなめ女”、くら寿司が恐れる「法廷の逆効果」(全11枚) そんなふうにSNSで厳しく断罪されているのが、くら寿司の「しょうゆボトルなめ女」である。 ご存じない方のために説明しよう。発端は2025年10月11日、回転寿司チェーン「くら寿司」で若い女性客が笑いながらレーン上の寿司を素手で触ったり、しょうゆボトルをなめたりしている動画がSNSで拡散されたことだった。 それからほどなくして、SNSではこの女性が山形県内の高校生だという情報が流れ、本名、学校名、顔写真、実家の情報に加え、この動画を撮影したとされる者の名前までさらされる事態となった。 そして14日、くら寿司の公式Webサイトに「山形南館店における迷惑行為につきまして」という声明が出された。それによれば、「実行者についてはすでに特定しており、地元警察に相談しながら対応を進めてまいります」とのことで、「厳正な対応をしていく予定」だという。 さて、この一連の流れを聞くと、「損害賠償」という言葉が頭によぎる人も多いはずだ。2023年にスシローでしょうゆ差しをペロペロなめた少年は、運営会社のあきんどスシローから6700万円の損害賠償を請求されたからだ。 実際、SNSでは「子どもだからといって許されるものではない。しっかり損害賠償すべき」という声も少なくない。
この後、くら寿司は「しょうゆボトルなめ女」とその家族に対して巨額の損害賠償を請求していくのか。 個人的には「損害賠償まではいかない」と見ている。世論の注目度が上がって「なぜ損害賠償しないんだ」という声が高まれば提訴することもあるかもしれないが、最終的には「和解」に持っていって取り下げるはずだ。 なぜそう思うのかというと、理由は主に3つある。 (1)声明文の表現が抑制的 (2)スシローの提訴取り下げの教訓 (3)「法廷闘争の逆効果」を身をもって体験している まず、(1)は提訴に踏み切ったスシローと比較してみると分かりやすい。ペロペロ少年の動画が拡散していることを確認した直後から、あきんどスシローはこんな「怒りの声明」を出している。 早急に警察と相談させていただきながら刑事・民事の両面から厳正に対処してまいります。(SNSで拡散されたスシロー店舗での迷惑行為について 2023年1月30日) では、これに比べて今回のくら寿司はどうか。「警察に相談しながら」という点は共通しているが、「刑事・民事の両面」という表現もないし、断定的なもの言いではなく「厳正な対応をしていく予定」にとどめている。企業広報にとっては常識だが、この手の声明文での「予定」というワードには「そのままフェードアウトするかも」という「逃げ道」の意味もあるのだ。 加えて、筆者がくら寿司は損害賠償請求までいかないと考える最大の理由は(2)だ。