「暴走族と旧車會は排除します!」 全盛期より数は激減も、なぜ取締り強化? 「年末年始」の“迷惑集団” に対する茨城県警の取り組みとは
茨城県警はかねてから、暴走族および旧車會の取り締まり強化を行っています。
暴走族や旧車會といば、「一昔前の問題」「最近では数が減りつつある」という印象を持つ人もいますが、なぜ現在でも取り締まりを強化しているのでしょうか。
【画像】「えっ…!」 これが大迷惑な「暴走族・旧車會」の集団です! 画像で見る
どのような狙いがあるのか、茨城県警交通指導課の担当者に話を聞きました。
暴走族は1950年代半ばに登場した「カミナリ族」が起源とされ、1972年6月に富山市で発生した、カミナリ族と見物客の若者が暴徒化して一般車両を破壊する群衆騒乱事件をきっかけに「暴走族」と呼ばれるようになりました。
その後は非行少年の温床として勢力を拡大していき、暴走族の構成員数は1982年に4万2510人とピークを迎えます。
しかし警察による取り締まりや法令の強化などによって構成員数は減少していき、2008年には1万人を下回り、2021年に4679人、2024年では4483人とピーク時の9分の1程度まで減少しています。
現在、暴走族は大きく分けて「共同危険型暴走族」、「違法競走型暴走族」、「違法行為を敢行する旧車會員」という3つのタイプに分類されます。
まず1つめの共同危険型暴走族は、爆音をとどろかせながら集団による蛇行運転や広がり走行、信号無視などをおこなう集団のことをいいます。
また2つめの違法競走型暴走族は、ローリングやドリフト走行などをして一定区間の通過タイムや運転テクニックを競う集団のことで、一般的にはルーレット族、ドリフト族、ローリング族などと呼ばれています。
そして3つめの旧車會(きゅうしゃかい)は、暴走族風に改造した旧型のクルマやバイクを運転する者によるグループで、暴走族OBが中心となって構成されています。
この旧車會自体は旧車の愛好家も多く、上記2つの暴走族と比べて悪質・迷惑性は低いといわれていますが、旧車會員の中でも違法行為をおこなう者は、暴走族と同様に取り締まりの対象となります。
とはいえ、令和の時代を迎えた今でも、全国では小規模なグループが単発でゲリラ的に蛇行運転や道路での広がり走行、集団での信号無視といった暴走行為をおこなっています。
警察庁の資料「共同危険型のい集・走行回数(回)」(密集して道路上を占拠するように走行する形態)では2023年に1511回、2024年に2528回と微増していることもわかっています。
●取り締まり強化を告知、その理由を聞いた
そのような状況の中、茨城県警はかねてより「旧車會・暴走族の取締強化 茨城県警は、騒音の原因となる整備不良など不正改造車両や集団暴走行為の取締りを強化します」とアナウンスしています。
茨城県警では茨城県内の道の駅常総において検問をおこなうことや、国道294号での取り締まりを実施する予定とのこと。
では、なぜ暴走族および旧車會の取り締まり強化を行うのでしょうか。茨城県警交通指導課の担当者に話を聞きました。
ーー なぜこの時期に暴走族や旧車會に対する取り締まりを行うのでしょうか。
年末年始には主に旧車會のメンバーが、隣接県から筑波山や大洗(おおあらい)といった景勝地に向かって集団でやって来る可能性があり、違法行為の抑止のためSNSでの告知をおこないました。
特に1月2日は大洗の海に集団で来訪することが恒例行事となっており、検問をおこなう予定です。
ーー 道の駅常総での検問や、国道294号での取り締まりを実施する理由を教えて下さい。
道の駅常総は圏央道が近く、例年旧車會メンバーの集合場所になっていることから検問をおこないます。
また国道294号に関しては、周辺住民から『爆音バイクがうるさい』との苦情や110番通報などが寄せられるため、取り締まりをおこなうものです。
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なお、2台以上のクルマやバイクで信号無視や道路での広がり走行、蛇行運転などをすると道路交通法第68条に規定する「共同危険行為」に該当し、検挙されれば2年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されます。
加えてクルマやバイクの不正改造は道路運送車両法違反に当たり、整備命令が出されるケースもあります。
各個人が自分好みに車両をカスタマイズするのは自由であるものの、法令に抵触したり周囲の人に危険・迷惑をおよぼしたりする改造は絶対にすべきでないといえるでしょう。
暴走族の違法行為に対してはインターネット上で「暴走族はうるさいので嫌いです。撲滅してほしい」「暴走族じゃなく珍走団だろ?」「いい年した大人が人に迷惑かけるな」など厳しい声が寄せられました。
また県警の取り組みに関しては「爆音は本当にうるさいので取り締まりをお願いします」「うちの県でもやってほしい」「全国の警察でやるべき」など、暴走族に対する取り締まり強化を歓迎する声が上がっています。