『スカイリム』を愛好しすぎて現実とゲームの区別がつかなくなった?未だ消えぬ「ゲーム悪玉論」…俳優がトラの檻に飛び込んだ事件を巡り英国紙が『TES5』を引き合いに出す

編集部にメッセージを送る

2026年10月10日にイギリス・ヨークシャー野生動物公園にて元子役俳優として活躍していたWilliam Chapman氏がトラの飼育エリアに飛び込んで死亡するという痛ましい事故が起きましたが(参考:BBC)、英国タブロイド紙デイリー・メールはこの事件を『The Elder Scrolls V: Skyrim』(以下、『スカイリム』)と結び付けて報道しています。

トラの檻に飛び込んだのは『スカイリム』のファンだから!?海外でもゲーム悪玉論は根強い?

10月10日に発生したこの事件はイギリス国内で大きく報道され、また国外でもアメリカ・トランプ大統領が先導するSNS「Truth Social」においてトランプ大統領のアカウントからこの事件を題材にしたAI動画が投稿され物議を醸しました。

そんななか、英国タブロイド紙デイリー・メールは被害者であるWilliam Chapman氏について以下のように書き、あたかもゲームにのめり込み過ぎて現実とゲームの区別がつかないような人物像を提示しています。

ウィリアムさんのオンラインゲーム習慣が、精神状態の悪化にどのような影響を与えていたのかについても疑問の声が上がっています。

同年代の多くの若者と同じく、彼は活発なゲーマーでした。特に、プレイヤーがボウガンや斧を手にモンスターや獰猛な捕食動物(大型のサーベルキャットなど)を倒すファンタジーRPG『スカイリム』の大ファンだったとみられます。

ウィリアムさんはファンタジーの世界を現実で演じていたのか、それともオンラインと現実世界の境界線が曖昧になって囚われてしまっていたのでしょうか。

海外メディアWindows Centralの編集者であるJez Corden氏は自身のXアカウントにて、「デイリー・メールは誠に見事な推測をしている。英国の動物園で男性がトラの檻に飛び込んだのは『スカイリム』が原因で、その理由は"大型のサーベルキャット"が出てくるからだ」という皮肉を投稿しました。

同氏へのリプライには、以下のような多くの意見が集まっています。

  • そもそも『スカイリム』はオンラインゲームではない。

  • デイリー・メールがどれだけ世間知らずなのか、どうやったらそんな理論が展開できるのか正直感心する。

  • 90年代の『DOOM』や、2000年代の『GTA』シリーズも同様に批判された。

  • 彼が『Fallout 4』をプレイしなかったことを神に感謝すべきだ、もし遊んでいたら小型の核爆弾を投げようとしただろうから。

1974年(前身となったものは1971年)に『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が登場して以来、ゲームはいわれのない非難に晒されてきた(同作は「悪魔崇拝」の入り口になるという陰謀論が展開され、その陰謀論を原案とした「トム・ハンクスの大迷宮」という映画も作られた)歴史があります。

日本でも「ゲーム脳の恐怖」という書籍がベストセラーになったこともある(ただし、同書はデータの不足や意図的な読み違えなどが指摘されている)ように、洋の東西を問わず「ゲーム=悪いもの」としようとする流れは現代でも健在なようです。

海外タブロイド紙に対して「ネタにマジレス」をするのは無粋という声もあるでしょうが、ゲーマー側としては「またタブロイド紙がいい加減なことを言っている」程度の(ある意味呆れの)声くらいは上げてもよいのではないでしょうか。

《ライター:ずんこ。,編集:重田 雄一》

関連記事: