【小惑星が人工衛星より近い距離まで地球に接近】最接近後に観測、国際宇宙ステーションとほぼ同高度(スペースチャンネル)

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ESAが観測した小惑星「2025 TF」出典:ESA

10月1日、地球と人工衛星の間をすり抜けるように「小さな来訪者」がやってきました。ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の発表によると、小惑星「2025 TF」が南極上空わずか高度428キロメートルまで接近していたことが判明しました。これは国際宇宙ステーション(ISS)とほぼ同じ高度であり、地表から見ればほとんど宇宙空間ギリギリの距離です。しかも――この小惑星が観測されたのは、通過から数時間後のことでした。

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■ 見逃された“忍び寄る”小惑星

小惑星「2025 TF」出典:Филипп Романов

小惑星「2025 TF」は長さ1〜3メートルほど、例えるなら「キリンほどの大きさ」。9月30日(米国時間)夜8時47分、南極上空を秒速数十キロという猛スピードで通過しました。ESAによれば、NASAのカタリナ・スカイサーベイによる観測データから、事後的に存在が確認されたといいます。

このサイズの天体なら、もし大気圏に突入しても完全に燃え尽き、「明るい火球」として夜空を照らすだけだったとみられています。幸い、衛星やISSなどとの衝突はありませんでした。

近年、地球近傍小惑星(NEO)の監視は進歩していますが、直径100メートル以下の天体は依然として“死角”が多いのが現状です。ESAやNASAは数万個のNEOを追跡中ですが、「2025 TF」のような数メートル級の小天体は観測限界ぎりぎり。地球に接近しても、太陽光の反射が弱く、レーダーや望遠鏡で捕らえるのが難しいのです。

■ 地球は安全?「潜在的に危険な天体」との違い

地球を通過する小惑星のイメージ 出典:ESA

「潜在的に危険な小惑星(PHA)」と分類されるのは、直径140メートル以上かつ地球に750万キロ以内まで近づく天体のみ。2025 TFはその基準を大きく下回るため、危険性は低いとされています。

ただし、NASAの小惑星データベースではすでに正式登録されており、次の接近は2087年4月と予測されています。

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