魚肉でできたスイーツ『ととアイス』を食べたら頭に「?」が浮かんだ! これってぶっちゃけ…
愛知県にあるヤマサちくわの店頭で溶けにくいスイーツ『ととアイス』という宣伝文句を見つけた時、筆者の頭には「?」がたくさん浮かんだ。
「とと」って何? アイスなのに溶けにくいの?? っていうかここ、スイーツじゃなくて練り物屋さんだよね!?!?
ツッコミどころしかないが、それこそがヤマサの狙いなのかもしれない。その策略にまんまとハマって新商品をひと通り食べてみたところ……えっ! これってぶっちゃけアレですよね~~っ!?
・練り物スイーツ『ととアイス』
この日訪れたのは、愛知県にある刈谷ハイウェイオアシス。
伊勢湾岸自動車道上にあり、古代ローマ宮殿風のデラックストイレや観覧車まで備えた まるでテーマパークのようなレジャーエリア。当然フードコートも超豪華で、ご当地グルメの味噌煮込みうどんや名古屋コーチンなどが揃っている。
ヤマサちくわは、そんな刈谷ハイウェイオアシスの土産物店近くにある。
売り場では持ち帰り用のちくわ・かまぼこなどに加え、磯部揚げやフライ、練り物系の串など、その場で気軽に食べられる商品がズラッと並ぶ。
観光地でよく見かける、揚げたての練り物をその場で食べられるスタイルのお店だ。
小腹が空いていた筆者は、なにか食べようとヤマサに近づいた。そこで見つけたのが『ととアイス(税込550円)』という衝撃的なスイーツであった。
「冷たーい! 溶けにくいアイス」「ヤマサちくわのお魚スイーツとアイスがベストマッチ」
……ちょっと、何を言っているのかわからないですね。
とりあえず魚肉をスイーツにするんじゃない。魚の風味が生きるのはおかずとおつまみなんよ。甘くしたら普通に臭そうじゃん。
頭では「止めてくれよ」と思いつつも、そこはライターの性(さが)。ノータイムで「ととアイスください」と注文している自分がいた。
なお 味はミルクチョコ・ビターチョコ・プレーンの3種があり、筆者はプレーンを選んだ。
・美味しいけど、コレって…
透明なカップ入りで手渡されたととアイスは、ぱっと見は普通のアイスのように2段重ねになっていた。
なるほど、下段がお魚スイーツで上段がアイスってことね。つまり「とと」と「アイス」。『ととアイス』っていうよりも『とととアイス』ってことなんだろう。
その予想は的中し、まずはアイスをひとすくい食べてみると……
うん、普通。なんの変哲もないバニラアイスだ。
ってことは、問題は下段の『とと』である。甘いのか甘くないのか、臭いのか臭くないのか。
恐る恐る口に運んだが、すぐに「おぉ」と声が漏れた。コレはぶっちゃけ……スポンジケーキですね!
口に入れた『とと』は、一瞬でふんわりくしゅっと消えた。
しっとりとして柔らかなスフレや台湾カステラを冷やしたような食感と、卵のやわらかな味。その中に控えめながらも圧倒的な存在感を示しているのが、魚の練り物の味だ。
スタッフさんに聞くと、豆乳と卵と魚の練り物を使って作っているそうで、洋菓子屋さんと共同開発しているんだとか。
正直コレを溶けにくいアイスと呼ぶのはちょっと抵抗があるし、『とと』単体でスイーツと呼ぶにはいささか寂しい。しかしアイスと組み合わせることで、ふわしゅわ食感の冷たいパンケーキのような感覚で食べられて意外と美味しい。
あと、普通 魚とミルクって相性が悪いんじゃないかと思うんだけど、まったく喧嘩をしていない。これは、魚の味がかまぼこや魚肉ソーセージ的なライトで旨みに寄った味にまとまっていることに理由があるんだろう。
なお、スタッフさん曰く「本店では『とと』だけで食べることもできますよ。私個人的にはミルクチョコレート味がおすすめです」とのこと。くそっ、先に聞いておけばよかった~っ!!
・謎の串揚げ『ぱんでま~く』
ヤマサの暴走は『ととアイス』に留まらない。さらに筆者の目に留まったのは『ぱんでま~く かに(税込400円)』という商品だ。
刈谷ハイウェイオアシス限定というこの商品、テレビ愛知で取り上げられたこともあるらしく なんだか期待できそうだ。
追加で注文をして約5分。揚げたてで提供された『ぱんでま~く』の正体は……
なんだコレ? 見た目じゃ全然わかんないな。
キツネ色にこんがりと揚がった様子は、なんの変哲もないかまぼこ棒。一体なにが限定品っていうんだろうか?
その答えは、ひとかじりした瞬間に判明した。
こ、これはっ!
カニ味の練り物をパンで巻いている……だと!?
『ぱんでま~く』って、「パンで巻く」っていうダジャレかよ!!!!
──名前こそはギャグだが、このぱんでま~くは非常にレベルが高い。
パンには練り物から出てくるエキスと油が染み込み、噛むごとにサクッじゅわっと旨味が染み出してくる。柔らかでフワフワなすり身もアツアツ&ジューシーで、文句の付け所がないほどに美味しい。
炭水化物と揚げ物を一気に食べられるので1本で満足度が高く、たぶんカロリーはえげつないが その分背徳的で癖になるお味だ。やるな、ヤマサ。絶対にウケ狙いのネタ系商品だと思ったのに……!
・練り物が好きな人は行くべし!
ヤマサの売り場には 他にも『プロテインちくわ』や『ちくわコロッケ』など、思わず「なにそれ!?」と聞きたくなるようなユニークな商品がたくさん。ツッコミが追いつかないほどのラインナップだが、磯部揚げやいか天といったスタンダードな商品も並んでいて ちゃんとどれも美味しそう。
「真面目に練り物と向き合い続けた結果、アイディアが湧きまくって溢れちゃったんだろうな」……そう思わせるような品揃えだった。
それもそのハズ、ヤマサは1827年創業の超老舗店なんだって。伝統を守りながらも攻め続けるその姿勢、なんだかカッコよく見えてきたよ!
スタッフさんの証言によると「新商品が出るたびに毎回驚いている」そうで、今後も目が離せそうにない。
ヤマサのお店は、東海地方を中心にサービスエリアや駅構内で営業しているということ。近くに立ち寄る機会があれば、ぜひ覗いてみてほしい。練り物の概念が変わるかもしれないぞ!